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一章
第15話『審判の時』(1/4)
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ある組織により、打ち上げられた物体があった。
それはまるで太陽のようで、雲の上から謎の蒼い輝きを放っていた。
その輝きが一層強くなった瞬間叩きつけるような爆風を浴び、地表は壊滅的な打撃を受けた。
人々は後にいう、それは『青ノ審判』だと。
そしてこの日、光を浴びたすべての日本人がウイルスに罹患した。
――日本人魔法化計画、第一段完了。
計画はゴダードかリナのどちらかによって遂行された。
生み出したのは、『青い太陽』と呼べる物だ。
それが空中に浮かび雲の上まで到達したころ、恐らくは都内全土を爆風が襲った。
そして残ったのは瓦礫の山ばかりで、地下にいたヒロは助かった。
ところが、地上にいた者の末路は察するに余りある。
生きていた地下鉄の階段を上がり、なんとかして地上に上がったヒロは、破壊の酷さをみて呆気に取られる。
ところがラピスは何でもない風に、この程度で良かったと言った。
なぜなら、ひとは死なずに建物だけが崩壊したからだ。
この不思議な現象は、決して偶然とは言えない物だった。
人は罹患し即時発症した場合、最強の防御魔法が張られる。
それは誕生の時だけに限定して、1回だけ張られる防御魔法だ。
それにより、罹患したのち『青ノ太陽』が暴発したのは幸いだった。
そのあたりは時間差で起きたもので、ゴダード教授かリナのどちらかは計算した上での行動だったのだろう。
この規模ならセトラーに対抗できる勇者ウイルスが発症するのも期待が持てると言うものだ。
全員罹患することで現れる勇者ウイルスは、一定の確率で出現する。
今度はその対処対応が必要だ。
ヒロはどこか使命感に似た何かを感じ、行動を開始した。
もちろん傍には、美少女のラピスがいる。
そしてつぶさに何度も頭の中に言葉がこだました。
『勇者を倒さず、勇者を守れ』
『神でもないし、運命でもない』
『抗う力はヒロと共にある』
言葉を噛み締めるようにヒロとラピスは動き出した。
リナは事情も知りながら何かを画策し始めて、ゴダードはあえて知らぬフリなのか、来るべきときに向けて準備をそれぞれが始めた。
この三人は今世の状況でも絆は深く、ただ互いに手段と方法や目的が異なるだけだ。恐らくは着地は皆一緒。だから互いを信用してそれぞれでアプローチをする。
そしてついに三人同時に久しぶりに邂逅した。
互いを気遣いながらも、同じ着地に向けて動いている。
それは今日改めてわかった。
一同が邂逅したのは、大学のあの大木のある研究室だ。
先の爆風から、大木があるおかげで校舎全体に防御膜が貼られており、あの爆風を防いだのであった。
ヒロが研究室に着くと、ちょうど上空からリナが降下してきていた。また、すでに研究室には、ゴダード教授が大木を見上げる形で立っていた。
ヒロはゆっくりと着地するリナに向けて声をかけた。
「リナさん……」
するとテレビで見た感じとは異なり、そこにはいつも研究室で接してくれたリナの雰囲気で話してくれた。
「ヒロくんは変わらずね。そこが良いんだけどね。ね、セトラーのことは聞いたでしょ?」
リナは当然のことのように聞くあたり、それを踏まえての行動をすでにしていたことが窺い知れる。そこでヒロはリナも苦労をしていたんだと思い、あまり歯切れの良くない返事を返してしまう。
「はい……」
組織を率いるなんて、今のヒロでは想像もつかない苦労を味わっているんだろうと察したからだ。
そのようなことは微塵も感じさせず、いつもの感じのリナはいう。
「私は私の方で動くわ、これはリスク分散よ? ヒロくんもラピスだっけ? 彼女と進めていって」
そこでどこか、心の拠り所たる古巣のリナとゴダードがいることで、思わず弱音に近い本音が現れてヒロはいう。
「力を合わせた方が……」
ところがあっさりとそれはやんわりと拒否されてしまう。ヒロも頭ではわかっていたことだった。リスク分散のための三人での別行動であることを。
それの答え合わせかのように、リナは答える。
「私も最初はそれを考えたわ。でもね、これは失敗できないの。だから一つに絞るより、リスクを分散した方がいいわ。そうでしょう、ゴダード教授」
ゴダードは気配を消していたものの、この二人には効果が無いことがわかり、苦笑いしながらゴダードは言った。
「気がついていたか……」
リナは、さも当然と言わんばかりの態度でいう。
「当たり前でしょ? この三人で何年一緒にしていたと思っているの?」
これには、ゴダードもお互いそれだけ長いし、よく知っている同士だと思い言う。
「それもそうだな……」
リナは情報交換しましょと言う感じで軽く聞いてきた。
「それで教授も自らの考えで動くの?」
ゴダードはとくに臆せずありのままを伝えた。
「ああ、リナと同じ意見だ。今はリスクを分散して、可能な限り可能性を残したい。それができるのは我々三人だけだ」
二人の会話を聞き、ヒロは自らも動くことを改めて二人に伝えた。
「そうですか、わかりました。俺もラピスと思うことがあるので、やってみます」
そこでリナは彼女なりに知る情報も含めて、ヒロへ伝えた。
「そうよ、その調子よ。ヒロ君の場合、対抗として天敵の魔人になれるからね」
まさかこのタイミングですでに把握していたとなると、だいぶ前に知っていたのだろうとヒロは予測しいう。
「知っていたんですね……」
ゴダードもすでに把握していたとみて、彼の計画の一端を担うようなニュアンスも汲み取れた。
それはまるで太陽のようで、雲の上から謎の蒼い輝きを放っていた。
その輝きが一層強くなった瞬間叩きつけるような爆風を浴び、地表は壊滅的な打撃を受けた。
人々は後にいう、それは『青ノ審判』だと。
そしてこの日、光を浴びたすべての日本人がウイルスに罹患した。
――日本人魔法化計画、第一段完了。
計画はゴダードかリナのどちらかによって遂行された。
生み出したのは、『青い太陽』と呼べる物だ。
それが空中に浮かび雲の上まで到達したころ、恐らくは都内全土を爆風が襲った。
そして残ったのは瓦礫の山ばかりで、地下にいたヒロは助かった。
ところが、地上にいた者の末路は察するに余りある。
生きていた地下鉄の階段を上がり、なんとかして地上に上がったヒロは、破壊の酷さをみて呆気に取られる。
ところがラピスは何でもない風に、この程度で良かったと言った。
なぜなら、ひとは死なずに建物だけが崩壊したからだ。
この不思議な現象は、決して偶然とは言えない物だった。
人は罹患し即時発症した場合、最強の防御魔法が張られる。
それは誕生の時だけに限定して、1回だけ張られる防御魔法だ。
それにより、罹患したのち『青ノ太陽』が暴発したのは幸いだった。
そのあたりは時間差で起きたもので、ゴダード教授かリナのどちらかは計算した上での行動だったのだろう。
この規模ならセトラーに対抗できる勇者ウイルスが発症するのも期待が持てると言うものだ。
全員罹患することで現れる勇者ウイルスは、一定の確率で出現する。
今度はその対処対応が必要だ。
ヒロはどこか使命感に似た何かを感じ、行動を開始した。
もちろん傍には、美少女のラピスがいる。
そしてつぶさに何度も頭の中に言葉がこだました。
『勇者を倒さず、勇者を守れ』
『神でもないし、運命でもない』
『抗う力はヒロと共にある』
言葉を噛み締めるようにヒロとラピスは動き出した。
リナは事情も知りながら何かを画策し始めて、ゴダードはあえて知らぬフリなのか、来るべきときに向けて準備をそれぞれが始めた。
この三人は今世の状況でも絆は深く、ただ互いに手段と方法や目的が異なるだけだ。恐らくは着地は皆一緒。だから互いを信用してそれぞれでアプローチをする。
そしてついに三人同時に久しぶりに邂逅した。
互いを気遣いながらも、同じ着地に向けて動いている。
それは今日改めてわかった。
一同が邂逅したのは、大学のあの大木のある研究室だ。
先の爆風から、大木があるおかげで校舎全体に防御膜が貼られており、あの爆風を防いだのであった。
ヒロが研究室に着くと、ちょうど上空からリナが降下してきていた。また、すでに研究室には、ゴダード教授が大木を見上げる形で立っていた。
ヒロはゆっくりと着地するリナに向けて声をかけた。
「リナさん……」
するとテレビで見た感じとは異なり、そこにはいつも研究室で接してくれたリナの雰囲気で話してくれた。
「ヒロくんは変わらずね。そこが良いんだけどね。ね、セトラーのことは聞いたでしょ?」
リナは当然のことのように聞くあたり、それを踏まえての行動をすでにしていたことが窺い知れる。そこでヒロはリナも苦労をしていたんだと思い、あまり歯切れの良くない返事を返してしまう。
「はい……」
組織を率いるなんて、今のヒロでは想像もつかない苦労を味わっているんだろうと察したからだ。
そのようなことは微塵も感じさせず、いつもの感じのリナはいう。
「私は私の方で動くわ、これはリスク分散よ? ヒロくんもラピスだっけ? 彼女と進めていって」
そこでどこか、心の拠り所たる古巣のリナとゴダードがいることで、思わず弱音に近い本音が現れてヒロはいう。
「力を合わせた方が……」
ところがあっさりとそれはやんわりと拒否されてしまう。ヒロも頭ではわかっていたことだった。リスク分散のための三人での別行動であることを。
それの答え合わせかのように、リナは答える。
「私も最初はそれを考えたわ。でもね、これは失敗できないの。だから一つに絞るより、リスクを分散した方がいいわ。そうでしょう、ゴダード教授」
ゴダードは気配を消していたものの、この二人には効果が無いことがわかり、苦笑いしながらゴダードは言った。
「気がついていたか……」
リナは、さも当然と言わんばかりの態度でいう。
「当たり前でしょ? この三人で何年一緒にしていたと思っているの?」
これには、ゴダードもお互いそれだけ長いし、よく知っている同士だと思い言う。
「それもそうだな……」
リナは情報交換しましょと言う感じで軽く聞いてきた。
「それで教授も自らの考えで動くの?」
ゴダードはとくに臆せずありのままを伝えた。
「ああ、リナと同じ意見だ。今はリスクを分散して、可能な限り可能性を残したい。それができるのは我々三人だけだ」
二人の会話を聞き、ヒロは自らも動くことを改めて二人に伝えた。
「そうですか、わかりました。俺もラピスと思うことがあるので、やってみます」
そこでリナは彼女なりに知る情報も含めて、ヒロへ伝えた。
「そうよ、その調子よ。ヒロ君の場合、対抗として天敵の魔人になれるからね」
まさかこのタイミングですでに把握していたとなると、だいぶ前に知っていたのだろうとヒロは予測しいう。
「知っていたんですね……」
ゴダードもすでに把握していたとみて、彼の計画の一端を担うようなニュアンスも汲み取れた。
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