上 下
7 / 134
目指せ!魔法学園

ep6 魔法犯罪組織

しおりを挟む
 村長テラダはこくんと頷くと、憂惧ゆうぐの面持ちで語りはじめる。

「実は最近この島に、ある犯罪組織の一味が潜伏しているらしいという噂があるのです」

「犯罪組織?どんな奴らじゃ?」

「わかりません。ですが昨日、ある事件が起こりました。なんと、この島の警備を担当していた国家魔術師レース・マグスが何者かに襲われて重傷を負って本島に送還されてしまったのです!こんなことはまず滅多にない!」

「ふむ。それはおそらく......ただの犯罪組織ではないな」

「はい。魔法犯罪組織かと思われます」

「魔法犯罪組織!?」

 思わず俺は声を上げてしまった。
 だって、魔法で犯罪組織だぞ!?
 さっきまでは魔法って聞いて漠然とファンタジーなものを思い浮かべていたけど......つまりは魔法を使って悪事を働く集団ってことだよな?
 いやいや怖い怖い!

「そして問題はそれだけではないのです」

 村長はさらに表情を曇らせる。

「まだ代わりの魔術師が派遣されて来ていないのです。昨今、国家魔術師の人手不足が問題視されていましたが、それが原因でしょうか」

「なるほど。ということは、今このタイミングで〔ゼノ〕が現れたら大変なことになると」

「そういうことです」

 ......イナバの言った〔ゼノ〕とは、いわゆる魔物の総称だったよな。
 なんでもイレギュラー的に生じる〔次元の裂け目〕から時々、人間の国に迷いこんで来るらしい。
 それを退治して治安を守るのが国家魔術師だったっけ?
 最初にイナバから説明を受けたときは、あまりにも非現実的過ぎて話半分どころか話十分の一ぐらいで聞いていた。
 だけど、こうやって他人の会話の中で聞いていると、にわかに現実味を帯びてきたかも......。

「それで不審者と思われる存在に敏感になっておったというわけか。小僧、納得したか」

 イナバが様子をうかがうように俺のことをチラッと見てきたけど、
「まあ、うん」
 首肯しゅこうするしかなかった。
 だって、俺にとっては何もかもが青天の霹靂へきれきみたいな話で納得するもしないもないから。
 口に出したらイナバに怒られそうだけど......。

「......ところで」

 ここで村長がひと息の間を置いてから話を切りかえた。

「物騒な話をした後で言うのもなんですが、もしよろしければワシらの村でゆっくりしていきませんか?田舎だが歓迎させてください」

 これって願ってもない申し出だよな?
 でもイナバはどう考えるのだろうか?
 そう思ったのも束の間。

「うむ。では歓迎を受けてやろう」
 
 イナバはあっさりと承諾した。
 
「今はそうするしかあるまい。今後に向けてまずはここを拠点にするぞ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

美少女アンドロイドが色じかけをしてくるので困っています~思春期のセイなる苦悩は終わらない~

根上真気
キャラ文芸
4サイト10000PV達成!不登校の俺のもとに突然やって来たのは...未来から来た美少女アンドロイドだった!しかもコイツはある目的のため〔セクシープログラム〕と称して様々な色じかけを仕掛けてくる!だが俺はそれを我慢しなければならない!果たして俺は耐え続けられるのか?それとも手を出してしまうのか?これは思春期のセイなる戦い...!いざドタバタラブコメディの幕が切って落とされる!

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ) そこは、剣と魔法の世界だった。 2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。 新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・ 気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。  そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!  気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?  するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。  だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──  でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!

引きこもり転生エルフ、仕方なく旅に出る

Greis
ファンタジー
旧題:引きこもり転生エルフ、強制的に旅に出される ・2021/10/29 第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞 こちらの賞をアルファポリス様から頂く事が出来ました。 実家暮らし、25歳のぽっちゃり会社員の俺は、日ごろの不摂生がたたり、読書中に死亡。転生先は、剣と魔法の世界の一種族、エルフだ。一分一秒も無駄にできない前世に比べると、だいぶのんびりしている今世の生活の方が、自分に合っていた。次第に、兄や姉、友人などが、見分のために外に出ていくのを見送る俺を、心配しだす両親や師匠たち。そしてついに、(強制的に)旅に出ることになりました。 ※のんびり進むので、戦闘に関しては、話数が進んでからになりますので、ご注意ください。

小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!

ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。 一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて? 主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍? 「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」 『わふっ』 もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~

さとう
ファンタジー
 町の電気工事士であり、なんでも屋でもある織田玄徳は、仕事をそこそこやりつつ自由な暮らしをしていた。  結婚は人生の墓場……父親が嫁さんで苦労しているのを見て育ったため、結婚して子供を作り幸せな家庭を作るという『呪いの言葉』を嫌悪し、生涯独身、自分だけのために稼いだ金を使うと決め、独身生活を満喫。趣味の釣り、バイク、キャンプなどを楽しみつつ、人生を謳歌していた。  そんなある日。電気工事の仕事で感電死……まだまだやりたいことがあったのにと嘆くと、なんと異世界転生していた!!  これは、異世界で工務店の仕事をしながら、異世界で独身生活を満喫するおじさんの物語。

【3部完結】ダンジョンアポカリプス!~ルールが書き変った現代世界を僕のガチャスキルで最強パーティーギルド無双する~

すちて
ファンタジー
謎のダンジョン、真実クエスト、カウントダウン、これは、夢であるが、ただの夢ではない。――それは世界のルールが書き変わる、最初のダンジョン。  無自覚ド善人高校生、真瀬敬命が眠りにつくと、気がつけばそこはダンジョンだった。得たスキルは『ガチャ』! クラスメイトの穏やか美少女、有坂琴音と何故か共にいた見知らぬ男性2人とパーティーを組み、悪意の見え隠れする不穏な謎のダンジョンをガチャスキルを使って善人パーティーで無双攻略をしていくが…… 1部夢現《ムゲン》ダンジョン編、2部アポカリプスサウンド編、完結済。現代ダンジョンによるアポカリプスが本格的に始まるのは2部からになります。毎日12時頃更新中。楽しんで頂ければ幸いです。

処理中です...