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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
153 鍵の長老
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魔法大臣はリッカの一族の長老に連絡してあると言ってくれた。ユグドラシルの条件の一つ。卵の魔法使いの魂を捕獲しないといけない。あいつを封印したときに利用した方法は使えねぇから、その方法も考えねぇと。それをルイに言うと、魔法で縛る方法があるという。ルイ曰く、禁呪になるんだと。それも魔法大臣に許可をもらった。
休日の早朝、リッカとコウガを伴って鍵の一族の長老に会いに行った。事前に魔法省からの正式文書が届いていたのか、概ね好意的に招き入れられた。概ねっていうのは、使い魔が離れねぇからだ。頭の上のベニはもう、そこから降りるのは夜の就寝のときとか、風呂とか。とりあえず、そこにいて問題があるときしか離れねぇし。キンとギンは寮の部屋を出るときには必ずついてくるし。クレナイは精霊王の一件から学校の敷地を出るときにはルイについてくるようになった。
まあ、ペットじゃねぇし、言葉で伝えればきちんと読み取るし。
「これは本当に珍しい」
通された部屋で長老の名にふさわしい容姿の魔法使いが一人。昔の髪の色がなんであったのか、分からないほどに色の抜けた白髪。で顔に刻まれているのは深い皺。でもさ、瞳の光はしっかりとしていて、見た目の年齢よりも若々しさを感じた。背筋もスッとしてるしさ。
「聖と魔を使い魔にするとは」
「大爺様。お戯れもそこまでにしてください」
「お前は相変わらず眠そうだ。あそこの鍵は中の住人を眠らせる魔法もかかってるからな。最後まで影響されたままだったな」
「仕方ないでしょう?! 本来は二人で鍵を受け持つ場所ですよ。それを一人で支えたのですから、認めてください」
「分かっている。我が一族も、数を減らしたからな」
……そうだよな。強い魔力を持つ魔法使いって、何かしらの役目を持ってんだよな。数が減れば負担も増えるんだ。
「あの屋敷の鍵の役目は解くが、新たな鍵にはなってもらうぞ」
「それは分かってます」
「新たな鍵はな、それ、そこの二人に関係がある場所だ。まだ、完成していないが、完成した後すぐに大きな結界を張る。中に入る入り口は一つ。周りは光と風、つまり自然現象以外を通さないようにと通達された。そうだ。忘れるところだったが、そこの火の鳥は結界を越えれるようにとの依頼だ。全く、魔法省は無理難題を押し付ける」
「火の鳥って。半永久的に使い魔になってるわけではないですよね?」
「そうだろうな。そこの二人が没したあとは、その時考える、ということだろう」
へ? リッカがあの場所の鍵になんの?!
「それと、また一人で鍵役になれと?」
リッカが半眼で長老を睨み付けてる。わあ、一族の偉い人なんだよな?
「ほれ、お前の妻がいるだろう。二人で管理しろ」
「僕もですか?!」
ただ、眺める側に回っていたコウガが雄叫び上げた。
「仕方ないだろう。我が一族はいつでも人材不足。それに、一族の仕事を持っていないだろう。鍵になれば魔法省から給料も支払われる。指定された場所は重要な場所だ。一気に高給取りだぞ」
……リッカの一族の長老って、実はお茶目なのか? 話してる内容は真面目で重要だと思うけどさ、伝え方が……。
「我が一族としては、有能なリッカには是非、たくさんの子供を得てもらいたい。今回の魔法省からの提案は、こちらにとって利益になる」
「詳しく聞いたのかよ?」
あ、思わず訊いちまった。黙ってようと思ったのに!
「どうかな? だが、口外はしないと約束しよう。重要で危険な事柄に蓋をするのはいつものことだ」
魔法大臣はどこまで伝えたんだよ。あの笑みが怖いんだけどさ。
休日の早朝、リッカとコウガを伴って鍵の一族の長老に会いに行った。事前に魔法省からの正式文書が届いていたのか、概ね好意的に招き入れられた。概ねっていうのは、使い魔が離れねぇからだ。頭の上のベニはもう、そこから降りるのは夜の就寝のときとか、風呂とか。とりあえず、そこにいて問題があるときしか離れねぇし。キンとギンは寮の部屋を出るときには必ずついてくるし。クレナイは精霊王の一件から学校の敷地を出るときにはルイについてくるようになった。
まあ、ペットじゃねぇし、言葉で伝えればきちんと読み取るし。
「これは本当に珍しい」
通された部屋で長老の名にふさわしい容姿の魔法使いが一人。昔の髪の色がなんであったのか、分からないほどに色の抜けた白髪。で顔に刻まれているのは深い皺。でもさ、瞳の光はしっかりとしていて、見た目の年齢よりも若々しさを感じた。背筋もスッとしてるしさ。
「聖と魔を使い魔にするとは」
「大爺様。お戯れもそこまでにしてください」
「お前は相変わらず眠そうだ。あそこの鍵は中の住人を眠らせる魔法もかかってるからな。最後まで影響されたままだったな」
「仕方ないでしょう?! 本来は二人で鍵を受け持つ場所ですよ。それを一人で支えたのですから、認めてください」
「分かっている。我が一族も、数を減らしたからな」
……そうだよな。強い魔力を持つ魔法使いって、何かしらの役目を持ってんだよな。数が減れば負担も増えるんだ。
「あの屋敷の鍵の役目は解くが、新たな鍵にはなってもらうぞ」
「それは分かってます」
「新たな鍵はな、それ、そこの二人に関係がある場所だ。まだ、完成していないが、完成した後すぐに大きな結界を張る。中に入る入り口は一つ。周りは光と風、つまり自然現象以外を通さないようにと通達された。そうだ。忘れるところだったが、そこの火の鳥は結界を越えれるようにとの依頼だ。全く、魔法省は無理難題を押し付ける」
「火の鳥って。半永久的に使い魔になってるわけではないですよね?」
「そうだろうな。そこの二人が没したあとは、その時考える、ということだろう」
へ? リッカがあの場所の鍵になんの?!
「それと、また一人で鍵役になれと?」
リッカが半眼で長老を睨み付けてる。わあ、一族の偉い人なんだよな?
「ほれ、お前の妻がいるだろう。二人で管理しろ」
「僕もですか?!」
ただ、眺める側に回っていたコウガが雄叫び上げた。
「仕方ないだろう。我が一族はいつでも人材不足。それに、一族の仕事を持っていないだろう。鍵になれば魔法省から給料も支払われる。指定された場所は重要な場所だ。一気に高給取りだぞ」
……リッカの一族の長老って、実はお茶目なのか? 話してる内容は真面目で重要だと思うけどさ、伝え方が……。
「我が一族としては、有能なリッカには是非、たくさんの子供を得てもらいたい。今回の魔法省からの提案は、こちらにとって利益になる」
「詳しく聞いたのかよ?」
あ、思わず訊いちまった。黙ってようと思ったのに!
「どうかな? だが、口外はしないと約束しよう。重要で危険な事柄に蓋をするのはいつものことだ」
魔法大臣はどこまで伝えたんだよ。あの笑みが怖いんだけどさ。
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