八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった

根上真気

文字の大きさ
上 下
128 / 163
動乱編

ep128 危機

しおりを挟む
「す、すごい」

「こ、これが、上位生徒の実力なのか」

 エマとライマスは茫然としていた。 
 気持ちはよくわかる。
 生徒会トリオにセリクを加えた彼らの怒涛の波状攻撃は、ケルベロスに何もさせない。
 中距離からのセリクの炎弾。
 遠距離からのシャレクの魔法の矢。
 そしてレイ姉妹の近距離攻撃。
 ただただ、凄まじいの一言に尽きる。

「ヤソガミ!」

 シャレクが合図をして、セリクとレイ姉妹が後ろに跳び退がった。
 最後は俺だ。
 火力は、赤黒い魔犬への倍以上に!
 とその時。

「待って」

 ジークレフ学級委員長が、御神札に神名をなぞろうとした俺の手を押さえた。

「委員長?なぜ止めるんだ?」

「貴方に説明したところでわからないわ」

「おいヤソガミ!何をやっている!早くしろ!」

 再度シャレクが俺に向かって叫んできた時。

 ピカァァッ!

 ケルベロスの全身から強烈な閃光が放たれた。
 これは......電撃だ!
 標的は?
 俺以外の誰かだとマズいぞ!

「姉さん!」

 リンリが叫んだ。
 ケルベロスの凶悪な視線はランラに向いていた。
 彼女は蹴りの打撃による戦闘スタイルなので、もっともケルベロスに近い距離にいた。

「くっ!」

 ランラが跳び退がろうとした刹那。

 ドガァァァァァァン!!

 一瞬だ。
 ほんの一瞬で、凄まじい轟音と共にランラの姿は強烈な雷光に包まれた。
 直撃......。

「姉さん!!」

 リンリが崩れそうになりながら悲痛に叫んだ。
 シャレクが俺とジークレフ学校委員長を睨みつけてくる。

「貴様ら!どういうつもりだ!」

 それは俺が聞きたい。
 学級委員長に。

「なんで俺を止めたんだ?そのせいでランラが......」

 途中で言葉が止まった。
 なぜなら、俺の視線の先、黒焦げになった直径数メートルのすぐ隣に、無傷の彼女の姿を確認したからだ。
 よくかわしたな......と思いかけて、あっとなる。

「ほう。中々やるな」

 その光景を見てイナバが感心した。
 気づかない間にランラの近くへ移動していたエマが手鏡をかざしていた。

「う、うまくいったぁ......」

 エマはへなへなと地面にへたり込んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...