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婚約破棄
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この国には獣王貴族がいる。獣王とはかつて大陸を統べた種族の頂点に居る者達を獣王と呼んだ。そして獣王と人間の間に絆が生まれ神様により獣王と人間の間に子供が出来た。それが我が国の獣王貴族の始まりだ。
華やかなダンスホール。ダンスに音楽に食事にと各々が自由に過ごしている。私も友人と話をしようとどこにいるのだろうかと探していた。
「僕は君との婚約を破棄する!」
そう言い放ったのはフレド・アシュタール様。私の姉の婚約者だ。こういう場合フレド様の隣に女性がいるはずだがフレド様お一人だ。ダンスホールに響いた大声に皆の視線が集まり音楽が止まる。フレド様の伸ばされた腕と指の先には我が姉、アリス・イルガーがいた。姉はキョトンとした顔でフレド様を見ている。
「婚約を破棄…ですか?私はフレド様をお慕いしております。私の何が駄目なのでしょう?なぜ破棄などと?」
フレド様の足がガクガクと震えている。そして声も震えていた。
「僕は君の愛に応えることはできない!!」
「応えなくて構いません。私がお慕いしているだけなのでフレド様はいるだけでよいのです」
「でも君と繋がりが欲しい貴族はいる!僕じゃなくてもいいと思うんだ!」
「私はフレド様でないと嫌です。フレド様は私がお嫌いですか?」
姉の悲しそうな顔。
「君が…君がイビルタイガーじゃなければ…!!」
イビルタイガー
かつてこの大陸に存在した獣。背中の羽根で空を飛び鋭い爪と牙で捕食する。大きな体で空を飛ぶ謎に関して議論されていたが魔法が使えることが判明した。そして自分より弱く気に入った物はギリギリまで命を弄ぶ残虐な獣だ。
かつて勇者と戦い負けたイビルタイガーは強いものに従うという習性がある。そのため勇者と行動し勇者と愛し合い絆が生まれた。そして私の祖先が誕生しイビルタイガーの血が濃いものが現れるようになった。
つまり、そういうことなのだ。
姉はイビルタイガーの習性が強い。自分より弱く気に入った物は可愛がる。嫌だと言われようが自分が満足するまで可愛がる。
「フレド様…悲しいですわ」
「ぼぼぼ僕は、君の愛が怖いから破棄する!!でも君の家との繋がりが必要だから君の妹と婚約する!!」
へ?今なんて?妹と婚約?つまり私?
姉が私を見る。じぃっと何も言わずに見る。怖い…!
「では、アリスは僕と婚約しよう」
甲高い少年の声。10歳くらいの少年がニコニコと見ている。この方は確か…。私はバッと頭を下げた。
獣王貴族、アルバート・アービッド様!!
アービッド家はアーマーラビットの獣王貴族。アーマーラビットは美しく可愛い見た目に反し高い防御力と繁殖能力を持つ。毎年子供が生まれているとかいないとか。もし、彼が姉に気に入られたら?高い防御力を誇るから姉の愛にも応えられそうだが。
「僕はアリスが大好きなんだ。彼女を手放すなんて勿体ないね」
ニコニコと笑みを浮かべる少年。姉さんは困惑している。
「そう申されましても私は少年を相手にはできませんわ」
何の話をしているんだ、姉よ?アルバート様が手を掲げ指を鳴らすと青年が現れた。美しい青年は儚げで消えてしまいそうな美青年。
「これならどうかな?」
「……悪くないですわ。フレド様。あなた様をお慕いしておりますしそれは変わりませんがフレド様を苦しめるのは嫌なので破棄を受け入れます。申し訳ありませんでした。後日書面を交わしましょう」
私はフレド様に近づくとプルプル震えていた。小鹿かな?理由がなんであれ、一人で立ち向かう勇気は褒め称えたい。
「えーと、家の繋がりのために婚約します?」
涙目で頷くフレド様に私の血が騒いだのは秘密だ。
終わり
華やかなダンスホール。ダンスに音楽に食事にと各々が自由に過ごしている。私も友人と話をしようとどこにいるのだろうかと探していた。
「僕は君との婚約を破棄する!」
そう言い放ったのはフレド・アシュタール様。私の姉の婚約者だ。こういう場合フレド様の隣に女性がいるはずだがフレド様お一人だ。ダンスホールに響いた大声に皆の視線が集まり音楽が止まる。フレド様の伸ばされた腕と指の先には我が姉、アリス・イルガーがいた。姉はキョトンとした顔でフレド様を見ている。
「婚約を破棄…ですか?私はフレド様をお慕いしております。私の何が駄目なのでしょう?なぜ破棄などと?」
フレド様の足がガクガクと震えている。そして声も震えていた。
「僕は君の愛に応えることはできない!!」
「応えなくて構いません。私がお慕いしているだけなのでフレド様はいるだけでよいのです」
「でも君と繋がりが欲しい貴族はいる!僕じゃなくてもいいと思うんだ!」
「私はフレド様でないと嫌です。フレド様は私がお嫌いですか?」
姉の悲しそうな顔。
「君が…君がイビルタイガーじゃなければ…!!」
イビルタイガー
かつてこの大陸に存在した獣。背中の羽根で空を飛び鋭い爪と牙で捕食する。大きな体で空を飛ぶ謎に関して議論されていたが魔法が使えることが判明した。そして自分より弱く気に入った物はギリギリまで命を弄ぶ残虐な獣だ。
かつて勇者と戦い負けたイビルタイガーは強いものに従うという習性がある。そのため勇者と行動し勇者と愛し合い絆が生まれた。そして私の祖先が誕生しイビルタイガーの血が濃いものが現れるようになった。
つまり、そういうことなのだ。
姉はイビルタイガーの習性が強い。自分より弱く気に入った物は可愛がる。嫌だと言われようが自分が満足するまで可愛がる。
「フレド様…悲しいですわ」
「ぼぼぼ僕は、君の愛が怖いから破棄する!!でも君の家との繋がりが必要だから君の妹と婚約する!!」
へ?今なんて?妹と婚約?つまり私?
姉が私を見る。じぃっと何も言わずに見る。怖い…!
「では、アリスは僕と婚約しよう」
甲高い少年の声。10歳くらいの少年がニコニコと見ている。この方は確か…。私はバッと頭を下げた。
獣王貴族、アルバート・アービッド様!!
アービッド家はアーマーラビットの獣王貴族。アーマーラビットは美しく可愛い見た目に反し高い防御力と繁殖能力を持つ。毎年子供が生まれているとかいないとか。もし、彼が姉に気に入られたら?高い防御力を誇るから姉の愛にも応えられそうだが。
「僕はアリスが大好きなんだ。彼女を手放すなんて勿体ないね」
ニコニコと笑みを浮かべる少年。姉さんは困惑している。
「そう申されましても私は少年を相手にはできませんわ」
何の話をしているんだ、姉よ?アルバート様が手を掲げ指を鳴らすと青年が現れた。美しい青年は儚げで消えてしまいそうな美青年。
「これならどうかな?」
「……悪くないですわ。フレド様。あなた様をお慕いしておりますしそれは変わりませんがフレド様を苦しめるのは嫌なので破棄を受け入れます。申し訳ありませんでした。後日書面を交わしましょう」
私はフレド様に近づくとプルプル震えていた。小鹿かな?理由がなんであれ、一人で立ち向かう勇気は褒め称えたい。
「えーと、家の繋がりのために婚約します?」
涙目で頷くフレド様に私の血が騒いだのは秘密だ。
終わり
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