上 下
2 / 134
目指せ!魔法学園

ep1 高校初日

しおりを挟む
「いい天気だなぁ」

 朝陽がまぶしい。
 気温もあたたかい。
 高校生活第一歩となる日として、幸先の良いスタートが切れそうだ。

「あっ、せっかくだから拝殿はいでんに寄っておまいりしていくか」

 うちは神社なので、こういう時は便利だ。
 といっても、初詣はつもうで以外に神社へ参拝なんてめったに行かないけど。
 ましてや自分んちの神社なんかなおさらだ。
 けど、今日は特別。

「高校生活が、素晴らしいものとなりますように」

 ガラにもないお祈りだけど、かなり本気だ。

「ちゃんと友達ができますように」

 ず~っとぼっちだった中学時代。
 色のない中学校生活。
 ......もうあんな日々は繰り返したくない。
 あのとき失ってしまった青春を...高校で取り戻したい!
 
「もしできるなら、カワイイ彼女も......」

 なんてあまり望みすぎるのはよくないかな。
 
「......」

 目を閉じて手を合わせてお祈りしていると......突然、まぶたの外からなにか強い光を感じた。
 ん?と思いまぶたを開いたと思ったら、
「え??な、なんだこれ??」
 自分のまわりを神々しいまでの強烈な白光が覆っていた!
 もはや社殿しゃでんの姿も光で見えない。
 というか光以外になにも見えない。

「うわぁぁぁーーー!!」

 目をつぶって両腕で顔を覆った。

「......!」

 何秒経ったかわからない。
 たいした時間は経っていないはず。
 体感としては一瞬。
 
「光が......やんだ??」

 そ~っと目をひらき腕をさげる。
「えっ??」
 びっくり仰天した。
 
「こ、ここどこ!?」

 なんと、自分の立っている場所が、神社の拝殿ではなく森の中だった。

「ど、どういうことなんだ??」


 *


 もう何時間歩いた?
 てゆーかマジでここはどこなんだ?
 ずっと歩いているけど森から抜けられない。
 なぜかスマホの電源は入らなくなっちゃったし。

「クソッ!時計してくれば時間ぐらいはわかったのに!」

 まったくなんなんだ!
 高校生活初日に神隠し?
 フザけんな!
 なんでこんな目にわなきゃいけないんだ!

「このまま、遭難したらどうなるんだろう」

 にわかに強烈な不安が襲ってくる。
 いや違う。
 不安はずっと不安だったけど、その不安がいよいよ現実味を帯びてきたんだ。

「え、待って。俺...死ぬ??」

 足が止まる。
 膝がガクガクと震えてくる。
 
「やばいやばいやばいやばい......」

 その場でうずくまって頭を抱える。
 イヤだ。イヤだ。
 イヤだイヤだイヤだイヤだ!
 まだ死にたくない......!

「オイ!そこにいるのは誰だ!」

 え?誰かの声?
 
「答えろ!お前は何者だ!」
 
 人だ!
 やった!
 助けてもらえる!

「あ、あの!たたた助けてください!!」

 立ち上がって力いっぱい叫んだ。

「いいからこちらの質問に答えろ!お前は何者だ!?」

「え?あ、あの、た、助けて...」

「それともおれが見たことないだけで島の者なのか!?名前を名乗れ!!」

 名前?
 なんで?
 あの人......猟銃を持った...猟師?
 どうしよう。
 いや、相手がなんであれ助けてもらわないとどうしようもない!

「お、俺の名前、ですか??」

「はやく名乗れ!!」

「やそがみ......八十神天従やそがみたかつぐです!!」

「ヤソガミ...だと!?」

「は、はい!?八十神です!?」

「この......無礼者がぁ!!」

「へっ??」

「ヤソガミとは、この島...ヤソジマで信仰される多神教の神々の総称!そのヤソガミを名乗るとはキサマぁ!!」

「え?え?え?」

「怪しい者め!!」

 カチャッと猟銃を向けられた。
 ......え?俺、殺される!?

「ちょっ!待って...」

 バーン!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

美少女アンドロイドが色じかけをしてくるので困っています~思春期のセイなる苦悩は終わらない~

根上真気
キャラ文芸
4サイト10000PV達成!不登校の俺のもとに突然やって来たのは...未来から来た美少女アンドロイドだった!しかもコイツはある目的のため〔セクシープログラム〕と称して様々な色じかけを仕掛けてくる!だが俺はそれを我慢しなければならない!果たして俺は耐え続けられるのか?それとも手を出してしまうのか?これは思春期のセイなる戦い...!いざドタバタラブコメディの幕が切って落とされる!

今日で都合の良い嫁は辞めます!後は家族で仲良くしてください!

ユウ
恋愛
三年前、夫の願いにより義両親との同居を求められた私はは悩みながらも同意した。 苦労すると周りから止められながらも受け入れたけれど、待っていたのは我慢を強いられる日々だった。 それでもなんとななれ始めたのだが、 目下の悩みは子供がなかなか授からない事だった。 そんなある日、義姉が里帰りをするようになり、生活は一変した。 義姉は子供を私に預け、育児を丸投げをするようになった。 仕事と家事と育児すべてをこなすのが困難になった夫に助けを求めるも。 「子供一人ぐらい楽勝だろ」 夫はリサに残酷な事を言葉を投げ。 「家族なんだから助けてあげないと」 「家族なんだから助けあうべきだ」 夫のみならず、義両親までもリサの味方をすることなく行動はエスカレートする。 「仕事を少し休んでくれる?娘が旅行にいきたいそうだから」 「あの子は大変なんだ」 「母親ならできて当然よ」 シンパシー家は私が黙っていることをいいことに育児をすべて丸投げさせ、義姉を大事にするあまり家族の団欒から外され、我慢できなくなり夫と口論となる。 その末に。 「母性がなさすぎるよ!家族なんだから協力すべきだろ」 この言葉でもう無理だと思った私は決断をした。

【第三幕 完結】鬼狐ノ月 ~キコノツキ~

椋鳥
ファンタジー
高校一年生の紅月魁斗(こうづきかいと)は家族同然の幼馴染・亜里累(あさとるい)と共に母と三人、いつも通りの幸せな日々を過ごしてした。しかし、そんな幸せな日々は長くは続かなかった。夏休みを迎えたある日、これまでの平和だった日常が一変する。 いつものように、学校から家に帰った魁斗に悲劇的な事件が起きる。 事件後、命を狙われる危険と犯人への復讐を遂げるために、魁斗は世界に負けない力を求める。 目的を果たすべく、案内をしてくれたのは、まさかの幼馴染・累だった。累は魁斗を裏世界の住人である皆継左喩(みなつぎさゆ)に紹介する。その家系は鬼の血を継いでいると言われる異様な家だった。 裏世界で着実に力を身につけていく魁斗は、現代社会の裏側で三つの派閥が戦争を起こしていることを知る。 そんな非日常に慣れ始めた頃、最悪の刺客が現れ、魁斗は本格的に戦いに巻き込まれていく。 異能バトルアクション×恋愛×学園モノ。 日常と非日常が交錯するストーリー。 ~主要登場人物紹介~ 紅月魁斗(こうづきかいと) 主人公。事件が起きるまでは、普通の高校生。 亜里累(あさとるい) 魁斗にとって家族同然の幼馴染。秘密事が多い。魁斗以外に心を開いていない。 皆継左喩(みなつぎさゆ) 鬼の家系と呼ばれる皆継家の長女。才色兼備で学校の人気者。 青井暁斗(あおいあきと) 謎の転校生。

【完結】旦那様が私の不倫を疑って愛人を作っていました〜妹を私だと勘違いして友人達と彼女の婚約者を襲撃した?妹の婚約者は隣国の皇太子ですよ

冬月光輝
恋愛
伯爵家の嫡男であり、リムルの夫であるエリックは婚約しているときから、「浮気したら婚約破棄だからな」としつこい位に念押ししていた。 リムルはそれでもそこまで言うのは愛情が深いからだと特に気にすることなく結婚。 結婚してからも「不倫をしたら許さん。お前も相手も地獄に叩き落とす」と事あるごとに言い放ち、彼女を束縛していたが、リムルはそれでも夫に尽くしていた。 「お前が不倫していると聞いた。一昨日の夕方に男と会っていただろう。知ってるんだぞ。やっぱり僕とは財産狙いで結婚したのだな!」 胸倉を掴み、エリックはリムルに不倫をしたと凄む。 しかし、その日の夕方……リムルはエリックと共にいた。 彼女はそのことを話すと彼は納得しかけるも、首を振って「じゃあ他の日だった」と謝らない。 リムルはそんな彼に腹を立てる。財産狙い発言も自分の父親は公爵であるし、エリックの父親が頭を下げて成立した縁談なので納得がいかなかった。 そして、事件は起こった。 エリックにリムルが浮気していたと吹き込んだ友人たちが彼に「浮気現場を発見した」と騒ぎ出し、彼らはその現場に突入して二人に暴力を振るう。 しかし、そこにいたのはリムルの双子の妹のメリルとその婚約者。 しかも、メリルの婚約者は隣国の皇太子で……。 ちょうど、その頃……夫の愛人という女がリムルを訪ねていた。

逆行令嬢と転生ヒロイン

未羊
ファンタジー
【注意】この作品は自己転載作品です。現在の他所での公開済みの分が終了後、続編として新シリーズの執筆を予定しております。よろしくお願い致します。 【あらすじ】 侯爵令嬢ロゼリア・マゼンダは、身に覚えのない罪状で断罪、弁明の機会も無く即刻処刑されてしまう。 しかし、死んだと思った次の瞬間、ベッドの上で目を覚ますと、八歳の頃の自分に戻っていた。 過去に戻ったロゼリアは、処刑される未来を回避するべく、経過を思い出しながら対策を立てていく。 一大ジャンルとも言える悪役令嬢ものです

光のもとで1

葉野りるは
青春
一年間の療養期間を経て、新たに高校へ通いだした翠葉。 小さいころから学校を休みがちだった翠葉は人と話すことが苦手。 自分の身体にコンプレックスを抱え、人に迷惑をかけることを恐れ、人の中に踏み込んでいくことができない。 そんな翠葉が、一歩一歩ゆっくりと歩きだす。 初めて心から信頼できる友達に出逢い、初めての恋をする―― (全15章の長編小説(挿絵あり)。恋愛風味は第三章から出てきます) 10万文字を1冊として、文庫本40冊ほどの長さです。

貴族の家に転生した俺は、やり過ぎチートで異世界を自由に生きる

フリウス
ファンタジー
幼い頃からファンタジー好きな夢幻才斗(むげんさいと)。 自室でのゲーム中に突然死した才斗だが、才斗大好き女神:レアオルによって、自分が管理している異世界に転生する。 だが、事前に二人で相談して身につけたチートは…一言で言えば普通の神が裸足で逃げ出すような「やり過ぎチート」だった!? 伯爵家の三男に転生した才斗=ウェルガは、今日も気ままに非常識で遊び倒し、剣と魔法の異世界を楽しんでいる…。 アホみたいに異世界転生作品を読んでいたら、自分でも作りたくなって勢いで書いちゃいましたww ご都合主義やらなにやら色々ありますが、主人公最強物が書きたかったので…興味がある方は是非♪ それと、作者の都合上、かなり更新が不安定になります。あしからず。 ちなみにミスって各話が1100~1500字と短めです。なのでなかなか主人公は大人になれません。 現在、最低でも月1~2月(ふたつき)に1話更新中…

処理中です...