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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
087 目覚め
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ゆっくり瞼を開く。最初に視界に入ってきたのは、ポテッとボディ。
「キュ」
人の気配を感じて視線を向ければ、そこにいるのはルイ。
「食事にしようか」
「へ?」
食事? どうして食事だ?!
「サクヤ?」
「あのよ。起きがけに食事って、ありえねぇだろう」
「……意識があるの?」
オレ達の会話、確実に噛み合ってねぇよ。
「バッチリだ!」
頼むから、マジマジと見るな。あまりに整った顔で照れるわ!
よくよく話を聞くと、ルイの問い掛けはまともだって分かった。まず、あの日から二ヶ月経ってた。年またぎでオレは寝こけてたらしいけど、一日に一回は目覚めて食事と風呂には入っていたみてぇだ。その間の記憶、どこいったんだ?!
「体はおかしくない?」
「大丈夫みてぇだけど」
「まあ、一日一回動いてたから、平気だとは思うけど」
ルイはそう言うと、俺を立たせて頭にベニを乗せてた。まさか、記憶にない間もこの頭に乗せる動作をしてたのか?
「なあ、あいつは?」
「あの人は見付からないらしい。気配はあるけど、妖魔の数が凄いらしくて。学校も実は授業はしてないんだよ。移動させるのは危険だってことで。冬季休暇も取りやめで、寮に缶詰状態なんだよ」
でも、あいつは確実に来る。オレを捕らえて、ルイを手に入れるために。
「サクヤ?」
「なんだよ」
「本当に大丈夫?」
やっぱり、心配だったのかよ。寝こける前、大丈夫だってルイが言ってただろうが。あれか、あの言葉は自分自身に言い聞かせてたのか?
「大丈夫だよ。若干、体が痛てぇけど」
「大丈夫なら、試験を受けないと駄目なんだ」
「は?」
「先生達呼ぶから」
なんでも、勉強は自主的にするのようになってるようだ。で、オレとルイの場合、授業の半分は出てなかったようなもんだしな。ルイは試験をクリアしてる。あとはオレがクリアしないと駄目だってことみてぇ。
「その前に……」
オレは指を鳴らして杖を出した。
「サクヤ?!」
多分だけど、オレはあいつを探し出せる。寮に缶詰とか、そんなの続くくらいなら、こっちから引導渡してやる!
「キュウ!」
ベニが自主的に本来の大きさに戻った。
「なにをする気?!」
「見つけ出してやる。いつまでも缶詰なんてありえねぇよ」
オレの口をつくのは古代語。ベニの体が少し発光し始める。
「待って!」
「大丈夫だよ。ここにはルイの結界が張ってあるんだろ? それに、向こうは最初からオレ達の居場所を知ってんだ。今更だろう」
オレを中心に光の模様が現れる。そう、ルイが複雑な古代語の禁呪文を使った時に出るものだ。若干、文様が違うのはオレとルイの魔力が真逆だからだ。
脳裏に浮かぶ映像に吃驚だ。缶詰って、魔力持ってるやつ全員かよ?! それに、この状況、ヤバイを通り越えて危険じゃねぇか?! この中で授業の単位とか、よく言えたな。
大量の妖魔。つまりだ。妖魔達はあいつにくっついていれば、魔法使いを捕食できるって打算が働いたんだな。弱いやつらは強くなるチャンスだ。その離れた場所で、のうのうとその光景を観察してるやつ。薄ら笑みを浮かべて、憎たらしいことこと上ない!
魔法を解いて一息。オレが見ていたこと、絶対感づいてる。それでも余裕の笑みを浮かべてやがった。本当にムカつく! そして、ベニはポンって音を立ててそうな勢いで小さくなって、俺の頭に戻る。
「着替えてなんか食べる!」
「食事の用意はしてあるけど」
「そのあと、クレナイ貸してくれ!」
「はぁ?!」
ルイの予定なんか気にしてられるか!
「キュ」
人の気配を感じて視線を向ければ、そこにいるのはルイ。
「食事にしようか」
「へ?」
食事? どうして食事だ?!
「サクヤ?」
「あのよ。起きがけに食事って、ありえねぇだろう」
「……意識があるの?」
オレ達の会話、確実に噛み合ってねぇよ。
「バッチリだ!」
頼むから、マジマジと見るな。あまりに整った顔で照れるわ!
よくよく話を聞くと、ルイの問い掛けはまともだって分かった。まず、あの日から二ヶ月経ってた。年またぎでオレは寝こけてたらしいけど、一日に一回は目覚めて食事と風呂には入っていたみてぇだ。その間の記憶、どこいったんだ?!
「体はおかしくない?」
「大丈夫みてぇだけど」
「まあ、一日一回動いてたから、平気だとは思うけど」
ルイはそう言うと、俺を立たせて頭にベニを乗せてた。まさか、記憶にない間もこの頭に乗せる動作をしてたのか?
「なあ、あいつは?」
「あの人は見付からないらしい。気配はあるけど、妖魔の数が凄いらしくて。学校も実は授業はしてないんだよ。移動させるのは危険だってことで。冬季休暇も取りやめで、寮に缶詰状態なんだよ」
でも、あいつは確実に来る。オレを捕らえて、ルイを手に入れるために。
「サクヤ?」
「なんだよ」
「本当に大丈夫?」
やっぱり、心配だったのかよ。寝こける前、大丈夫だってルイが言ってただろうが。あれか、あの言葉は自分自身に言い聞かせてたのか?
「大丈夫だよ。若干、体が痛てぇけど」
「大丈夫なら、試験を受けないと駄目なんだ」
「は?」
「先生達呼ぶから」
なんでも、勉強は自主的にするのようになってるようだ。で、オレとルイの場合、授業の半分は出てなかったようなもんだしな。ルイは試験をクリアしてる。あとはオレがクリアしないと駄目だってことみてぇ。
「その前に……」
オレは指を鳴らして杖を出した。
「サクヤ?!」
多分だけど、オレはあいつを探し出せる。寮に缶詰とか、そんなの続くくらいなら、こっちから引導渡してやる!
「キュウ!」
ベニが自主的に本来の大きさに戻った。
「なにをする気?!」
「見つけ出してやる。いつまでも缶詰なんてありえねぇよ」
オレの口をつくのは古代語。ベニの体が少し発光し始める。
「待って!」
「大丈夫だよ。ここにはルイの結界が張ってあるんだろ? それに、向こうは最初からオレ達の居場所を知ってんだ。今更だろう」
オレを中心に光の模様が現れる。そう、ルイが複雑な古代語の禁呪文を使った時に出るものだ。若干、文様が違うのはオレとルイの魔力が真逆だからだ。
脳裏に浮かぶ映像に吃驚だ。缶詰って、魔力持ってるやつ全員かよ?! それに、この状況、ヤバイを通り越えて危険じゃねぇか?! この中で授業の単位とか、よく言えたな。
大量の妖魔。つまりだ。妖魔達はあいつにくっついていれば、魔法使いを捕食できるって打算が働いたんだな。弱いやつらは強くなるチャンスだ。その離れた場所で、のうのうとその光景を観察してるやつ。薄ら笑みを浮かべて、憎たらしいことこと上ない!
魔法を解いて一息。オレが見ていたこと、絶対感づいてる。それでも余裕の笑みを浮かべてやがった。本当にムカつく! そして、ベニはポンって音を立ててそうな勢いで小さくなって、俺の頭に戻る。
「着替えてなんか食べる!」
「食事の用意はしてあるけど」
「そのあと、クレナイ貸してくれ!」
「はぁ?!」
ルイの予定なんか気にしてられるか!
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