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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
130 純粋なモノ
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「そんなこと、考えたこともなかったよ」
「ここが男子校だっていうのもあると思うんだ。けどさ、親の姿を見ることもあるだろう? 女の人、見てねぇんだもん」
教科によって女性教諭もいるんだろうけどさ、オレ、見たことねぇんだもん。
「魔法省に行ったとき、ちらほら姿見たから、いるっていうのは分かる。ほら、ルイが女子校もあるって言ってただろう? 見てねぇってことは、同年代の女の魔法使いと男の魔法使いは隔離されてるってことだろう?」
「共学校の話もしたよね?」
「それも聞いた。でもさ、目に入らねぇんだもん」
ルイは手に持っていたフォークとナイフをテーブルの上に置いた。そして、なにやら思案顔だ。
「確か、ライカの両親は男だったと思う。コウガもそう。リッカもだし。トウヤとヒュウガも……?!」
「なあ? 男女が普通に子供作ったら、血筋もあるとは思うけどさ、半々くらいだろう?」
さすがのルイも驚いてるよな。
「ベニとクレナイが簡易的な卵って言ってただろう?」
「そうだね」
「簡易的故に、親の性別をそのままなぞってんじゃねぇの? それにさ、簡易的な卵では孵化しない卵も出てきて、魔力の強い魔法使い人口減り続けてんじゃね?」
魔法省は狩人の血筋、つまりだ、強い魔力の魔法使いを手放したくねぇんだ。それも、循環相手がいて、闇に落ちない保証のある魔法使いを。クレハさんとカエデさんを失ったのは痛いんだと思う。でもよ。狩人は危険と隣り合わせで、命の保証もない。言い換えれば、魔力の強い魔法使い同士で潰し合ってるようなもんだろう?
「クレハさんとカエデさんはなんとか魔法省を退職できただろう?」
「そうだね」
ルイはそう言いながら、首を傾げた。
「シロガネさんとクチバさんはどうやって辞めたんだろう? 狩人だったはずだから」
強烈なお姉言葉のシロガネさん。渋い感じのクチバさん。あの二人、絶対、魔力が強い。それを隠せるだけの能力もある。卵を貰ってからすぐ辞めたって聞いたから、二十五歳で辞めたってことだ。
クレハさんとカエデさんはルイを理由に出して辞めることができた。じゃあ、あの二人は?
「卵は孵化してねぇんだよな?」
「そのはずだよ」
「じゃあ、どうして辞めれたんだ?」
「分からないね」
「ルイはさ、二人と親しいんだろう? 卵、見たことねぇの?」
感情が伴ってなくてもさ、視界に入るものくらい分かるだろう?
「自宅に連れて行ってくれたこともあるけど、見たことないよ」
孵化していないから申請を出しても許可されないと言ってた。でも、ルイは見たことがない。
「孵化しない卵ってさ、そのままなのかよ」
「どうなんだろう? 気が凝った物だし、自然に還ってしまうこともあるかも?」
「自然に還る?」
「うん。ベニとクレナイから教えてもらったでしょう。精霊の力を借りて命の揺籠を作るって」
揺籠か。うまい表現だよな。四元素の精霊の力を簡易的でも借りてるわけだよな。簡易的ってことは、卵としての姿を留めておく力も弱いってことだ。
「もしかしたら、孵化しない卵は精霊に還ってるのかも。でも、魔法使いの遺伝子を抱えたままだし、なにかしらの影響はあると思うけど」
つまり、自宅に二人の遺伝子を含む精霊がいるってことか。まあ、本当のところ分からねぇし。訊いてみないといけないけどさ。
「二人に訊いてそうだったら、捕まえねぇといけないんじゃね?」
「そうだね」
「でもよ。別の理由だったら?」
「考えられるとしたら魔の者かな。卵は純粋な力の結晶みたいなものだしね」
「それって?」
「食べられたってことだよ」
ルイは恐ろしいことを、サラリと口にした。
「ここが男子校だっていうのもあると思うんだ。けどさ、親の姿を見ることもあるだろう? 女の人、見てねぇんだもん」
教科によって女性教諭もいるんだろうけどさ、オレ、見たことねぇんだもん。
「魔法省に行ったとき、ちらほら姿見たから、いるっていうのは分かる。ほら、ルイが女子校もあるって言ってただろう? 見てねぇってことは、同年代の女の魔法使いと男の魔法使いは隔離されてるってことだろう?」
「共学校の話もしたよね?」
「それも聞いた。でもさ、目に入らねぇんだもん」
ルイは手に持っていたフォークとナイフをテーブルの上に置いた。そして、なにやら思案顔だ。
「確か、ライカの両親は男だったと思う。コウガもそう。リッカもだし。トウヤとヒュウガも……?!」
「なあ? 男女が普通に子供作ったら、血筋もあるとは思うけどさ、半々くらいだろう?」
さすがのルイも驚いてるよな。
「ベニとクレナイが簡易的な卵って言ってただろう?」
「そうだね」
「簡易的故に、親の性別をそのままなぞってんじゃねぇの? それにさ、簡易的な卵では孵化しない卵も出てきて、魔力の強い魔法使い人口減り続けてんじゃね?」
魔法省は狩人の血筋、つまりだ、強い魔力の魔法使いを手放したくねぇんだ。それも、循環相手がいて、闇に落ちない保証のある魔法使いを。クレハさんとカエデさんを失ったのは痛いんだと思う。でもよ。狩人は危険と隣り合わせで、命の保証もない。言い換えれば、魔力の強い魔法使い同士で潰し合ってるようなもんだろう?
「クレハさんとカエデさんはなんとか魔法省を退職できただろう?」
「そうだね」
ルイはそう言いながら、首を傾げた。
「シロガネさんとクチバさんはどうやって辞めたんだろう? 狩人だったはずだから」
強烈なお姉言葉のシロガネさん。渋い感じのクチバさん。あの二人、絶対、魔力が強い。それを隠せるだけの能力もある。卵を貰ってからすぐ辞めたって聞いたから、二十五歳で辞めたってことだ。
クレハさんとカエデさんはルイを理由に出して辞めることができた。じゃあ、あの二人は?
「卵は孵化してねぇんだよな?」
「そのはずだよ」
「じゃあ、どうして辞めれたんだ?」
「分からないね」
「ルイはさ、二人と親しいんだろう? 卵、見たことねぇの?」
感情が伴ってなくてもさ、視界に入るものくらい分かるだろう?
「自宅に連れて行ってくれたこともあるけど、見たことないよ」
孵化していないから申請を出しても許可されないと言ってた。でも、ルイは見たことがない。
「孵化しない卵ってさ、そのままなのかよ」
「どうなんだろう? 気が凝った物だし、自然に還ってしまうこともあるかも?」
「自然に還る?」
「うん。ベニとクレナイから教えてもらったでしょう。精霊の力を借りて命の揺籠を作るって」
揺籠か。うまい表現だよな。四元素の精霊の力を簡易的でも借りてるわけだよな。簡易的ってことは、卵としての姿を留めておく力も弱いってことだ。
「もしかしたら、孵化しない卵は精霊に還ってるのかも。でも、魔法使いの遺伝子を抱えたままだし、なにかしらの影響はあると思うけど」
つまり、自宅に二人の遺伝子を含む精霊がいるってことか。まあ、本当のところ分からねぇし。訊いてみないといけないけどさ。
「二人に訊いてそうだったら、捕まえねぇといけないんじゃね?」
「そうだね」
「でもよ。別の理由だったら?」
「考えられるとしたら魔の者かな。卵は純粋な力の結晶みたいなものだしね」
「それって?」
「食べられたってことだよ」
ルイは恐ろしいことを、サラリと口にした。
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