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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
186 核の精霊
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何の抵抗もなく吸い込まれた精霊。代わりに飛び出してきた精霊はおそらく、核となる精霊だよな。エアリエルが話していたのは、説明していたんだと思うんだけどさ。その前に! 勝手に動くなよな。
遺伝情報を内包した卵がその色に染まる。白色の半透明の力の塊が、生まれてくるだろう命の色にほんのり色付いた。
「凄いな。もう成長を始めてる」
魔法大臣が軽く目を見開き呟いた。
「クチバはクレハより魔力が強いからな」
はい?! 待てよ。じゃあ、役職って?!
「どうしたのかしら?」
誤魔化すように微笑みを向けたシロガネさん。つまりだ。
「学生時代の役職、なんだったんだよ?」
軽く睨み付けたオレに、クチバさんが魔法大臣を睨み付けてた。魔法大臣はと言えば、悪戯を成功させた表情をしている。
「そんなことを気にしていたのか? クチバは生徒会会長で、俺が生徒会副会長だ」
クレハさんが面っとバラしてくれる。クチバさんが会長だったのかよ?! で、クレハさんが副会長かよ。どっちにしても魔力が強いことに変わりねぇじゃねぇか。グッタリだ。
「ついでにバラすと、アサイは風紀委員長だ」
……そうだよな。同性婚してるし、卵が成長不良起こしてるし。で、その相手は、その魔力の強さに耐えられる癒しの魔力を持ってるってことだよな。
「お前達の精霊も投入してみたらどうだ?」
魔法大臣が促してきた。それを聞いて、エアリエルが自分が精霊を投入した卵を持ち上げて、ヨタヨタと浮き沈みしながらシロガネさんの手の上に卵を持って来た。
ツユハ先生が担任を伺って、次いでオレとルイに視線を向けた。二人で小さく頷く。反応している卵は一つ。その卵にずっと肌身離さず持っていた精霊を投入した。白味の強かった担任夫婦の精霊。乳白色の卵が、本当の鶏の卵のように白味を強くした。その時に、さっきと同じように何かが飛び出してきて、エアリエルが同じように何かを言っている。飛び出してきたものがスーッと消えたのを確認して、エアリエルに話しかける。
「なあ、さっきのなんだよ?」
『本来、核になるべき精霊だ。二つの核を持つのは危険な行為だからな』
じゃあ、精霊を捕まえて卵に投入すると核の精霊がはじき出されるのか。
『説明をしておいてやったぞ。しばらく、はじき出される核の精霊が出てくるが納得してくれるだろう。どのみち、そのままにされては、我々が困るからな。なるだけ回収してもらわねば』
やっぱりかよ。ツユハ先生が大切なものを持つように卵を持ち上げた。感極まったように目元に涙を浮かべている。
「なるほど。精霊王と契約は必須だったんだな。契約はなされたということか。じゃあ、もう一つの卵に遺伝情報を」
「それは流石に」
クレハさんが言葉を濁した。ん? 確か男同士の遺伝情報って……。どっちにしても人前は憚られるよな。
「私は確認しにきたんだが?」
「公衆の面前で、俺とカエデにあられもない姿になれと?」
「問題なかろう?」
「大有りです!」
クレハさんが腕を組んで、魔法大臣にたてついてる。で、その横でカエデさんが茹で蛸。
「遺伝情報を抱えた精霊が卵を成長させることは確認できた。あとは通常での場合の確認をしたい。そのためにお前達を呼んだんだぞ」
「息子の前でなど願い下げです!」
「じゃあ、寝室を借りればいい」
「そういう問題じゃありませんよ!」
確かにそういう問題じゃねぇよな。で、気になってルイに視線を向ければ無表情。なんで無表情なんだ?
「日を改めるとか方法があるでしょう?!」
「私はそんなに自由になる時間はない。できれば今確認したいんだ」
その言い合いに、ルイが盛大に溜め息を吐いた。
「言い争いが不毛すぎる……」
ルイ、それ言い過ぎだから。確かに不毛だけどさ。
「せっかく、息子夫婦がお前達のために卵を作ってくれたんだぞ」
「それは素直にありがたいと思いますが、それとこれは全く別です!」
気が付いたんだけど、魔法大臣はクレハさんで遊んでるんだよな。顔が微妙にヒクついてるし。
「冷静に考えれば分かると思うんだけど」
外野から見ているルイはそれに気が付いてるな。
「クレハ、遊ばれてるんだよ」
カエデさんが見かねてクレハさんの袖を引きつつ忠告を口にする。
「分かっているが、どうも、のせられる」
あっ、分かってるんだ。つまり、いつも、おちょくられてるんだな。
「キュウ」
「は?」
当たり前すぎて頭の上のベニの存在を忘れ去ってたオレ。周りもセット扱いで気にしねぇもんだから、眼中外だった。
「血液でいいってどう言うことだよ?」
「キュウキュ」
基本的に遺伝情報を卵の中の核になる精霊が感知できればいいってことかよ。ただ、オレの耳にルイの血液を固定した方法で、血液を採集しないと駄目ってことか。その血液を混ぜて卵に投入する。その作業も卵の魔法使いがするのが理想的。らしい。つまり、オレかルイがその作業をしないと駄目なのか。オレは溜め息一つ吐いて指を鳴らして杖を出した。驚いたのは周りだ。ルイも困惑顔。
「卵に二つの遺伝情報を入れるのは血液でもいいんだと。で、その作業は卵を作った魔法使い。つまりはさ、オレかルイが行うのが理想なんだってさ」
いろいろ、面倒事が増えてくよな。仕方ねぇんだろうけど。
遺伝情報を内包した卵がその色に染まる。白色の半透明の力の塊が、生まれてくるだろう命の色にほんのり色付いた。
「凄いな。もう成長を始めてる」
魔法大臣が軽く目を見開き呟いた。
「クチバはクレハより魔力が強いからな」
はい?! 待てよ。じゃあ、役職って?!
「どうしたのかしら?」
誤魔化すように微笑みを向けたシロガネさん。つまりだ。
「学生時代の役職、なんだったんだよ?」
軽く睨み付けたオレに、クチバさんが魔法大臣を睨み付けてた。魔法大臣はと言えば、悪戯を成功させた表情をしている。
「そんなことを気にしていたのか? クチバは生徒会会長で、俺が生徒会副会長だ」
クレハさんが面っとバラしてくれる。クチバさんが会長だったのかよ?! で、クレハさんが副会長かよ。どっちにしても魔力が強いことに変わりねぇじゃねぇか。グッタリだ。
「ついでにバラすと、アサイは風紀委員長だ」
……そうだよな。同性婚してるし、卵が成長不良起こしてるし。で、その相手は、その魔力の強さに耐えられる癒しの魔力を持ってるってことだよな。
「お前達の精霊も投入してみたらどうだ?」
魔法大臣が促してきた。それを聞いて、エアリエルが自分が精霊を投入した卵を持ち上げて、ヨタヨタと浮き沈みしながらシロガネさんの手の上に卵を持って来た。
ツユハ先生が担任を伺って、次いでオレとルイに視線を向けた。二人で小さく頷く。反応している卵は一つ。その卵にずっと肌身離さず持っていた精霊を投入した。白味の強かった担任夫婦の精霊。乳白色の卵が、本当の鶏の卵のように白味を強くした。その時に、さっきと同じように何かが飛び出してきて、エアリエルが同じように何かを言っている。飛び出してきたものがスーッと消えたのを確認して、エアリエルに話しかける。
「なあ、さっきのなんだよ?」
『本来、核になるべき精霊だ。二つの核を持つのは危険な行為だからな』
じゃあ、精霊を捕まえて卵に投入すると核の精霊がはじき出されるのか。
『説明をしておいてやったぞ。しばらく、はじき出される核の精霊が出てくるが納得してくれるだろう。どのみち、そのままにされては、我々が困るからな。なるだけ回収してもらわねば』
やっぱりかよ。ツユハ先生が大切なものを持つように卵を持ち上げた。感極まったように目元に涙を浮かべている。
「なるほど。精霊王と契約は必須だったんだな。契約はなされたということか。じゃあ、もう一つの卵に遺伝情報を」
「それは流石に」
クレハさんが言葉を濁した。ん? 確か男同士の遺伝情報って……。どっちにしても人前は憚られるよな。
「私は確認しにきたんだが?」
「公衆の面前で、俺とカエデにあられもない姿になれと?」
「問題なかろう?」
「大有りです!」
クレハさんが腕を組んで、魔法大臣にたてついてる。で、その横でカエデさんが茹で蛸。
「遺伝情報を抱えた精霊が卵を成長させることは確認できた。あとは通常での場合の確認をしたい。そのためにお前達を呼んだんだぞ」
「息子の前でなど願い下げです!」
「じゃあ、寝室を借りればいい」
「そういう問題じゃありませんよ!」
確かにそういう問題じゃねぇよな。で、気になってルイに視線を向ければ無表情。なんで無表情なんだ?
「日を改めるとか方法があるでしょう?!」
「私はそんなに自由になる時間はない。できれば今確認したいんだ」
その言い合いに、ルイが盛大に溜め息を吐いた。
「言い争いが不毛すぎる……」
ルイ、それ言い過ぎだから。確かに不毛だけどさ。
「せっかく、息子夫婦がお前達のために卵を作ってくれたんだぞ」
「それは素直にありがたいと思いますが、それとこれは全く別です!」
気が付いたんだけど、魔法大臣はクレハさんで遊んでるんだよな。顔が微妙にヒクついてるし。
「冷静に考えれば分かると思うんだけど」
外野から見ているルイはそれに気が付いてるな。
「クレハ、遊ばれてるんだよ」
カエデさんが見かねてクレハさんの袖を引きつつ忠告を口にする。
「分かっているが、どうも、のせられる」
あっ、分かってるんだ。つまり、いつも、おちょくられてるんだな。
「キュウ」
「は?」
当たり前すぎて頭の上のベニの存在を忘れ去ってたオレ。周りもセット扱いで気にしねぇもんだから、眼中外だった。
「血液でいいってどう言うことだよ?」
「キュウキュ」
基本的に遺伝情報を卵の中の核になる精霊が感知できればいいってことかよ。ただ、オレの耳にルイの血液を固定した方法で、血液を採集しないと駄目ってことか。その血液を混ぜて卵に投入する。その作業も卵の魔法使いがするのが理想的。らしい。つまり、オレかルイがその作業をしないと駄目なのか。オレは溜め息一つ吐いて指を鳴らして杖を出した。驚いたのは周りだ。ルイも困惑顔。
「卵に二つの遺伝情報を入れるのは血液でもいいんだと。で、その作業は卵を作った魔法使い。つまりはさ、オレかルイが行うのが理想なんだってさ」
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