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動乱編
ep127 勢ぞろい
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「やあ、みんな。特異クラスも特別クラスも仲良さそうで何よりだね」
「セリク!」
なんと、セリク・クレイトンまでもがこの場にやって来た。
まるで予めみんなで申し合わせたような集合っぷり。
しかもセリクは、一同を驚かす事実を口にする。
「そもそもさ。わざわざ先生を呼びに行く必要はないよ。じきに勝手に来るはずだから」
「それはどういうことだ?」
シャレクが訊く。
「今、森中で赤黒い魔犬が暴走を始めたからね。いち早く森から逃げた誰かが先生に伝えてくれるだろうし、先生が異変に気づくのは時間の問題だよ」
森中で赤黒い魔犬が暴走?
ガブリエル先生の召喚魔術に狂いが生じているってことか?
それにあの赤黒い魔犬。
そんなに数がいるのか。
何よりみんな大丈夫なのか?
「ミャーミャーとフェエル、大丈夫かな......」
エマも俺と同じことを考えて不安な表情を滲ませた。
どうしたものかと考える。
そこへセリクが言ってきた。
いつもの軽い調子で。
「ヤソガミくん。キミの魔法で全部やっちゃえば?」
「えっ」
「できるんでしょ?ヤソガミくんの百パーセントの力、見てみたいなぁ」
セリクはいつも通りの笑顔のままで言う。
「セリク。君の言うことでもそれは許可できない」
「あれ?シャレクにしてはつまらないことを言うね」
「面白いとかつまらないとかそういう問題ではない。セリクは今日、全力の魔法を放ったか?」
「やるわけないじゃない。ボクは炎使いだ。火事になっちゃうからね」
「それがわかっているのになぜ、わざとあんなことを言う。ヤソガミがやっても一緒だろう」
「ヤソガミくんなら炎以外でもできるよ。実際、前に洪水を起こしていたしね」
「洪水でも、森中の魔物を倒すレベルで放てば大変なことになる。生徒会長として、生徒の命を危険に晒すわけにはいかない」
「ヤソガミくんには危険な攻撃もしていたシャレクに、そんなこと言われてもなぁ」
「僕は見極めてやっている。それはセリクならわかるだろう。なぜそんなこと...」
「わかったわかった、わかったよ。じゃあこうしよう」
セリクが人差し指を立てて、ケルベロスに向けた。
「ボクがあれを倒してあげるよ」
「ちょっと待て。セリク」
「〔炎弾〕」
なんとセリクがいきなり魔法を撃ち放った。
しかも一発や二発じゃない。
次々と発射された炎の弾丸が悉くケルベロスに命中する。
「基本的に獣は炎に弱いからね~」
セリクは楽しそうにバンバンバンッと炎弾を連発し続ける。
だが、次第にケルベロスは全身を震わせて炎弾を弾き始めた。
「なんか、ヤバくね!?」
エマが言ったのはケルベロスのことじゃない。
森のことだ。
「おいセリク!何をやっている!森が火事になるぞ!」
俺たちよりも先にシャレクが声を上げた。
「委員長!あんたの水魔法で早く火を消し止めたほうが」
俺の言葉に、なぜかジークレフ学級委員長の反応は鈍い。
「相手が相手だもの。仕方がないわ」
なんか変だ。
俺が教室に洪水を起こした時は苦言を呈してきたのに。
「くそっ。こうなったら......」
「やるしかないようじゃな」
イナバが言った。
俺はこくんと頷いて、御神札を構えてシャレクに視線を投げた。
「生徒会長。このまま俺たちでケルベロスを倒してしまおう」
「仕方ないな。ランラ、リンリ。僕たちもやるぞ!」
シャレクの指示にレイ姉妹が頷いて戦闘態勢を取った。
「いくぜ。リンリ!」
「はい。姉さん」
セリクに続いて生徒会トリオが参戦する。
ここに対ケルベロスの戦闘が本格的に開始した。
「セリク!」
なんと、セリク・クレイトンまでもがこの場にやって来た。
まるで予めみんなで申し合わせたような集合っぷり。
しかもセリクは、一同を驚かす事実を口にする。
「そもそもさ。わざわざ先生を呼びに行く必要はないよ。じきに勝手に来るはずだから」
「それはどういうことだ?」
シャレクが訊く。
「今、森中で赤黒い魔犬が暴走を始めたからね。いち早く森から逃げた誰かが先生に伝えてくれるだろうし、先生が異変に気づくのは時間の問題だよ」
森中で赤黒い魔犬が暴走?
ガブリエル先生の召喚魔術に狂いが生じているってことか?
それにあの赤黒い魔犬。
そんなに数がいるのか。
何よりみんな大丈夫なのか?
「ミャーミャーとフェエル、大丈夫かな......」
エマも俺と同じことを考えて不安な表情を滲ませた。
どうしたものかと考える。
そこへセリクが言ってきた。
いつもの軽い調子で。
「ヤソガミくん。キミの魔法で全部やっちゃえば?」
「えっ」
「できるんでしょ?ヤソガミくんの百パーセントの力、見てみたいなぁ」
セリクはいつも通りの笑顔のままで言う。
「セリク。君の言うことでもそれは許可できない」
「あれ?シャレクにしてはつまらないことを言うね」
「面白いとかつまらないとかそういう問題ではない。セリクは今日、全力の魔法を放ったか?」
「やるわけないじゃない。ボクは炎使いだ。火事になっちゃうからね」
「それがわかっているのになぜ、わざとあんなことを言う。ヤソガミがやっても一緒だろう」
「ヤソガミくんなら炎以外でもできるよ。実際、前に洪水を起こしていたしね」
「洪水でも、森中の魔物を倒すレベルで放てば大変なことになる。生徒会長として、生徒の命を危険に晒すわけにはいかない」
「ヤソガミくんには危険な攻撃もしていたシャレクに、そんなこと言われてもなぁ」
「僕は見極めてやっている。それはセリクならわかるだろう。なぜそんなこと...」
「わかったわかった、わかったよ。じゃあこうしよう」
セリクが人差し指を立てて、ケルベロスに向けた。
「ボクがあれを倒してあげるよ」
「ちょっと待て。セリク」
「〔炎弾〕」
なんとセリクがいきなり魔法を撃ち放った。
しかも一発や二発じゃない。
次々と発射された炎の弾丸が悉くケルベロスに命中する。
「基本的に獣は炎に弱いからね~」
セリクは楽しそうにバンバンバンッと炎弾を連発し続ける。
だが、次第にケルベロスは全身を震わせて炎弾を弾き始めた。
「なんか、ヤバくね!?」
エマが言ったのはケルベロスのことじゃない。
森のことだ。
「おいセリク!何をやっている!森が火事になるぞ!」
俺たちよりも先にシャレクが声を上げた。
「委員長!あんたの水魔法で早く火を消し止めたほうが」
俺の言葉に、なぜかジークレフ学級委員長の反応は鈍い。
「相手が相手だもの。仕方がないわ」
なんか変だ。
俺が教室に洪水を起こした時は苦言を呈してきたのに。
「くそっ。こうなったら......」
「やるしかないようじゃな」
イナバが言った。
俺はこくんと頷いて、御神札を構えてシャレクに視線を投げた。
「生徒会長。このまま俺たちでケルベロスを倒してしまおう」
「仕方ないな。ランラ、リンリ。僕たちもやるぞ!」
シャレクの指示にレイ姉妹が頷いて戦闘態勢を取った。
「いくぜ。リンリ!」
「はい。姉さん」
セリクに続いて生徒会トリオが参戦する。
ここに対ケルベロスの戦闘が本格的に開始した。
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