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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
042 繋がり
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「脅しじゃ……」
「残念だけど、脅しじゃないよ。この学校も寮も守りは硬いよ。長い時を費やして、強化に強化を重ねてる。でもね。そんなモノなんてモノともしない者はいるんだよ」
これ、脅しじゃない。本当のことなんだ。
「貴方には誕生時から魔法省が介入した。どうしてだと思う?」
「分からねぇよ」
「ルイだよ。本人は全く分かってない。ルイ本人は両親と魔法省の指示で貴方を知ったと思ってるようだけど、実は違う。激しく泣いたと聞いてる。焦っただろうね。感情の起伏は魔力に多大な影響を与える。今でこそそこそこ感情を表しているルイだけど、幼い時は人形のようだったんだ。初等部からこの学校にいる人はよく知ってる」
オレ、ここで不思議なことに気が付いた。副会長はどうしてそんなに詳しいんだ? 横にいるユエも驚いたように目を見開いてっし。
「あのさ。どうしてそんなに詳しいんだよ」
副会長が悲しそうに笑みを見せた。
「俺はね、ルイの監視役。コウガとリッカ、あとは風紀の委員長と副委員長もね。なにかがあれば対応する。特Aは鳥籠だよ。魔力の強い者達を集めて互いに監視し合う。でも、ルイは別格。サクヤのおかげで恐怖が拭われたんだろうね。ピリピリした気配がなくなった」
持って生まれたものに振り回されてるのかよ。
「ルイは……?」
「知ってるよ。ルイと顔を合わせたのが初等部の入学式で、俺は一学年上。コウガとリッカは二学年。風紀の二人は同級生。ルイはあの容姿だから、会ったときは人形のようだったよ。感情がなくてね。幼いときの感情は爆発しやすい。ましてや、ある一定の魔力を持つ幼子は初等部で初めて顔を合わせる。そのときに俺達に課せられたのはルイの感情の取得だった。幼いときはいい。でもね、成長していく過程で感情の欠落は悪影響しか与えない。そのままではただの強大な魔力を持つ器でしかない」
今は普通に笑ってるじゃないか……。
「ルイが育った環境が感情を奪っててね。でも、知識は凄かった。勉強をしていたわけじゃないよ。魔力が知識を吸収する。嫌でも情報が脳に流れ込んでくる。それも、ある方法で少しではあるけど回避していた」
「ある方法って?」
「貴方だよ。制御ピアスをしていたでしょう? あれはね、貴方の魔力を抑える役目と、ルイの魔力の暴走を阻止する役目。そして、もう一人から目を逸らすためのものだった。苦肉の策だったんだ。貴方が向こうの手に落ちれば待っているのは苦痛と言う名の牢獄で、ルイには魔法省地下に幽閉されるという未来が待っていた」
……それって。でもよ、ルイは反発したって。
「ルイはさ。オレのことを聞いたとき、拒絶したって言ってたぞ?」
「感情を得るようになって、聞かされた自分とは違うモノ。怖かったんだと思うよ。俺達に対してもそうだった。極力、人との接触を避けるように育てられていたからね」
オレは両手を握り締めた。そして、気が付いたこと。オレは全てが終わるまで、普通に授業を受けていたら、他の生徒にも危害が及ぶ。普通クラスの奴等は魔力があるって言っても、襲ってくる予定の奴は普通の魔力の持ち主じゃない。
「……本当はオレを隔離したいんじゃねぇの?」
「どうだろうね? 俺はそうは思わないよ」
「オレ一人のために、みんなが危険になるんだろう?」
「そうだね」
副会長は穏やかにそう答えた。ルイのことを本当のところ、どう思っているかなんて分かってねぇよ。それなのに、オレが知らない場所で勝手にいろんな出来事が起こる。望んでいなくてもさ。本当の意味の覚悟をしないと駄目なのかよ。
「残念だけど、脅しじゃないよ。この学校も寮も守りは硬いよ。長い時を費やして、強化に強化を重ねてる。でもね。そんなモノなんてモノともしない者はいるんだよ」
これ、脅しじゃない。本当のことなんだ。
「貴方には誕生時から魔法省が介入した。どうしてだと思う?」
「分からねぇよ」
「ルイだよ。本人は全く分かってない。ルイ本人は両親と魔法省の指示で貴方を知ったと思ってるようだけど、実は違う。激しく泣いたと聞いてる。焦っただろうね。感情の起伏は魔力に多大な影響を与える。今でこそそこそこ感情を表しているルイだけど、幼い時は人形のようだったんだ。初等部からこの学校にいる人はよく知ってる」
オレ、ここで不思議なことに気が付いた。副会長はどうしてそんなに詳しいんだ? 横にいるユエも驚いたように目を見開いてっし。
「あのさ。どうしてそんなに詳しいんだよ」
副会長が悲しそうに笑みを見せた。
「俺はね、ルイの監視役。コウガとリッカ、あとは風紀の委員長と副委員長もね。なにかがあれば対応する。特Aは鳥籠だよ。魔力の強い者達を集めて互いに監視し合う。でも、ルイは別格。サクヤのおかげで恐怖が拭われたんだろうね。ピリピリした気配がなくなった」
持って生まれたものに振り回されてるのかよ。
「ルイは……?」
「知ってるよ。ルイと顔を合わせたのが初等部の入学式で、俺は一学年上。コウガとリッカは二学年。風紀の二人は同級生。ルイはあの容姿だから、会ったときは人形のようだったよ。感情がなくてね。幼いときの感情は爆発しやすい。ましてや、ある一定の魔力を持つ幼子は初等部で初めて顔を合わせる。そのときに俺達に課せられたのはルイの感情の取得だった。幼いときはいい。でもね、成長していく過程で感情の欠落は悪影響しか与えない。そのままではただの強大な魔力を持つ器でしかない」
今は普通に笑ってるじゃないか……。
「ルイが育った環境が感情を奪っててね。でも、知識は凄かった。勉強をしていたわけじゃないよ。魔力が知識を吸収する。嫌でも情報が脳に流れ込んでくる。それも、ある方法で少しではあるけど回避していた」
「ある方法って?」
「貴方だよ。制御ピアスをしていたでしょう? あれはね、貴方の魔力を抑える役目と、ルイの魔力の暴走を阻止する役目。そして、もう一人から目を逸らすためのものだった。苦肉の策だったんだ。貴方が向こうの手に落ちれば待っているのは苦痛と言う名の牢獄で、ルイには魔法省地下に幽閉されるという未来が待っていた」
……それって。でもよ、ルイは反発したって。
「ルイはさ。オレのことを聞いたとき、拒絶したって言ってたぞ?」
「感情を得るようになって、聞かされた自分とは違うモノ。怖かったんだと思うよ。俺達に対してもそうだった。極力、人との接触を避けるように育てられていたからね」
オレは両手を握り締めた。そして、気が付いたこと。オレは全てが終わるまで、普通に授業を受けていたら、他の生徒にも危害が及ぶ。普通クラスの奴等は魔力があるって言っても、襲ってくる予定の奴は普通の魔力の持ち主じゃない。
「……本当はオレを隔離したいんじゃねぇの?」
「どうだろうね? 俺はそうは思わないよ」
「オレ一人のために、みんなが危険になるんだろう?」
「そうだね」
副会長は穏やかにそう答えた。ルイのことを本当のところ、どう思っているかなんて分かってねぇよ。それなのに、オレが知らない場所で勝手にいろんな出来事が起こる。望んでいなくてもさ。本当の意味の覚悟をしないと駄目なのかよ。
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