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一章

第14話:(2/4):黄金のタロット(絶望の戦場)

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 悠人は幻影となり、敵群の間を高速で移動する。巨人たちは彼の動きを追うことができず、振り下ろした棍棒が空を切る。悠人はこの混乱を利用して、彼らの間にさらなる混乱を撒き散らす。一つ目の巨人が次々と同士討ちを始める中、悠人はその隙をついて、タロットカードの力を込めた掌底で巨人の脆い頭部を精密に狙い撃つ。

 瞬間的に頭部を粉砕された巨人はその場に崩れ落ち、その巨体が地面を揺るがす。悠人はさらに移動を続け、次々と敵を倒していく。彼の戦術は完全に計算されており、冷静な判断と精密な技術で敵を制圧していく。

 彼の周りでは、巨人たちが棍棒を振り回すごとに、他の巨人を誤って打ち倒す場面が続出。この混乱は悠人にとって有利に働く。彼は巨人たちの背後を取り、弱点を突いて一撃で倒し続ける。

 アイラもまた、彼女の「暗黒卿」魔法で戦場を支配していた。彼女は魔法で巨人たちを足元から消し去り、落とし穴に落とすようにして敵を一掃する。彼女の魔法は影から彼らを襲い、予期せぬ攻撃で巨人たちを完全に無力化させる。

 戦いが一段落した時、悠人はその場に立ち、周囲を見渡す。残骸と化した巨人たちが彼の周りに散らばっており、彼の戦術と技術がこの場を制した証だった。これが第二波の終わりを告げるものであり、彼とアイラは次なる挑戦に備えて再び立ち上がる。この連続した流れるような行動は、まさに彼らの冷静かつ計算高いアプローチが生んだ勝利の証だった。

「当たって欲しくない悪い予感ほど、よく当たる」という古言が頭をよぎるときがある。まさに今、その瞬間だった。悠人は歯を食いしばりながら、前方に鋭い視線を送っていた。彼の隣でリリスとアイラも同じく緊張の面持ちで未知の敵の出現を待っていた。そして、予感は現実となり、ゲールが姿を現す。

 悠人は歯軋りするほどの鋭い視線を前方に向け、腹の底から湧き上がる怒りを抑えることができなかった。リリスとアイラも同じく、緊張感に包まれていた。空気は一層重く、痛みすら感じるほどに凝縮されていた。そして、予感は現実のものとなり、彼らの前に敵が姿を現した。

「おや、あれで生きていたとは少々驚きました」

「ゲール!」悠人の声には、震えるほどの怒りと驚愕が混じり合っていた。

「私の名前を覚えておいででしたか。これは恐悦至極です。それにしても、私の確認の甘さを痛感しました」

「……」悠人は言葉を失い、ただゲールを睨みつけた。

「これは、私が全力で対応しないとならない案件ですね」

「幻影隠者の影拳!」悠人は先手を打つと、猛烈なスピードでゲールに向かって飛び出した。彼の動きは疾風の如く、しかし冷静な計算下に置かれていた。

「ほう……その力をお持ちでしたか。では尚更、生きておられてはまずいですね」

 しかし、ゲールは予想外の軽やかさで悠人の攻撃をかわし、彼の拳が空を切る。アイラは側面から黒い腕を召喚し、ゲールを拘束しようとしたが、触れた瞬間に霧散し、その後に放たれた聖なる槍も同様に無効化されてしまった。

 リリスがアイラの魔法を強化し、さらに強力な攻撃を仕掛けるも、ゲールはまるでそれを意に介さないかのようだった。絶体絶命の危機が彼らを襲う中、悠人は切り札のカードを切り替え、新たな攻撃を試みた。

「神罰裁断!」彼は叫びながら渾身の一撃を放つ。この一撃はついにゲールに命中するも、その拳を容易く掴まれてしまった。

「またしも、二枚目とは……ますます御方のためにも、遺憾ながら、貴方にはこの世を去っていただかねばならぬ運びとなりました」

 ゲールの冷酷な言葉と共に、悠人の右拳が力強く握り潰される。悠人は激痛に顔を歪めながらも、屈することなく左拳で反撃を試みる。しかし、ゲールはその左腕も捕らえ、容赦なく破壊してしまう。

「がああああ!」彼の叫び声が木々を揺さぶりながら、悠人は足を使って立ち向かおうとした。ゲールはそれを見て、一抹の感銘を受けながらも冷酷に大剣で悠人の胸を突き刺した。

「ご心配なく。貴殿の同志もまた、共に消え去る運命にあるのです」

「悠人!」リリスとアイラは同時に絶望的な叫び声を上げた。しかし、悠人は異常なほどの生命力を発揮して、剣が胸を貫いているにもかかわらず、動きを止めなかった。彼の体からは血が滴り落ち、床を赤く染めていく。

「やらせはしない……」と悠人は低く、しかし確固たる意志を込めて言った。彼の体は重度の損傷を負いながらも、なお立ち向かう意志を見せていた。

 ゲールは冷ややかに微笑み、彼の努力を嘲るかのように言った。「おや、貴殿のその覚悟、感服いたしましたが、どうやらそこまでのご様子ですね」

 悠人は力尽き、崩れ落ちるように倒れた。その姿は、まるで戦いの中で最後の力を振り絞った英雄のようだった。しかし、ゲールの勝利は決定的であり、彼はゆっくりとアイラとリリスの方へと歩みを進めた。

「さて、あなた方はどれだけの力をお持ちですかね……」

 悠人の意識は朦朧としていたが、彼の内部では過去の記憶が高速で反響し続けていた。失った右手を差し出しながら、「力があれば……」と何度も心の中で叫んでいる。その願いは、彼の魂の奥底から湧き上がっていた。

 リリスとアイラは、ゲールに向けて最後の抵抗を試みた。アイラは黒い腕を再召喚し、リリスは魔法の力をさらに高めて攻撃を仕掛ける。しかしゲールの力は圧倒的で、彼女たちの努力も虚しく感じられた。

「ここまでです」ゲールの声が冷たく、彼女たちに宣告するように響いた。

 その瞬間、悠人は最後の力を振り絞り、立ち上がった。彼の目は困難を乗り越えようとする燃えるような決意で輝いていた。「これで終わりだと思うな……!」彼の声は弱々しくも、その意志は強固であった。

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