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入学編
ep47 ミア・キャットレー(ミア視点)②
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「ああ、そうですか。......はっ!?」
「だから、ヤソガミくんの元カノなんです。あたし」
「も、元カノ!?」
この娘がヤソガミの彼女だったって?
てゆーかあいつ、リュケイオンの女子と付き合っていたのか。
ということは、間違いなく元カレのことで来たんだよな。
忘れられない元カレのために、代わりに文句でも言いにきたのかな?
それなら筋違いだよ。
被害者はわたしなんだから。
「で、その元カノさんがわたしに一体なんの用?わたしは被害者なんだよ?それとも元カレの代わりに謝りにでもきたの?」
「いえ、違うんです。実はお願いがあってきたんです」
「おねがい?」
訊き返すと、ヤソミは眼をキッと鋭くさせる。
「徹底的にヤソガミの奴を追いこんで欲しいんです!」
「へっ??」
この子、いきなり何を言ってるの?
「あの、一体どういう...」
「あいつは......ヤソガミは本当にヒドイ奴なんです!」
完全に面食らっているわたしをよそに、彼女はヤソガミの悪辣っぷりを切切と語った。
その内容は、いかにヤソガミが最低なオトコというのが、わかりすぎるほどわかるものだった。
「......そういうことなんだ。ぼくは裏切られた気分だよ。だから、ぼくもヤソミちゃんに協力することにしたんだ」
ヤソガミの友達だと思っていたフェエルも、憤りたっぷりでヤソミに全面協力の姿勢。
「知らなかった......」と返しながら、わたしはたちまちにゾワっとしてくる。
だって、そんなヤバい奴を相手にわたしはあんなことをしたってことでしょ?
下手したら本当に危ないことになっていたのかもしれないじゃん!
「それでね?」
青ざめるわたしにヤソミが切り出してくる。
「ヤソガミを徹底的に追いつめるために、事実をさらに盛るというか、新たな証拠をでっち上げたいんです」
「え?」
「そこで、フィッツジェラルドさんにも協力を仰げないでしょうか?」
「エマちゃんに?」
「はい。この事件はフィッツジェラルドさんの鏡魔法による映像が証拠になっているんですよね?彼女なら何かできるんじゃないでしょうか?」
ヤソミの目は必死そのもの。
さっきの話を聞くかぎり、この娘は本当に苦しい思いをしてきたんだろう。
同じ女として同情するし、ヤソガミのことも許せない。
けど、エマちゃんには、鏡魔法のことは口止めされている。
どうしよう......。
ヤソガミを貶めてやりたい気持ちは一緒だ。
エマちゃんはアイツのことを嫌っている。
そう考えると......この話はエマちゃんのためにもなるんじゃ?
そうだ。そうだよ。
きっとなる。
「わかった。明日、エマちゃんに聞いてみる」
*
翌朝。
登校すると、教室に入るなりクラスみんなの視線がわたしへ集まる。
「お、おはよう......」
どうしよう。
帰りたい。
でも、仮病はそのうち親にバレるし、授業をサボり続けるのも限界がある。
それに、ちゃんと進級もしたいし、ちゃんと卒業して国家魔術師にもなりたい。
そんな考えをめぐらせて歯を食いしばった時。
「ミアちゃん!」
フェエルが救いの手を差し伸べるように、わたしに駆け寄ってきた。
「大丈夫。今だけだよ。席に行こう」
「うん」
フェエルは優しい。
今まではイジメられっ子ということで避けていたし、最近はヤソガミの友達ということで敵対視もしていた。
だけどこうやって関わってみると、フツーに良い奴なんだとわかる。
トッパーたちがいなければ、友達になっていたのかな。
「あ、エマさんが来たよ」
フェエルが口にした時、歩いてくるエマちゃんとわたしの視線が交わった。
「あれぇ?ミャーミャー来たんだぁ?てか、なんでフェル子ちゃんといるわけ?」
エマちゃんはわたしを睨んでくる。
「意味わかんないだけど」
「エマちゃん。フェエルくんはもうヤソガミくんとは絶好したんだよ」
「へー?そーなんだ」
「それでね?エマちゃんに大事な話があるんだけど......」
わたしはフェエルと視線を交わしてから、勇気を持って切り出した。
「エマちゃんのためになる話だよ」
「だから、ヤソガミくんの元カノなんです。あたし」
「も、元カノ!?」
この娘がヤソガミの彼女だったって?
てゆーかあいつ、リュケイオンの女子と付き合っていたのか。
ということは、間違いなく元カレのことで来たんだよな。
忘れられない元カレのために、代わりに文句でも言いにきたのかな?
それなら筋違いだよ。
被害者はわたしなんだから。
「で、その元カノさんがわたしに一体なんの用?わたしは被害者なんだよ?それとも元カレの代わりに謝りにでもきたの?」
「いえ、違うんです。実はお願いがあってきたんです」
「おねがい?」
訊き返すと、ヤソミは眼をキッと鋭くさせる。
「徹底的にヤソガミの奴を追いこんで欲しいんです!」
「へっ??」
この子、いきなり何を言ってるの?
「あの、一体どういう...」
「あいつは......ヤソガミは本当にヒドイ奴なんです!」
完全に面食らっているわたしをよそに、彼女はヤソガミの悪辣っぷりを切切と語った。
その内容は、いかにヤソガミが最低なオトコというのが、わかりすぎるほどわかるものだった。
「......そういうことなんだ。ぼくは裏切られた気分だよ。だから、ぼくもヤソミちゃんに協力することにしたんだ」
ヤソガミの友達だと思っていたフェエルも、憤りたっぷりでヤソミに全面協力の姿勢。
「知らなかった......」と返しながら、わたしはたちまちにゾワっとしてくる。
だって、そんなヤバい奴を相手にわたしはあんなことをしたってことでしょ?
下手したら本当に危ないことになっていたのかもしれないじゃん!
「それでね?」
青ざめるわたしにヤソミが切り出してくる。
「ヤソガミを徹底的に追いつめるために、事実をさらに盛るというか、新たな証拠をでっち上げたいんです」
「え?」
「そこで、フィッツジェラルドさんにも協力を仰げないでしょうか?」
「エマちゃんに?」
「はい。この事件はフィッツジェラルドさんの鏡魔法による映像が証拠になっているんですよね?彼女なら何かできるんじゃないでしょうか?」
ヤソミの目は必死そのもの。
さっきの話を聞くかぎり、この娘は本当に苦しい思いをしてきたんだろう。
同じ女として同情するし、ヤソガミのことも許せない。
けど、エマちゃんには、鏡魔法のことは口止めされている。
どうしよう......。
ヤソガミを貶めてやりたい気持ちは一緒だ。
エマちゃんはアイツのことを嫌っている。
そう考えると......この話はエマちゃんのためにもなるんじゃ?
そうだ。そうだよ。
きっとなる。
「わかった。明日、エマちゃんに聞いてみる」
*
翌朝。
登校すると、教室に入るなりクラスみんなの視線がわたしへ集まる。
「お、おはよう......」
どうしよう。
帰りたい。
でも、仮病はそのうち親にバレるし、授業をサボり続けるのも限界がある。
それに、ちゃんと進級もしたいし、ちゃんと卒業して国家魔術師にもなりたい。
そんな考えをめぐらせて歯を食いしばった時。
「ミアちゃん!」
フェエルが救いの手を差し伸べるように、わたしに駆け寄ってきた。
「大丈夫。今だけだよ。席に行こう」
「うん」
フェエルは優しい。
今まではイジメられっ子ということで避けていたし、最近はヤソガミの友達ということで敵対視もしていた。
だけどこうやって関わってみると、フツーに良い奴なんだとわかる。
トッパーたちがいなければ、友達になっていたのかな。
「あ、エマさんが来たよ」
フェエルが口にした時、歩いてくるエマちゃんとわたしの視線が交わった。
「あれぇ?ミャーミャー来たんだぁ?てか、なんでフェル子ちゃんといるわけ?」
エマちゃんはわたしを睨んでくる。
「意味わかんないだけど」
「エマちゃん。フェエルくんはもうヤソガミくんとは絶好したんだよ」
「へー?そーなんだ」
「それでね?エマちゃんに大事な話があるんだけど......」
わたしはフェエルと視線を交わしてから、勇気を持って切り出した。
「エマちゃんのためになる話だよ」
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