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一章
第3話『東京新異世界研究』(1/2)
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あの魔法ウイルスに感染してからも変わらず、ヒロは研究室へ通っていた。
すでにそこには、大学の同じ研究室にいた助教授のリナも教授のゴダードも1週間以上、顔を合わせていない。
ここに訪れた形跡も見られないどころか、大学もこの状態は何事もなかったかのように振る舞う。
さらには、大木が天井を貫通したこの場所で雨漏りがしそうなものの、何かの現象なのか、一切そのようなことが起きていない。
異常といえば異常だけども事情聴取されることもなく、今のところは平穏無事にヒロは学生生活を続けている。
一体どうしたことなのか、わからないことだらけでぼんやりと大木を眺めてしまう。
あの葉っぱに触れた時、明らかに何かが起きた。そしてこの目の前にある大木だ、起きていないとすること自体が非現実的だ。
あのテレビで助教授のリナはヒロとラピスの予想どおり、散々煽り最終的には軍から一斉砲火をあびると無傷で生還した。
その姿は、まるでリゾート地でそよ風でも浴びているのかのごとく、優雅で涼しげな印象だった。
やはり狙いは、力のある教祖を過剰に演出することだった。
その根拠として、現場の実況中継をするテレビ関係者から、独占取材を受けようとしていた。
それは、自分自身へインタビューをさせて、その答えをもってして宣伝にしようと目論んでいるのは明らかに見えた。
すぐその場には、空中を旋回していたヘリコプターがおり、そこにいる取材班たちを手招きで呼び寄せた。
んなこともあろうかという所ではあるものの、なるべくしてなったとも言える。
あのテレビの場面を振り返るとこのような様子だった……。
女性レポーターは、誰もが聞きたかったことを聞く。
「恐れ入ります。まずはあなたは何者で、どのような力を使い、何を目的にしてこの地に立つのですか?」
喋り方まで変わってしまった助教授のリナがそこにいた。
「ふふふ。魔法をご存知で? 今あなた方が目撃した力は魔法。皆が夢にみた魔法ですわ」
リポーターはあくまで、事実確認に努めていた。
「魔法ですか? 魔法とは何でどのような物ですか?」
リナは手招きするようにして言った。
「よくご覧なさい。これが魔法よ」
すると、手のひらを胸の位置で地面から水平にして上に向けると、光が集約する様子をカメラは捉える。
この集めた光がサッカーボールほど大きさになると、浮かび上がらせ勢いよく斜向かいのビルに激突していく。
まるでミサイルが衝突したかのように、ビルは木っ端微塵に砕け散ってしまった。
リポーターはあくまでも事実として受け止め、話を続けた。
「その超常的な力を魔法とおっしゃるのでしょうか。あなたはその力を使い何を目的にしているのですか?」
このままでいくと単なるテロ組織になってしまう。
それなのにリナはどこか妖艶な笑みを見せて、一呼吸間をおくとゆっくりと余裕を見せて語る。
「もう、せっかちね……。私は教祖リナ。魔法教の初代教祖よ」
意外な展開にリポーターも次の質問が追いついていなく、目先のことを聞いてしまう。
「教祖ですか? 何かを布教しにいらしたのですか?」
わかりきった答えであっても傲慢にならず、かといって媚を売らず淡々と助教授のリナは語りかける。
「ええ、そうよ。じきに貴方も魔法を使えるようになるわ。そこの貴方も」
言葉を聞き、互いに顔を見合わせるテレビクルーたち。
リポーターは食い下がるように尋ねる。
「仮に使えたとして、なぜ貴方がですか?」
よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの顔をして、リナは答えた。
「今見てもらったように、私には現代兵器すら通用させない力がありますわ。さらに言えば、魔法に早くも精通した者である責任として、皆を導きたく存じますわ」
リポーターは未知なる物事を誘導されるまま聞いてしまう。
「導くですか? どこに?」
リナは自分の豊かな胸元にそっと人差し指をさして、先端を埋もれさせていう。
「ここよ」
リポーターは、少し不満そうな表情を一瞬浮かべた後、再度尋ねた。
「そこには何があるというのですか?」
リナは平然と答えを語る。
「心よ? 魔力と心は密接なの。だから私が導いてあげますわ。魔法に精通した魔法教の教祖として。あの塔にいるから、希望者はくるといいわ」
リナはそういうと、旧東京Xタワーを指差す。
あのタワーはX字型で、かなり奇抜な建物でもある。
ただし巨大な分、周りを一望できるし、何より誰にでも一目瞭然でわかりやすい。確かに集めるにはもってこいの場所だ。
リナはこれで終わりと言いたいのか、優雅に一礼をするとそのまま空中に浮かび上がり、旧東京Xタワーへ向けて飛び去ってしまう。
それをレポーターはカメラで見送り、この今回の独占インタビューについて締めくくる。
果たしてこの影響はどのぐらい広がるのか。恐らく国内は大騒動になるだろう。
ヒロはこれからのことに、漠然と不安を感じ名前をつぶやく。
「……リナさん」
すでにそこには、大学の同じ研究室にいた助教授のリナも教授のゴダードも1週間以上、顔を合わせていない。
ここに訪れた形跡も見られないどころか、大学もこの状態は何事もなかったかのように振る舞う。
さらには、大木が天井を貫通したこの場所で雨漏りがしそうなものの、何かの現象なのか、一切そのようなことが起きていない。
異常といえば異常だけども事情聴取されることもなく、今のところは平穏無事にヒロは学生生活を続けている。
一体どうしたことなのか、わからないことだらけでぼんやりと大木を眺めてしまう。
あの葉っぱに触れた時、明らかに何かが起きた。そしてこの目の前にある大木だ、起きていないとすること自体が非現実的だ。
あのテレビで助教授のリナはヒロとラピスの予想どおり、散々煽り最終的には軍から一斉砲火をあびると無傷で生還した。
その姿は、まるでリゾート地でそよ風でも浴びているのかのごとく、優雅で涼しげな印象だった。
やはり狙いは、力のある教祖を過剰に演出することだった。
その根拠として、現場の実況中継をするテレビ関係者から、独占取材を受けようとしていた。
それは、自分自身へインタビューをさせて、その答えをもってして宣伝にしようと目論んでいるのは明らかに見えた。
すぐその場には、空中を旋回していたヘリコプターがおり、そこにいる取材班たちを手招きで呼び寄せた。
んなこともあろうかという所ではあるものの、なるべくしてなったとも言える。
あのテレビの場面を振り返るとこのような様子だった……。
女性レポーターは、誰もが聞きたかったことを聞く。
「恐れ入ります。まずはあなたは何者で、どのような力を使い、何を目的にしてこの地に立つのですか?」
喋り方まで変わってしまった助教授のリナがそこにいた。
「ふふふ。魔法をご存知で? 今あなた方が目撃した力は魔法。皆が夢にみた魔法ですわ」
リポーターはあくまで、事実確認に努めていた。
「魔法ですか? 魔法とは何でどのような物ですか?」
リナは手招きするようにして言った。
「よくご覧なさい。これが魔法よ」
すると、手のひらを胸の位置で地面から水平にして上に向けると、光が集約する様子をカメラは捉える。
この集めた光がサッカーボールほど大きさになると、浮かび上がらせ勢いよく斜向かいのビルに激突していく。
まるでミサイルが衝突したかのように、ビルは木っ端微塵に砕け散ってしまった。
リポーターはあくまでも事実として受け止め、話を続けた。
「その超常的な力を魔法とおっしゃるのでしょうか。あなたはその力を使い何を目的にしているのですか?」
このままでいくと単なるテロ組織になってしまう。
それなのにリナはどこか妖艶な笑みを見せて、一呼吸間をおくとゆっくりと余裕を見せて語る。
「もう、せっかちね……。私は教祖リナ。魔法教の初代教祖よ」
意外な展開にリポーターも次の質問が追いついていなく、目先のことを聞いてしまう。
「教祖ですか? 何かを布教しにいらしたのですか?」
わかりきった答えであっても傲慢にならず、かといって媚を売らず淡々と助教授のリナは語りかける。
「ええ、そうよ。じきに貴方も魔法を使えるようになるわ。そこの貴方も」
言葉を聞き、互いに顔を見合わせるテレビクルーたち。
リポーターは食い下がるように尋ねる。
「仮に使えたとして、なぜ貴方がですか?」
よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの顔をして、リナは答えた。
「今見てもらったように、私には現代兵器すら通用させない力がありますわ。さらに言えば、魔法に早くも精通した者である責任として、皆を導きたく存じますわ」
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「導くですか? どこに?」
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「ここよ」
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