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動乱編
ep123 人気と実力
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「オイ、生徒会長さん。今、ジェットレディ様をバカにするようなこと言ったか!?」
敏感にエマが反応した。
シャレクは見せたことのない冷たい眼つきでエマを睨みつける。
「言ったけど、何か?」
シャレクのただならぬ迫力に、エマはうっと押し黙った。
「生徒会長。さっきの言葉は、どういう意味なんだ?」
改めて俺から訊く。
エマの想いとはまた違うだろうが、今では俺もジェットレディのことを尊敬している。
そもそもあの人の存在なくして今の俺はない。
だからさっきのシャレクの言葉は聞き捨てならなかった。
「どういう意味も何も、そのままの意味だが」
「根拠は...あるのか」
「根拠も何も、それが事実だからだ。そもそも彼女はSランクのダイヤモンドクラスでもない。もちろんコランダムクラスのAランク国家魔術師であることは間違いないし、それ自体は評価に値する。しかし、それにしても人気があり過ぎるんだよ。どう考えても間違っている」
「人気があるのは、それだけ魅力的ってことだろ?」
「人気のジェットレディ。実力のカレン。聞いたことがないか?」
「それ、知ってるよ」
エマが答える。
「魔法剣士カレン。ジェットレディの同期にしてダイヤモンドクラスの国家魔術師。だけど人気はジェットレディの方が圧倒的なんだよな」
「それがオカシイと言っているんだ。本来であればカレン先生こそが実力と共に人気もナンバーワンでなければならないんだ」
「それは仕方のないことだろ?人気は国民が決めることなんだから」と俺が言うと、シャレクは吐き棄てるように笑った。
「ハッハッハ!その通りだよ。国民の大半は馬鹿だからね」
返す言葉がなかった。
そんな俺に向かって、スッと真顔に戻ってシャレクが言う。
「君は別に、ジェットレディの直弟子というわけではない。だから、君と彼女は違うと考えていた。しかし、どうやら君も似たようなモノのようだ」
「何が言いたいんだ?」
「フザけた野郎だってことだ」
「!」
「元々、今日は君の実力を測るだけのつもりだった。だが、気が変わった。今から本気で君を潰すよ」
「本気でって......。てゆーか、手加減されたことを怒るなら、お前だって俺に手加減していたんじゃないのか?」
「君のそれと僕のそれでは、質がまったく違う」
どうやら、シャレクの導火線に火をつけてしまったようだ。
プライドの高いエリートの感情は、俺なんかの理解は及ばないらしい。
しかし生徒会長が、まさかジェットレディのことを嫌っているとは思わなかった。
それこそこの学校の生徒はみんな彼女に憧れを抱いているとさえ思っていた。
でも、よくよく考えてみると、まあそうだよな、とも思う。
誰をどう思うかは人それぞれだし、なにも国家魔術師はジェットレディだけじゃないんだ。
その魔法剣士カレンという人も、このシャレクが憧れるぐらいなんだ。
相当スゴイ人なのは間違いないんだろう。
「おい小僧」
不意にイナバが呼びかけてきた。
「なんだ?口は出さないんじゃないのか?」
「来るぞ」
「いきなりなんの話...」と言いさした時。
俺たちの前に、恐ろしい生物がぬっと姿を現した。
敏感にエマが反応した。
シャレクは見せたことのない冷たい眼つきでエマを睨みつける。
「言ったけど、何か?」
シャレクのただならぬ迫力に、エマはうっと押し黙った。
「生徒会長。さっきの言葉は、どういう意味なんだ?」
改めて俺から訊く。
エマの想いとはまた違うだろうが、今では俺もジェットレディのことを尊敬している。
そもそもあの人の存在なくして今の俺はない。
だからさっきのシャレクの言葉は聞き捨てならなかった。
「どういう意味も何も、そのままの意味だが」
「根拠は...あるのか」
「根拠も何も、それが事実だからだ。そもそも彼女はSランクのダイヤモンドクラスでもない。もちろんコランダムクラスのAランク国家魔術師であることは間違いないし、それ自体は評価に値する。しかし、それにしても人気があり過ぎるんだよ。どう考えても間違っている」
「人気があるのは、それだけ魅力的ってことだろ?」
「人気のジェットレディ。実力のカレン。聞いたことがないか?」
「それ、知ってるよ」
エマが答える。
「魔法剣士カレン。ジェットレディの同期にしてダイヤモンドクラスの国家魔術師。だけど人気はジェットレディの方が圧倒的なんだよな」
「それがオカシイと言っているんだ。本来であればカレン先生こそが実力と共に人気もナンバーワンでなければならないんだ」
「それは仕方のないことだろ?人気は国民が決めることなんだから」と俺が言うと、シャレクは吐き棄てるように笑った。
「ハッハッハ!その通りだよ。国民の大半は馬鹿だからね」
返す言葉がなかった。
そんな俺に向かって、スッと真顔に戻ってシャレクが言う。
「君は別に、ジェットレディの直弟子というわけではない。だから、君と彼女は違うと考えていた。しかし、どうやら君も似たようなモノのようだ」
「何が言いたいんだ?」
「フザけた野郎だってことだ」
「!」
「元々、今日は君の実力を測るだけのつもりだった。だが、気が変わった。今から本気で君を潰すよ」
「本気でって......。てゆーか、手加減されたことを怒るなら、お前だって俺に手加減していたんじゃないのか?」
「君のそれと僕のそれでは、質がまったく違う」
どうやら、シャレクの導火線に火をつけてしまったようだ。
プライドの高いエリートの感情は、俺なんかの理解は及ばないらしい。
しかし生徒会長が、まさかジェットレディのことを嫌っているとは思わなかった。
それこそこの学校の生徒はみんな彼女に憧れを抱いているとさえ思っていた。
でも、よくよく考えてみると、まあそうだよな、とも思う。
誰をどう思うかは人それぞれだし、なにも国家魔術師はジェットレディだけじゃないんだ。
その魔法剣士カレンという人も、このシャレクが憧れるぐらいなんだ。
相当スゴイ人なのは間違いないんだろう。
「おい小僧」
不意にイナバが呼びかけてきた。
「なんだ?口は出さないんじゃないのか?」
「来るぞ」
「いきなりなんの話...」と言いさした時。
俺たちの前に、恐ろしい生物がぬっと姿を現した。
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