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一章
第8話『青ノ力』(5/9)
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あまりのうめき声なので、心配になりヒロは声をかける。
「大丈夫? なのか?」
視界には赤面し息を荒くしているラピスがみえると同時に、先の銀色の液体金属でできたラピスが動き始めた。
どこか自信満々な笑みを見せるとラピスはいう。
「できた! あたしの遠隔コントロール!」
バク転をしたり、回し蹴りを繰り出したりとしなやかな動きを見せる。
そこでヒロはラピスへ尋ねた。
「もしかして近接戦闘ができるとか?」
ラピスは自信満々に答えた。
「そうよ! そのまさかのまさか」
これだけの身体能力に加えて魔法が使えたら戦闘力はかなり高くなる。
「魔法は使えるのか?」
どうやらそこまですぐには難しい様子で歯切れ悪くラピスはいう。
「今はちょっとそこまでは無理ね……」
その体の動かし方から、純粋に同じく戦う仲間として安心できた。
「とはいえ、仲間が加わるのは心強いな。普通に俺より熟達の域に達しているように見えるぞ?」
ラピスはどういうわけか眉をハの字にしながら、過去に何かあったのかいう。
「まあ、あたしは経験があるからね」
これについてはあまり深く聞かない方がいいだろうとヒロは考え、言葉を区切る。
「助かる」
勿体ぶるようにラピスはヒロへ告げる。
「でもね。服っぽいのを装着した状態にするから、いつまでも見せられないの?」
自分で想像して作ってしまったとはいえ、相手は意思ある者だ。非常に気まずいとヒロは思い詫びる。
「わかっているって。すまない」
すると、途端に楽しそうにラピスは笑う。
「イヒヒヒ。ヒロ可愛いー」
そこでヒロはおもむろに、手の甲から短刀に近いブレードを突出させた。
「俺の武器はこれでいけるか……」
それを見たラピスは、思い出したようにいう。
「まだまだ液体金属はあるし、回収もできるから遠慮せずに使って」
武器を確認でき、最悪は超振動兵器での掌底で破壊することを考えていたヒロにとっては新たに武器が増えたのは幸いだった。さらに防具もこれで調達できるならなおよく、考えてみた。
「ああ、わかった。防具もイメージしてみるか……」
ヒロがイメージしたのは人の姿に近い。
すると、心臓の位置あたりから全身に広がるように液体金属が体を侵食していった。
全身をウエットスーツなような物を着込み、柔軟性もありながら全身を防御する感じだ。甲冑だとどうしても動きが悪くなりそうだからだ。
メリケンサックも付与されており、頭部はフルフェイスのヘルメットを装着したような状態にしている。呼吸はまったく苦しくなく、むしろ少し快適にさえ感じる。
ラピスはさらに特別なことを告げる。
「体が動かなければ、液体金属側にある程度委ねられるわ」
ヒロは内心驚愕していた。ここまでの科学技術があるのかと、仕組みの方が気になってはいるものの、気持ちは抑えながらラピスに問う。
「それって、半分は自動で強制的に体を動かしてくれるとか、そういうのか?」
ラピスは元気よく答えた。
「YES! そのとおりよ!」
ヒロは自分の想像していたことがあっているか答え合わせをした。
「つまり、経験のある戦闘のプロが、俺の体を強制的に動かし対応できると?」
あっさりとラピスはこの仕組みを答えてくれた。
「そうね、それに近いわ。厳密にいうと『AI 戦闘プログラム』からね」
もうこうなると、この科学はある意味なんでもありだとさえ思えてしまう。
「これも意識するだけで作動するのか?」
ラピスはこのプログラムが正常に稼働するとは思ってはいるものの、強敵と遭遇する前に検証をしたいと考えていた。
「もちろんよ。だから手頃な敵で試してみたいけど……」
ヒロはラピスのいうこともあり、1階層をもう少し探索してみることにした。
かなり広々とした場所なため、液体金属の防御状態のまま、液体金属のラピスを連れて歩みを進めた。
すれ違う者はおらず、遭遇する者もいない。
それだけ横に広くまた、入った者もまだ少ないのかもしれない。
このヒロの体から離れたラピス風の液体金属は、今やラピスが任意に操作をしている。
道中、水たまりの状態に変化してみたり、唐突に立方体になったりと人型以外にも変化し、動きを確認するかのように実践していた。
ラピスは水たまりの姿で、器用に前に進む姿を見てヒロはいう。
「なあ、その姿の方が敵は油断するし、攻撃がしずらいから有利では?」
水たまりの姿でラピスはため息をつくようにいう。それは自身の造形美とも言えるプロポーションを披露できないこともあるためだ。
「そうね……。なんかあたしもそんな気がしてきた」
ラピスのため息が響く。
「大丈夫? なのか?」
視界には赤面し息を荒くしているラピスがみえると同時に、先の銀色の液体金属でできたラピスが動き始めた。
どこか自信満々な笑みを見せるとラピスはいう。
「できた! あたしの遠隔コントロール!」
バク転をしたり、回し蹴りを繰り出したりとしなやかな動きを見せる。
そこでヒロはラピスへ尋ねた。
「もしかして近接戦闘ができるとか?」
ラピスは自信満々に答えた。
「そうよ! そのまさかのまさか」
これだけの身体能力に加えて魔法が使えたら戦闘力はかなり高くなる。
「魔法は使えるのか?」
どうやらそこまですぐには難しい様子で歯切れ悪くラピスはいう。
「今はちょっとそこまでは無理ね……」
その体の動かし方から、純粋に同じく戦う仲間として安心できた。
「とはいえ、仲間が加わるのは心強いな。普通に俺より熟達の域に達しているように見えるぞ?」
ラピスはどういうわけか眉をハの字にしながら、過去に何かあったのかいう。
「まあ、あたしは経験があるからね」
これについてはあまり深く聞かない方がいいだろうとヒロは考え、言葉を区切る。
「助かる」
勿体ぶるようにラピスはヒロへ告げる。
「でもね。服っぽいのを装着した状態にするから、いつまでも見せられないの?」
自分で想像して作ってしまったとはいえ、相手は意思ある者だ。非常に気まずいとヒロは思い詫びる。
「わかっているって。すまない」
すると、途端に楽しそうにラピスは笑う。
「イヒヒヒ。ヒロ可愛いー」
そこでヒロはおもむろに、手の甲から短刀に近いブレードを突出させた。
「俺の武器はこれでいけるか……」
それを見たラピスは、思い出したようにいう。
「まだまだ液体金属はあるし、回収もできるから遠慮せずに使って」
武器を確認でき、最悪は超振動兵器での掌底で破壊することを考えていたヒロにとっては新たに武器が増えたのは幸いだった。さらに防具もこれで調達できるならなおよく、考えてみた。
「ああ、わかった。防具もイメージしてみるか……」
ヒロがイメージしたのは人の姿に近い。
すると、心臓の位置あたりから全身に広がるように液体金属が体を侵食していった。
全身をウエットスーツなような物を着込み、柔軟性もありながら全身を防御する感じだ。甲冑だとどうしても動きが悪くなりそうだからだ。
メリケンサックも付与されており、頭部はフルフェイスのヘルメットを装着したような状態にしている。呼吸はまったく苦しくなく、むしろ少し快適にさえ感じる。
ラピスはさらに特別なことを告げる。
「体が動かなければ、液体金属側にある程度委ねられるわ」
ヒロは内心驚愕していた。ここまでの科学技術があるのかと、仕組みの方が気になってはいるものの、気持ちは抑えながらラピスに問う。
「それって、半分は自動で強制的に体を動かしてくれるとか、そういうのか?」
ラピスは元気よく答えた。
「YES! そのとおりよ!」
ヒロは自分の想像していたことがあっているか答え合わせをした。
「つまり、経験のある戦闘のプロが、俺の体を強制的に動かし対応できると?」
あっさりとラピスはこの仕組みを答えてくれた。
「そうね、それに近いわ。厳密にいうと『AI 戦闘プログラム』からね」
もうこうなると、この科学はある意味なんでもありだとさえ思えてしまう。
「これも意識するだけで作動するのか?」
ラピスはこのプログラムが正常に稼働するとは思ってはいるものの、強敵と遭遇する前に検証をしたいと考えていた。
「もちろんよ。だから手頃な敵で試してみたいけど……」
ヒロはラピスのいうこともあり、1階層をもう少し探索してみることにした。
かなり広々とした場所なため、液体金属の防御状態のまま、液体金属のラピスを連れて歩みを進めた。
すれ違う者はおらず、遭遇する者もいない。
それだけ横に広くまた、入った者もまだ少ないのかもしれない。
このヒロの体から離れたラピス風の液体金属は、今やラピスが任意に操作をしている。
道中、水たまりの状態に変化してみたり、唐突に立方体になったりと人型以外にも変化し、動きを確認するかのように実践していた。
ラピスは水たまりの姿で、器用に前に進む姿を見てヒロはいう。
「なあ、その姿の方が敵は油断するし、攻撃がしずらいから有利では?」
水たまりの姿でラピスはため息をつくようにいう。それは自身の造形美とも言えるプロポーションを披露できないこともあるためだ。
「そうね……。なんかあたしもそんな気がしてきた」
ラピスのため息が響く。
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