201 / 272
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
201 役職名とバスケット
しおりを挟む
ユエは時々、男とは思えないような行動をとる。で、大抵付き合わされるのはオレなんだよな。まず、ユエといて問題視しない存在がオレだけって言うことが困るんだって。
で、ユエはトウヤに突進して行き、寮の部屋に入る許可を取り付けた。まあ、トウヤもユエと言うより、ライカが怖かっただけだよな。半分表情が引き攣っていたのは、ユエの後ろに控えていた、ライカの表情が怖かったからだよな。あの、顔は微笑んでいて、赤い瞳だけで威嚇してるんだから器用だよ。もう、キンとギンが変化する前の睨みつけたような目に似てるのがタチ悪いって。
「本当に行く気かよ」
「当たり前! セイトにお祝いを言わないと!」
言葉だけ聞けば、何てことはないと思う。でもな、ユエのは完全に面白がってると思うんだよ。
「それに、サクヤが持ってるバスケット。どうしたんだ?」
「ルイが持って行けって。どうせ、セイトは何も食べてないだろうからって」
苦笑いを浮かべて渡してきたルイ。最初からオレが付き合わされるのが分かってたみてぇだ。ちなみに、オレとユエも昼は食べてないからさ。特Aに用意された昼食の中から、持ち運んでも問題ない食べ物を入れてた。サンドイッチとか、マフィンとか。果物とかデザートとかも入れてたな。やたらと楽しそうだったけどさ。
「セイトのだけ?」
「そんなわけないだろう。セイト一人が食べるには量が多いと思うけど」
俺が持ってるバスケットはかなり大きい。それに加え、ルイが入らないとか呟いて、中を魔法で広げてたからかなりの量が入ってるんだよ。下手したら三人で食べきれるかも謎だ。
「学校の食事って異常に美味しいしさ」
これは本当のことだ。下手なレストランとかで食べるより美味しいんだって。
「それはそうだよ。一流の腕を持つシェフが作ってるんだから。特Aクラスと特別寮だけだけどさ」
へ? オレ、普通クラスの食事も美味いって思ってたけど。
「気が付いてないんだ」
「クチバさんの料理はピカイチ」
誤魔化すのにクチバさんの名前を出してみた。
「あそこの料理は本当に美味しいよ。会長用に作られた親御さんの作ったのも絶品だったし。でも、今はそこじゃないだろう」
言われなくてもわかってるって。照れ隠しだろう! そうか、シェフのランクも特Aだけ上なのか。舌ばっかり肥えるだろうが。
「まあ、そこは横に置いておいて」
「誤魔化すし」
「着いたんだから、その話は終わりだって」
風紀委員長の部屋はルイとライカの部屋の一階下。この階にあるのは生徒会書記と会計、風紀委員長と副委員長の四部屋。最上階は生徒会会長と副会長の二部屋だけだ。広さ的に最上階の半分の広さかなぁ、とか考えていたオレが甘かった。部屋の鍵はトウヤから預かったから勝手に入れる。入って吃驚だよ。同じくらいの広さがあって。乾いた笑いしかでねぇよ。
「どうして、こう、無駄に広いんだよ」
「特別寮は昔に造られた建物だから。最近建てられた普通寮は合理的に造られてるんだ。四階より下はここの三分の一くらいの広さだって」
「それってライカが教えてくれたのか?」
「そう。って、サクヤ、名前呼びできるようになってる」
「スパルタ、ルイだからな」
役職名で呼ぼうとすると、鉄壁の微笑みが向けられる。そう、微笑んでるけど、微笑んでねぇんだって。オレはこの三年でしっかり学習した。ルイは怒らせないに限る。素直に従うのが我が身のためだ。
「ユエも慣れた方がいいと思う。卒業したら学生の時の役職名は使えねぇし。まあ、セイトとトウヤは先生で誤魔化せそうだけどさ」
でも、ライカはしつこく言ってきそうだけどな。
で、ユエはトウヤに突進して行き、寮の部屋に入る許可を取り付けた。まあ、トウヤもユエと言うより、ライカが怖かっただけだよな。半分表情が引き攣っていたのは、ユエの後ろに控えていた、ライカの表情が怖かったからだよな。あの、顔は微笑んでいて、赤い瞳だけで威嚇してるんだから器用だよ。もう、キンとギンが変化する前の睨みつけたような目に似てるのがタチ悪いって。
「本当に行く気かよ」
「当たり前! セイトにお祝いを言わないと!」
言葉だけ聞けば、何てことはないと思う。でもな、ユエのは完全に面白がってると思うんだよ。
「それに、サクヤが持ってるバスケット。どうしたんだ?」
「ルイが持って行けって。どうせ、セイトは何も食べてないだろうからって」
苦笑いを浮かべて渡してきたルイ。最初からオレが付き合わされるのが分かってたみてぇだ。ちなみに、オレとユエも昼は食べてないからさ。特Aに用意された昼食の中から、持ち運んでも問題ない食べ物を入れてた。サンドイッチとか、マフィンとか。果物とかデザートとかも入れてたな。やたらと楽しそうだったけどさ。
「セイトのだけ?」
「そんなわけないだろう。セイト一人が食べるには量が多いと思うけど」
俺が持ってるバスケットはかなり大きい。それに加え、ルイが入らないとか呟いて、中を魔法で広げてたからかなりの量が入ってるんだよ。下手したら三人で食べきれるかも謎だ。
「学校の食事って異常に美味しいしさ」
これは本当のことだ。下手なレストランとかで食べるより美味しいんだって。
「それはそうだよ。一流の腕を持つシェフが作ってるんだから。特Aクラスと特別寮だけだけどさ」
へ? オレ、普通クラスの食事も美味いって思ってたけど。
「気が付いてないんだ」
「クチバさんの料理はピカイチ」
誤魔化すのにクチバさんの名前を出してみた。
「あそこの料理は本当に美味しいよ。会長用に作られた親御さんの作ったのも絶品だったし。でも、今はそこじゃないだろう」
言われなくてもわかってるって。照れ隠しだろう! そうか、シェフのランクも特Aだけ上なのか。舌ばっかり肥えるだろうが。
「まあ、そこは横に置いておいて」
「誤魔化すし」
「着いたんだから、その話は終わりだって」
風紀委員長の部屋はルイとライカの部屋の一階下。この階にあるのは生徒会書記と会計、風紀委員長と副委員長の四部屋。最上階は生徒会会長と副会長の二部屋だけだ。広さ的に最上階の半分の広さかなぁ、とか考えていたオレが甘かった。部屋の鍵はトウヤから預かったから勝手に入れる。入って吃驚だよ。同じくらいの広さがあって。乾いた笑いしかでねぇよ。
「どうして、こう、無駄に広いんだよ」
「特別寮は昔に造られた建物だから。最近建てられた普通寮は合理的に造られてるんだ。四階より下はここの三分の一くらいの広さだって」
「それってライカが教えてくれたのか?」
「そう。って、サクヤ、名前呼びできるようになってる」
「スパルタ、ルイだからな」
役職名で呼ぼうとすると、鉄壁の微笑みが向けられる。そう、微笑んでるけど、微笑んでねぇんだって。オレはこの三年でしっかり学習した。ルイは怒らせないに限る。素直に従うのが我が身のためだ。
「ユエも慣れた方がいいと思う。卒業したら学生の時の役職名は使えねぇし。まあ、セイトとトウヤは先生で誤魔化せそうだけどさ」
でも、ライカはしつこく言ってきそうだけどな。
0
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる