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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
055 落第と開き直り
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次の日、やっぱり体には違和感があるんだけどさ、普通に歩けんだよな。いつものようにベニを頭に乗せてもらって、学校に向かう。登校時のいつもの洗礼を受けて(ルイを見たときに発生する黄色い声だ)、教室に足を踏み入れる。
「はよ」
「おはよう。眠そうだな」
「昨日、ルイを誘惑したから」
「は?!」
ユエの驚いてる顔が通常運行だな。
「また、思い切ったことを」
「そうか? ベニにも応援されたぞ」
「普通に会話してんのな」
あんな目にあってさ、通常の神経持ち合わせてねぇし。あの行為そのものには抵抗あってもさ、一番の安全を手に入れる手段なら、羞恥心も我慢する!
「そういうユエは?」
近くの椅子に腰掛けて、ユエの顔を覗き込んだ。見事に真っ赤だな。オレのことばっかり訊くけどさ、ユエも立場的には同じじゃねぇの?
「じゃあ、落第決定?」
「そう。パートナーが決まってて、違う人相手に実技はしたくないしね」
ルイと副会長の会話がおかしくないか? 副会長が落第するってイメージねぇよ。当然、ユエは目を見開いてる。
「落第?!」
ユエが立ち上がって、大声を上げた。まあ、分かるけどさ。
「これも、ある意味、この学校の名物だよね」
ルイが当たり前のように言う。名物?
「相手が年上なら、無理やり上の学年になるし、年下なら、落第するしね」
……そんなのアリなのかよ。
「ユエは知らなかったの?」
副会長がユエの顔を覗き込んで問い掛けてきた。当然ユエは、首が千切れるのかってぐらい、首を縦に振ってる。
「そうか。特Aの生徒なら知ってる事実なんだけど。普通クラスじゃ知らないか」
ルイが腕を組んで頷きながら呟いてる。それが許されるって、ここの奴等、やっぱり、勉強しにきてんじゃないんだな。決定だな!
「今日から?」
「いや。ルイが魔法省に拘束されたときから」
「え?! あれってサクヤを守るためじゃなかったの?!」
ユエが驚くの分かる。オレも吃驚だからな。だから、教師の奴、普通に質問投げかけたのかよ。納得だ。
「学年が違うと、離れてる時間が不安でしょう? こんなことなら、最初からルイと同じ学年でいた方が良かったよね。何かと都合が良かったし」
もう色々とおかしなことがいっぱいだ。そうだ! 気にしたら負けだ。これはこの学校では日常の常識だって思い込もう! 自分の精神を守るために!
「何考えてるの?」
ルイがオレの顔を覗き込んでくる。キッと睨み付けて息を吸い込む。
「オレの常識は魔法使いに通用しないことがよく分かった! もう、驚くのはやめる!」
「前にも言ったのに、まだ、頑張ってたの?」
「今まで生きてきた中で培った常識をやすやすと変えられるか!」
「だから、魔力を持った者の常識と、魔力を持たない者の常識は完全に違うって言ったでしょう?」
「それでもだ! でも、頭を悩ませるだけ無駄だってことは分かった!」
なんだよ。この突き刺さってくる視線は。辺りを見渡すと、教室内の特Aの奴等がオレを凝視してた。オレは見世物じゃねぇぞ。たとえ、頭にベニを乗せててもな。
「キュウ」
おい。ベニまでそんなこと言うのか。
「何て言ってるの?」
ユエが興味津々に訊いてきた。
「諦めが悪い」
ユエがおかしそうに目細める。
「ベニの方が分かってるじゃんか」
どいつもこいつも、好き勝手言ってんじゃねぇ!
「はよ」
「おはよう。眠そうだな」
「昨日、ルイを誘惑したから」
「は?!」
ユエの驚いてる顔が通常運行だな。
「また、思い切ったことを」
「そうか? ベニにも応援されたぞ」
「普通に会話してんのな」
あんな目にあってさ、通常の神経持ち合わせてねぇし。あの行為そのものには抵抗あってもさ、一番の安全を手に入れる手段なら、羞恥心も我慢する!
「そういうユエは?」
近くの椅子に腰掛けて、ユエの顔を覗き込んだ。見事に真っ赤だな。オレのことばっかり訊くけどさ、ユエも立場的には同じじゃねぇの?
「じゃあ、落第決定?」
「そう。パートナーが決まってて、違う人相手に実技はしたくないしね」
ルイと副会長の会話がおかしくないか? 副会長が落第するってイメージねぇよ。当然、ユエは目を見開いてる。
「落第?!」
ユエが立ち上がって、大声を上げた。まあ、分かるけどさ。
「これも、ある意味、この学校の名物だよね」
ルイが当たり前のように言う。名物?
「相手が年上なら、無理やり上の学年になるし、年下なら、落第するしね」
……そんなのアリなのかよ。
「ユエは知らなかったの?」
副会長がユエの顔を覗き込んで問い掛けてきた。当然ユエは、首が千切れるのかってぐらい、首を縦に振ってる。
「そうか。特Aの生徒なら知ってる事実なんだけど。普通クラスじゃ知らないか」
ルイが腕を組んで頷きながら呟いてる。それが許されるって、ここの奴等、やっぱり、勉強しにきてんじゃないんだな。決定だな!
「今日から?」
「いや。ルイが魔法省に拘束されたときから」
「え?! あれってサクヤを守るためじゃなかったの?!」
ユエが驚くの分かる。オレも吃驚だからな。だから、教師の奴、普通に質問投げかけたのかよ。納得だ。
「学年が違うと、離れてる時間が不安でしょう? こんなことなら、最初からルイと同じ学年でいた方が良かったよね。何かと都合が良かったし」
もう色々とおかしなことがいっぱいだ。そうだ! 気にしたら負けだ。これはこの学校では日常の常識だって思い込もう! 自分の精神を守るために!
「何考えてるの?」
ルイがオレの顔を覗き込んでくる。キッと睨み付けて息を吸い込む。
「オレの常識は魔法使いに通用しないことがよく分かった! もう、驚くのはやめる!」
「前にも言ったのに、まだ、頑張ってたの?」
「今まで生きてきた中で培った常識をやすやすと変えられるか!」
「だから、魔力を持った者の常識と、魔力を持たない者の常識は完全に違うって言ったでしょう?」
「それでもだ! でも、頭を悩ませるだけ無駄だってことは分かった!」
なんだよ。この突き刺さってくる視線は。辺りを見渡すと、教室内の特Aの奴等がオレを凝視してた。オレは見世物じゃねぇぞ。たとえ、頭にベニを乗せててもな。
「キュウ」
おい。ベニまでそんなこと言うのか。
「何て言ってるの?」
ユエが興味津々に訊いてきた。
「諦めが悪い」
ユエがおかしそうに目細める。
「ベニの方が分かってるじゃんか」
どいつもこいつも、好き勝手言ってんじゃねぇ!
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