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一章
第15話:異世界階段の謎と紅い女神の警告
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悠人一行は、冒険の途中、ヴィルライベルの町へと足を踏み入れていた。目的は明確であり、それは階位を上げること。悠人自身に加えてリリス、アイラ、そして昨日救出したばかりの少女クロエも一行に加わっていた。
クロエは非常に優秀な少女で、「聖雷光」という閃光を放つ力を持つ。奴隷として売られていたにもかかわらず、なぜこのような強力な力を持つに至ったのかは大いなる疑問だった。この聖雷光は、神眼の泉で回復した後に使えるようになったものであり、育つ過程で何度も発動の機会があったものの、その要因が理解できずにいたようだ。まさか、あの聖なる水が解答となるとは、縁の不思議を感じざるを得ない。
クロエの能力は、真眼の瞳を通じてあらゆる真実を看破することができ、敵に施された見えないマーキングさえも把握し、神眼の泉で除去することが可能だ。彼女はまた、敵の力量を測定し、その情報を共有することができる――まさに戦闘に特化した才能を持っている。
さらにリリスにより魔力を増強することで、クロエの聖雷光は神雷光へと進化し、その破壊力は一段と増す。クロエが初めて悠人たちと出会った時、彼女は日本人だという話や、他にも伝えたいことがあると言っていたが、それは二人きりの時に話すことを望んでおり、悠人はまだ詳しい話を聞けていなかった。
今、彼らの生活は「神眼の泉」を探求し、階位を上げること、そして生活費を稼ぐために狩りを重ねる日々だった。悠人はまだ「総裁」の階位に留まっており、「大総裁」への昇格は遠く感じられる。どのカードを引くのかも運命の一環であり、新たなカードには期待を寄せつつも、かつてゲールが手も足も出なかった「黄金タロット」の力に触れることができるかどうかは、未だに大きな謎のままだ。悠人にとって、その力は必死の願いが原因で発動したが、現在ではどれほど願ってもその力は発動しない。
悠人が抱えるもう一つの大きな疑問は、ある高位貴族からの警告、「紅い女神に気をつけろ」という言葉を立て続けに二回もらったことだった。しかも二人とも悠人のことを祇園と呼び、その素性を知っている。リリスがかつて死神だった時に遭遇した女神は、緑色の髪をしており、紅とは異なっていたが、目だけは赤かった。一方、悠人が初めて出会った女神の髪は金髪に見えたが、記憶では赤系という不可解な食い違いがあった。悠人は、その女神がもし「紅い女神」と呼ばれるならば、彼を蘇生させたその女神の目的は一体何だったのかと深く考え込んでいた。
そして、「反応石」が真下を指していることも気がかりだった。アイラによると、暗黒の森がある十六階層より下の階層はほとんど情報がなく、足を踏み入れる者は少ない。しかし、石が指し示す以上、悠人たちはその先へと進まなければならないと考えていた。明日からの探索に向けて、今夜、リリスとアイラと相談する予定だった。
夜――。
ヴィルライベルの宿屋で、悠人は手に持った反応石をリリス、アイラ、そしてクロエに見せた。「これを見てくれ」と言いながら石を裏返すと、光は一貫して下を指し続けた。
「俺はこれが何かを確認しておきたい」と悠人は言い、アイラは興味深そうに目を輝かせた。「行ってみましょう。伯爵の手帳にもこの下の階層を調査した記録が残っていて、役立つかもしれないわ」と彼女は提案した。
「それは出現する敵の情報か? それとも別の情報なのか?」悠人が尋ねると、アイラは頷いた。「その両方よ。あと宝箱が一定間隔で出現する場所が、その階層から始まるみたい。兄は調査を手伝っていた可能性が高いわ」
「なるほどな。尚更調査をした方がいいな。何か異論はあるか? なければ明日向かいたい」と悠人が周囲を見渡すと、アイラは即座に答えた。「ええ、行きましょう。私も兄の痕跡を調べたいわ」と彼女は決意を新たにした。一方、クロエは悠人をじっと見つめながら「どこまでも悠人さまのお供をいたします」と熱心に語った。
悠人はクロエの一途な態度に苦笑いを浮かべると、リリスが突然の疑問を投げかけた。「もしかして、このさらに下の階層に、天然の居城があるとか?」彼女の声は好奇心に満ちていた。
アイラは首を横に振った。「その情報までは掴んでいないわ。向かう人がいない理由が魔獣が強いというのもあるし、独占迷宮でお金が稼げるから、リスクが少ない方がいいと考えている人も一定数いるのよね。だから、なかなか情報が集まらないわ」と説明した。
「ちなみに、十七層にいる魔獣の特徴はわかるか?」悠人がさらに掘り下げるように聞くと、アイラは「ええ、あの一つ目の巨人よ」と回答した。悠人たちは以前、伯爵の館でその魔獣と戦っており、その能力と性質を理解していた。悠人は興味を持った宝箱についてさらに詳しく知りたがって、「宝箱はどの位置に現れて、何が出るかは記載あるか?」と質問した。
「それはね……。えーっと」とアイラが言葉を濁しながら手帳を捲り始め、「あっ、あった! これね。こう書かれているわ。『石碑を起点にして二百メートル以内に数個現れることがある。出現時間は不明で消失時間も不明だ。中身は箱の質により異なり、確認できた内容は金銀鉄の三種類の箱があり、大きさは無作為に選ばれているようだ』と」と彼女は読み上げた。
「少なくとも消えるわけか……。それなら知らずに帰ることも十分あり得るな」と悠人は言った。
「そうね。中身は、『回復薬から成長薬さらには武器や防具もあり、使い方のわからない品も多数ある』と書かれているわ」とアイラが付け加えた。一行はその情報を聞き、内容からして大袈裟にするほどでもないものの、種類からして気になる物ではあった。
「それじゃ、翌朝出発だ」と悠人が宣言すると、リリスは「わかった」と言い、アイラも「ええ、行きましょう」と答えた。クロエも「悠人さまの行く所に常に」と一人だけ方向性が違っていた。その後、メンバーは各々でベッドに潜り込み就寝となった。夜が更け、宿屋の部屋は静かな眠りについた。
翌朝――。
宿屋で朝食をとった後、すぐに十七層へ向けて歩き始めた。独占迷宮のある暗黒の森を抜けると、魔獣とも遭遇せずにすぐに下の階層へつながる下り階段を一行は見つけた。ここからは非常に広い階段で緩やかに一直線に降りていく。
ついた先は、大自然の広がる広大な風景に悠人は圧倒された。本当に地下にあるダンジョンなのかと疑問に思うほどで、リリスが言うように毎回階段を通して異世界に通じている可能性が高い。あの階段は異世界を連結する『異世界階段』なのだと思わずにはいられない光景が広がる。すぐに一つだけ判明したことがある。空には紅い月が三つ浮かび、一つは欠けているのだ。悠人が蘇生され行き着いた世界は月が二つだった。そしてここは三つだ。このことから言えるのは、やはりここは異世界の中の異世界だった……。
あの階段が単なる構造物ではなく、異世界同士を繋ぐ「異世界階段」だとすると、一体全体どのような秘密が隠されているのだろうか。悠人はそんな思考にふけりながらも、周囲の世界に心を奪われていた。
「もし本当にそうだとしたら、階層ごとに存在する異世界が、一体どんな物語を紡いでいるのだろう?」悠人は心の中で問いかけた。そして、背後で手を引く女神はどこの世界の存在なのか? 十一人の勇者たちは、どの階層のどの世界から来たのか? ダンジョンが広がりを見せ始めた十五層からの真意は、まだ彼には掴めていない。
リリスは、彼の思考が深まるのを横で見て、「この世界は、すべてが通じ合う場所よ」と静かに言った。その言葉に悠人は、一瞬だけ現実に引き戻され、目の前に広がる未知への興奮を新たにした。
「まずは、焦点を絞るか。今は目の前の謎を解明することからだな」と悠人は決意を固め、リリスの言葉を胸に刻みながら進んでいった。
歩を進めるうちに、伯爵の記述にあった巨大な石碑が遠くに見えてきた。その存在感は圧倒的で、周囲のどんな物よりも一際目立っていた。遠目にもその大きさが明らかで、近づくにつれてその圧倒的なスケールに息を呑んだ。
悠人たち一行は、その石碑へと向かうために約一時間ほど歩いた。その間、伯爵の手帳に記されていた巨人や魔獣との遭遇はなかったが、その静寂がかえって彼らの緊張を高めていた。
やがて彼らの目の前に聳え立つ、黒光りし滑らかな表面を持つ巨大な石碑が現れてきた。それはまるで御影石のように精巧に加工されており、ロゼッタストーンを彷彿とさせるように、複数の言語で何かが刻まれていることが確認できた。
石碑の周囲には、人の背丈ほどの小さな石碑が四方に配されており、それぞれ異なる文字で何かが書かれていた。悠人たちは一つ一つの石碑を注意深く観察し、その謎を解き明かそうと努力した。しかし、どの石碑も解読することはできなかった。唯一、最後の一つだけが異なっていた。
「どういうことだ?」と悠人が問いかけると、リリスが近づき、「何か見つけたの?」と尋ねた。アイラとクロエも心配そうに悠人の表情を窺い、何か異変があったのではないかと警戒していた。
その石碑には、悠人の想像を超えた一文が刻まれていた。「これは……俺の故郷の文字、日本語だ……」と悠人は驚愕を隠せずに言った。その言葉に、アイラが「何て書いてあるの?」と急いで尋ねる。
悠人は深呼吸を一つしてから、石碑に刻まれた言葉を読み上げた。
――紅い女神に気をつけろ。
その言葉を聞いた瞬間、リリスもアイラも言葉を失い、凍りついたように動けなくなった。それぞれの心には恐怖や不安が広がり、今後何が起こるのか、その答えを知るためには更なる冒険が必要だということを悟った。
一体何が起きているのか、悠人たちはこれからその真実を突き止めることになる。そしてその旅は、彼らが想像もしなかった展開へと進むことになるのだった。
一章はこれで完了となります。
ありがとうございました
クロエは非常に優秀な少女で、「聖雷光」という閃光を放つ力を持つ。奴隷として売られていたにもかかわらず、なぜこのような強力な力を持つに至ったのかは大いなる疑問だった。この聖雷光は、神眼の泉で回復した後に使えるようになったものであり、育つ過程で何度も発動の機会があったものの、その要因が理解できずにいたようだ。まさか、あの聖なる水が解答となるとは、縁の不思議を感じざるを得ない。
クロエの能力は、真眼の瞳を通じてあらゆる真実を看破することができ、敵に施された見えないマーキングさえも把握し、神眼の泉で除去することが可能だ。彼女はまた、敵の力量を測定し、その情報を共有することができる――まさに戦闘に特化した才能を持っている。
さらにリリスにより魔力を増強することで、クロエの聖雷光は神雷光へと進化し、その破壊力は一段と増す。クロエが初めて悠人たちと出会った時、彼女は日本人だという話や、他にも伝えたいことがあると言っていたが、それは二人きりの時に話すことを望んでおり、悠人はまだ詳しい話を聞けていなかった。
今、彼らの生活は「神眼の泉」を探求し、階位を上げること、そして生活費を稼ぐために狩りを重ねる日々だった。悠人はまだ「総裁」の階位に留まっており、「大総裁」への昇格は遠く感じられる。どのカードを引くのかも運命の一環であり、新たなカードには期待を寄せつつも、かつてゲールが手も足も出なかった「黄金タロット」の力に触れることができるかどうかは、未だに大きな謎のままだ。悠人にとって、その力は必死の願いが原因で発動したが、現在ではどれほど願ってもその力は発動しない。
悠人が抱えるもう一つの大きな疑問は、ある高位貴族からの警告、「紅い女神に気をつけろ」という言葉を立て続けに二回もらったことだった。しかも二人とも悠人のことを祇園と呼び、その素性を知っている。リリスがかつて死神だった時に遭遇した女神は、緑色の髪をしており、紅とは異なっていたが、目だけは赤かった。一方、悠人が初めて出会った女神の髪は金髪に見えたが、記憶では赤系という不可解な食い違いがあった。悠人は、その女神がもし「紅い女神」と呼ばれるならば、彼を蘇生させたその女神の目的は一体何だったのかと深く考え込んでいた。
そして、「反応石」が真下を指していることも気がかりだった。アイラによると、暗黒の森がある十六階層より下の階層はほとんど情報がなく、足を踏み入れる者は少ない。しかし、石が指し示す以上、悠人たちはその先へと進まなければならないと考えていた。明日からの探索に向けて、今夜、リリスとアイラと相談する予定だった。
夜――。
ヴィルライベルの宿屋で、悠人は手に持った反応石をリリス、アイラ、そしてクロエに見せた。「これを見てくれ」と言いながら石を裏返すと、光は一貫して下を指し続けた。
「俺はこれが何かを確認しておきたい」と悠人は言い、アイラは興味深そうに目を輝かせた。「行ってみましょう。伯爵の手帳にもこの下の階層を調査した記録が残っていて、役立つかもしれないわ」と彼女は提案した。
「それは出現する敵の情報か? それとも別の情報なのか?」悠人が尋ねると、アイラは頷いた。「その両方よ。あと宝箱が一定間隔で出現する場所が、その階層から始まるみたい。兄は調査を手伝っていた可能性が高いわ」
「なるほどな。尚更調査をした方がいいな。何か異論はあるか? なければ明日向かいたい」と悠人が周囲を見渡すと、アイラは即座に答えた。「ええ、行きましょう。私も兄の痕跡を調べたいわ」と彼女は決意を新たにした。一方、クロエは悠人をじっと見つめながら「どこまでも悠人さまのお供をいたします」と熱心に語った。
悠人はクロエの一途な態度に苦笑いを浮かべると、リリスが突然の疑問を投げかけた。「もしかして、このさらに下の階層に、天然の居城があるとか?」彼女の声は好奇心に満ちていた。
アイラは首を横に振った。「その情報までは掴んでいないわ。向かう人がいない理由が魔獣が強いというのもあるし、独占迷宮でお金が稼げるから、リスクが少ない方がいいと考えている人も一定数いるのよね。だから、なかなか情報が集まらないわ」と説明した。
「ちなみに、十七層にいる魔獣の特徴はわかるか?」悠人がさらに掘り下げるように聞くと、アイラは「ええ、あの一つ目の巨人よ」と回答した。悠人たちは以前、伯爵の館でその魔獣と戦っており、その能力と性質を理解していた。悠人は興味を持った宝箱についてさらに詳しく知りたがって、「宝箱はどの位置に現れて、何が出るかは記載あるか?」と質問した。
「それはね……。えーっと」とアイラが言葉を濁しながら手帳を捲り始め、「あっ、あった! これね。こう書かれているわ。『石碑を起点にして二百メートル以内に数個現れることがある。出現時間は不明で消失時間も不明だ。中身は箱の質により異なり、確認できた内容は金銀鉄の三種類の箱があり、大きさは無作為に選ばれているようだ』と」と彼女は読み上げた。
「少なくとも消えるわけか……。それなら知らずに帰ることも十分あり得るな」と悠人は言った。
「そうね。中身は、『回復薬から成長薬さらには武器や防具もあり、使い方のわからない品も多数ある』と書かれているわ」とアイラが付け加えた。一行はその情報を聞き、内容からして大袈裟にするほどでもないものの、種類からして気になる物ではあった。
「それじゃ、翌朝出発だ」と悠人が宣言すると、リリスは「わかった」と言い、アイラも「ええ、行きましょう」と答えた。クロエも「悠人さまの行く所に常に」と一人だけ方向性が違っていた。その後、メンバーは各々でベッドに潜り込み就寝となった。夜が更け、宿屋の部屋は静かな眠りについた。
翌朝――。
宿屋で朝食をとった後、すぐに十七層へ向けて歩き始めた。独占迷宮のある暗黒の森を抜けると、魔獣とも遭遇せずにすぐに下の階層へつながる下り階段を一行は見つけた。ここからは非常に広い階段で緩やかに一直線に降りていく。
ついた先は、大自然の広がる広大な風景に悠人は圧倒された。本当に地下にあるダンジョンなのかと疑問に思うほどで、リリスが言うように毎回階段を通して異世界に通じている可能性が高い。あの階段は異世界を連結する『異世界階段』なのだと思わずにはいられない光景が広がる。すぐに一つだけ判明したことがある。空には紅い月が三つ浮かび、一つは欠けているのだ。悠人が蘇生され行き着いた世界は月が二つだった。そしてここは三つだ。このことから言えるのは、やはりここは異世界の中の異世界だった……。
あの階段が単なる構造物ではなく、異世界同士を繋ぐ「異世界階段」だとすると、一体全体どのような秘密が隠されているのだろうか。悠人はそんな思考にふけりながらも、周囲の世界に心を奪われていた。
「もし本当にそうだとしたら、階層ごとに存在する異世界が、一体どんな物語を紡いでいるのだろう?」悠人は心の中で問いかけた。そして、背後で手を引く女神はどこの世界の存在なのか? 十一人の勇者たちは、どの階層のどの世界から来たのか? ダンジョンが広がりを見せ始めた十五層からの真意は、まだ彼には掴めていない。
リリスは、彼の思考が深まるのを横で見て、「この世界は、すべてが通じ合う場所よ」と静かに言った。その言葉に悠人は、一瞬だけ現実に引き戻され、目の前に広がる未知への興奮を新たにした。
「まずは、焦点を絞るか。今は目の前の謎を解明することからだな」と悠人は決意を固め、リリスの言葉を胸に刻みながら進んでいった。
歩を進めるうちに、伯爵の記述にあった巨大な石碑が遠くに見えてきた。その存在感は圧倒的で、周囲のどんな物よりも一際目立っていた。遠目にもその大きさが明らかで、近づくにつれてその圧倒的なスケールに息を呑んだ。
悠人たち一行は、その石碑へと向かうために約一時間ほど歩いた。その間、伯爵の手帳に記されていた巨人や魔獣との遭遇はなかったが、その静寂がかえって彼らの緊張を高めていた。
やがて彼らの目の前に聳え立つ、黒光りし滑らかな表面を持つ巨大な石碑が現れてきた。それはまるで御影石のように精巧に加工されており、ロゼッタストーンを彷彿とさせるように、複数の言語で何かが刻まれていることが確認できた。
石碑の周囲には、人の背丈ほどの小さな石碑が四方に配されており、それぞれ異なる文字で何かが書かれていた。悠人たちは一つ一つの石碑を注意深く観察し、その謎を解き明かそうと努力した。しかし、どの石碑も解読することはできなかった。唯一、最後の一つだけが異なっていた。
「どういうことだ?」と悠人が問いかけると、リリスが近づき、「何か見つけたの?」と尋ねた。アイラとクロエも心配そうに悠人の表情を窺い、何か異変があったのではないかと警戒していた。
その石碑には、悠人の想像を超えた一文が刻まれていた。「これは……俺の故郷の文字、日本語だ……」と悠人は驚愕を隠せずに言った。その言葉に、アイラが「何て書いてあるの?」と急いで尋ねる。
悠人は深呼吸を一つしてから、石碑に刻まれた言葉を読み上げた。
――紅い女神に気をつけろ。
その言葉を聞いた瞬間、リリスもアイラも言葉を失い、凍りついたように動けなくなった。それぞれの心には恐怖や不安が広がり、今後何が起こるのか、その答えを知るためには更なる冒険が必要だということを悟った。
一体何が起きているのか、悠人たちはこれからその真実を突き止めることになる。そしてその旅は、彼らが想像もしなかった展開へと進むことになるのだった。
一章はこれで完了となります。
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