101 / 163
動乱編
ep101 特別クラス
しおりを挟む
「フェエル!」
俺はフェエルの手を取って引き寄せた。
危なかった。
呼び止めるのが一歩遅れていれば、フェエルが直撃を喰らっていたところだ。
「あ、ありがとう、ヤソミん」
びっくりした表情のまま、まだ状況がわからない様子のフェエル。
だが俺はすでに理解している。
「誰だ!出てこい!」
俺の呼び声に、敵はあっさりと姿を現した。
「どーもどーも。特待生のヤソガミくーん」
木の上からスタッと着地し、俺たちに向かって歩いてくる男子生徒ふたり。
特異クラスの生徒じゃない。
ふたりとも特別クラスの奴だ。
「さすがは特待生。不意打ちも気づかれちゃったか」
ひとりは長めの髪をした気取り気味の男子で、アルマと思われるナイフを携えている。
「だからハナっから正面からやりゃーいいって言ったじゃねーか」
もうひとりはツーブロックの短髪に浅黒い肌をした体格の良い男子で、アルマと思われる斧を携えている。
「あ、あいつらは......」
彼らを前にしてライマスがびくつく。
「よりによって、なんであいつらが......」
「どんな奴らなんだ?」
「や、ヤソガミ氏。か、彼らは、シャレク生徒会長やレイ姉妹につぐ実力者だ」
「そんなにスゴイのか」
「あ、ああ。ノエルは高い技術を持ったナイフ使いで、接近戦のみならず中距離戦でも力を発揮できる実力者だ。さっきの攻撃は、ノエルの魔力を乗せた投げナイフによるものだと思う」
「ナイフであんな爆発が起こせるのか。危ないな」
「あ、危ないという意味では、斧使いのマッキンリーの方が危険だ。彼のパワーは特別クラスでも随一といっていいものだ。マッキンリーの斧攻撃を受け止め切れる奴など、学生にはいないんじゃないか」
「なるほど。ナイフ使いのノエルに、斧使いのマッキンリーか......」
彼らふたりが只者ではないというのはよくわかった。で、どう対応する?
この合同魔術演習の実態に気づいてしまった今、もはや彼らと対峙することは避けられないか。
「お、おい!生徒同士の戦闘は禁止ってガブリエル先生のルール説明聞いてなかったのかよ?さっきの攻撃でお前ら失格になるし!」
エマがふたりをビシッと指差して吠えた。
ノエルとマッキンリーは一瞬「えっ?」という顔を見せてから、ぶっと吹き出した。
「マジで言ってんの?それ」
「スマンスマン。つい笑っちまった」
むかーっとするエマに向かって俺はかぶりを振って見せる。
「エマ。あいつらは間違っていない」
「はあ?なんでヤソガミがヤツらの味方すんの??」
「そういうことじゃない。ルール上、あいつらの行為は許されているからだ」
「あっ!そ、そっか!」
フェエルも気づいたようだ。
「ヤソガミくん、どういうことなの?」
ミアが訊いてくる。
「ほらほら、お花畑のお友達に説明してあげなよ」
ノエルが嘲りの笑みを浮かべながら俺に振ってきた。
しゃくに障る言い方だが、確かに俺たちはお花畑で甘かったかもしれない。
今のうちにエマたちにも説明しておかなければ。
俺はフェエルの手を取って引き寄せた。
危なかった。
呼び止めるのが一歩遅れていれば、フェエルが直撃を喰らっていたところだ。
「あ、ありがとう、ヤソミん」
びっくりした表情のまま、まだ状況がわからない様子のフェエル。
だが俺はすでに理解している。
「誰だ!出てこい!」
俺の呼び声に、敵はあっさりと姿を現した。
「どーもどーも。特待生のヤソガミくーん」
木の上からスタッと着地し、俺たちに向かって歩いてくる男子生徒ふたり。
特異クラスの生徒じゃない。
ふたりとも特別クラスの奴だ。
「さすがは特待生。不意打ちも気づかれちゃったか」
ひとりは長めの髪をした気取り気味の男子で、アルマと思われるナイフを携えている。
「だからハナっから正面からやりゃーいいって言ったじゃねーか」
もうひとりはツーブロックの短髪に浅黒い肌をした体格の良い男子で、アルマと思われる斧を携えている。
「あ、あいつらは......」
彼らを前にしてライマスがびくつく。
「よりによって、なんであいつらが......」
「どんな奴らなんだ?」
「や、ヤソガミ氏。か、彼らは、シャレク生徒会長やレイ姉妹につぐ実力者だ」
「そんなにスゴイのか」
「あ、ああ。ノエルは高い技術を持ったナイフ使いで、接近戦のみならず中距離戦でも力を発揮できる実力者だ。さっきの攻撃は、ノエルの魔力を乗せた投げナイフによるものだと思う」
「ナイフであんな爆発が起こせるのか。危ないな」
「あ、危ないという意味では、斧使いのマッキンリーの方が危険だ。彼のパワーは特別クラスでも随一といっていいものだ。マッキンリーの斧攻撃を受け止め切れる奴など、学生にはいないんじゃないか」
「なるほど。ナイフ使いのノエルに、斧使いのマッキンリーか......」
彼らふたりが只者ではないというのはよくわかった。で、どう対応する?
この合同魔術演習の実態に気づいてしまった今、もはや彼らと対峙することは避けられないか。
「お、おい!生徒同士の戦闘は禁止ってガブリエル先生のルール説明聞いてなかったのかよ?さっきの攻撃でお前ら失格になるし!」
エマがふたりをビシッと指差して吠えた。
ノエルとマッキンリーは一瞬「えっ?」という顔を見せてから、ぶっと吹き出した。
「マジで言ってんの?それ」
「スマンスマン。つい笑っちまった」
むかーっとするエマに向かって俺はかぶりを振って見せる。
「エマ。あいつらは間違っていない」
「はあ?なんでヤソガミがヤツらの味方すんの??」
「そういうことじゃない。ルール上、あいつらの行為は許されているからだ」
「あっ!そ、そっか!」
フェエルも気づいたようだ。
「ヤソガミくん、どういうことなの?」
ミアが訊いてくる。
「ほらほら、お花畑のお友達に説明してあげなよ」
ノエルが嘲りの笑みを浮かべながら俺に振ってきた。
しゃくに障る言い方だが、確かに俺たちはお花畑で甘かったかもしれない。
今のうちにエマたちにも説明しておかなければ。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
異世界営業〜大事なのは剣でも魔法でもない。営業力だ!
根上真気
ファンタジー
これは、元やり手営業部長の青年が、その営業力を駆使し、転移した異世界で起業して成功する物語。しかしその道のりは困難の連続だった!彼の仲間は落ちぶれた魔導博士と魔力量だけが取り柄のD級魔導師の娘。彼らと共に、一体どうやって事業を成功させるのか?彼らの敵とは何なのか?今ここに、異世界に降り立った日本人青年の、世紀の実業ファンタジーが幕を開ける!
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【完結】少し遅れた異世界転移 〜死者蘇生された俺は災厄の魔女と共に生きていく〜
赤木さなぎ
ファンタジー
死体で異世界転移してきた記憶喪失の主人公と、敬語系×エルフ×最強×魔女なヒロインが結婚して、不老不死になった二人が持て余した時間を活かして、異世界を旅して巡る物語です。
のんびり旅をしていたはずが、気付けば神様との戦いに巻き込まれたりします。
30万文字超えの長編ですので、少しずつゆっくりと読んで、楽しんで貰えたらと思います!
おかげさまで、HOTランキング最高2位達成! 沢山読んで頂き、ありがとうございます!
――――――
■第一章 (63,379文字)
魔女様とのんびり森の中での生活を楽しもう!
と思っていたら、どうやら魔女様には秘密が有る様で……。
まだ名前も無い頃の二人の出会いの物語。
■第二章 (53,612文字)
二人は森の外の世界へと飛び出して行く。
様々な出会いをした、二人の旅の記録。
■第三章 (28,903文字)
長い旅から森へと帰って来ると、何者かによって二人の家は破壊されていた。
二人は犯人を捜す為に、動き出す。
バトル要素有り。
■第四章 (47,744文字)
旅の中で出会った龍に託された真実の目。
それを巡って、神との戦いへと発展して行く。
バトル要素有り。
■第五章 (68,773文字)
二人の旅の舞台は、海を越えて東の大陸へ。
謎のメッセージ、そして黒い泥の事件を追う。
第二章のテイストで進む東の大陸出の旅の記録。
■過去編 (約9万文字)
本編へと繋がる、かつての魔女エルと勇者アルが紡ぐ、冒険の物語。
一度は魔王討伐を諦めた勇者と、突然現れた最強の魔女が、魔王を討つ為、再び旅に出るお話です。
■第二部
エピローグ②とエピローグ③の間の物語。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
【完結】マギアアームド・ファンタジア
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
ハイファンタジーの広大な世界を、魔法装具『マギアアームド』で自由自在に駆け巡る、世界的アクションVRゲーム『マギアアームド・ファンタジア』。
高校に入学し、ゲーム解禁を許された織原徹矢は、中学時代からの友人の水城菜々花と共に、マギアアームド・ファンタジアの世界へと冒険する。
待ち受けるは圧倒的な自然、強大なエネミー、予期せぬハーレム、そして――この世界に花咲く、小さな奇跡。
王道を以て王道を征す、近未来風VRMMOファンタジー、ここに開幕!
おっさんの異世界建国記
なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる