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7話 劣等感
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ちょうどこの頃は「オタク」という言葉が生まれた時代で、学校でも友達とゲームとプロレスと漫画の話ばかりしていた僕は、周りの活発な生徒達からは「オタッキー」と言われた。
今では「オタク」というものも、ジャンルやカテゴリーとして一般的な当たり前のものとして成立しているが、この頃はまだそうはなっていなかったように思う。
「オタッキー」と僕に言ってきた生徒に悪気があったかどうかはわからないし、本当に軽い気持ちでなんとなく言っただけなのかもしれないが、「オタッキー」と言われた時、僕は何か差別のような、迫害されたような気持ちになってしまい劣等感を募らせた。
言葉というものはとてもややこしく厄介で、どんな些細な言葉でも、受け手によっては、どこまでも残酷に変化してしまうものらしい。
特に子供にとっては、時に凄まじく、エゲツナイものである。
そもそも僕は、それ以前からも、何かにつけて自信が持てず、恥ずかしく、言い知れぬ劣等感があり、体育の授業なんかは本当に嫌いで、全力を出す事も、本気を出す事も、なんだかそれ自体がたまらなく恥ずかしくて、嫌で仕方なかった。
体育の授業というものは、健全な身体と精神を育むための教育の一環としての必須項目なのだろうが、僕が体育の授業で得たものは劣等感だけだった。
当然そこに付随する思い出も苦いものしかない。
そういえばこの頃から、僕はなぜか、自分から友達に電話ができなくなった。
自分から遊ぼうと誘えなくなってしまったのである。
おそらく、断られるのが怖くてしょうがなくてできなくなったのだろう。つまりマイナスを強く意識するようになったという事だ。
このマイナスへの意識の目覚めとその著しい飛躍は、その後の自分の人間形成へも深く影響を与えたように思う。
もっと極端に、カッコつけた言い方をすれば、この頃に、ある意味、自分の宿命みたいなものを決定付けられた気もしなくはないのである。
なぜなら、僕は未だに大人になれず、基本的な性格はこの頃とたいして変わっていないからだ。
この中学時代のある一時期、僕は急に、自分の親は本当の親ではないのではないかと、何の根拠もなく疑いだし、とてつもなく怖くなり、そんな不安がしばらく続いた事がある。
あれは何だったのだろうか。未だによくわからない。
こんな、苦い初恋と、マイナスへの意識に目覚めた中学校も、無事高校受験を成功し卒業するのだが、高校では、もっと違った、良い、新たな目覚めが僕に起こるのである。
今では「オタク」というものも、ジャンルやカテゴリーとして一般的な当たり前のものとして成立しているが、この頃はまだそうはなっていなかったように思う。
「オタッキー」と僕に言ってきた生徒に悪気があったかどうかはわからないし、本当に軽い気持ちでなんとなく言っただけなのかもしれないが、「オタッキー」と言われた時、僕は何か差別のような、迫害されたような気持ちになってしまい劣等感を募らせた。
言葉というものはとてもややこしく厄介で、どんな些細な言葉でも、受け手によっては、どこまでも残酷に変化してしまうものらしい。
特に子供にとっては、時に凄まじく、エゲツナイものである。
そもそも僕は、それ以前からも、何かにつけて自信が持てず、恥ずかしく、言い知れぬ劣等感があり、体育の授業なんかは本当に嫌いで、全力を出す事も、本気を出す事も、なんだかそれ自体がたまらなく恥ずかしくて、嫌で仕方なかった。
体育の授業というものは、健全な身体と精神を育むための教育の一環としての必須項目なのだろうが、僕が体育の授業で得たものは劣等感だけだった。
当然そこに付随する思い出も苦いものしかない。
そういえばこの頃から、僕はなぜか、自分から友達に電話ができなくなった。
自分から遊ぼうと誘えなくなってしまったのである。
おそらく、断られるのが怖くてしょうがなくてできなくなったのだろう。つまりマイナスを強く意識するようになったという事だ。
このマイナスへの意識の目覚めとその著しい飛躍は、その後の自分の人間形成へも深く影響を与えたように思う。
もっと極端に、カッコつけた言い方をすれば、この頃に、ある意味、自分の宿命みたいなものを決定付けられた気もしなくはないのである。
なぜなら、僕は未だに大人になれず、基本的な性格はこの頃とたいして変わっていないからだ。
この中学時代のある一時期、僕は急に、自分の親は本当の親ではないのではないかと、何の根拠もなく疑いだし、とてつもなく怖くなり、そんな不安がしばらく続いた事がある。
あれは何だったのだろうか。未だによくわからない。
こんな、苦い初恋と、マイナスへの意識に目覚めた中学校も、無事高校受験を成功し卒業するのだが、高校では、もっと違った、良い、新たな目覚めが僕に起こるのである。
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