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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
040 不穏な気配
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頭の上に雛を乗せたまま、授業を受ける。ここで問題なのが、授業の度に教師が必ず雛を見に来ることだ!
珍しいってことは理解した。理解したけどよ、そっとしといてくんねぇ? 特Aになったから人集りにはならねぇけど、遠巻きに見られてるのは視線で分かるんだよ!
「機嫌直して」
「そうは言うけどさ。ルイが隣にいるだけでも注目されてんのに、こいつが頭に乗っかってると更に注目されるんだよ!」
「キュウ!」
嬉しそうに返事すんじゃねぇよ。脱力するわ。
「それでね。話は変わるんだけど、私は魔法省に呼ばれたから、少し留守にするよ」
「は? どうして魔法省だよ」
「サクヤとのことだとは思うんだけど。いろいろね……」
なんか、言葉を濁そうとしてないか?
「だから、ユエとなるべく一緒にいて。心配だから」
「子供じゃねぇし!」
「その心配じゃないよ。多分、循環の魔法を使っていても、襲ってくるから」
「どうしてだよ?!」
理解できねぇって?!
「相手が私だから。ユエはその点、ライカが恋人だから襲われないだろうし」
「ルイだとどうして襲ってくんだよ?」
「それは、ちょっとね……」
なに、隠してんだよ。
「ユエ! サクヤをお願い」
ユエが驚いたように近付いて来た。
「会長、どうしたの?」
「ちょっと用事で魔法省まで行くから」
「……揉めてんの?」
「多分、私だからだと思うよ。揉めるというより、本当なのか確認したいんだろうと思う」
ユエが眉間に皺を寄せた。なにを知ってんだよ?!
「私がここの敷地を離れると、サクヤが危険だからね」
「……まだ危険視してんの?」
「ユエは流石に知ってるんだね」
「俺、初等部からいるしさ」
危険視ってなんだ?
「ある程度はこの子が察してくれると思うけど。まだ、雛だからね」
「成長してるように見えないんだけど?」
「サクヤの頭がお気に入りらしくて」
「……なんとなく分かった」
オレは分からねぇけど?
「ベニ(紅)もサクヤをお願い」
「キュウ!」
相変わらず返事はいいな。返事だけは。ルイは微笑むと教室を出て行った。
「ベニって?」
「こいつの名前」
「どうしてベニ?」
「ルイの火の鳥がクレナイ(紅)だから」
その微妙な表情はなんなんだよ。
「名前つけたのサクヤだろう?」
「どうしてだよ」
「クレナイだからベニって。その単純発想! まさにサクヤ!」
相変わらず失礼な奴だな!
「だってよ。オレに付けろって、こいつ五月蝿くてさ」
「随分、気に入られたのな」
オレのどこがいいんだよ。頭は悪いし、魔力は制御できねぇし。
「なあ。ルイが危険視してるって?」
「違う。会長を魔法省が危険視してるって話」
「どうしてだよ?」
ルイは穏やかだし。喧嘩っ早くもねぇし。どっちかってぇと、自分を抑える傾向が強いだろう?
「詳しくは本人に訊きなよ。でも、会長がサクヤから離れた場所に行くってことを失念してたのは失敗」
「は?」
「何事もなきゃいいけどさ。多分、ライカ先輩が側にいてくれると思うし、風紀も動いてくれるかもしれないけど。襲ってくるとしたら校外の奴だよな。会長を怒らせたらタダじゃ済まないだろうし」
ルイってそんなに怖いのかよ。想像できねぇ。ん? 風紀?
「風紀って?」
「知らないの? まあ、サクヤは口が悪いだけで、普通の生徒だし」
「なにが言いたいんだよ」
「悪さしたら、怖い目にあうよ。風紀って特Aが委員長と副委員長だし」
はい。なんとなく想像できる。逆らわないに限るって。でも、なにがどうなってんだよ。誰か教えてくれねぇ?
珍しいってことは理解した。理解したけどよ、そっとしといてくんねぇ? 特Aになったから人集りにはならねぇけど、遠巻きに見られてるのは視線で分かるんだよ!
「機嫌直して」
「そうは言うけどさ。ルイが隣にいるだけでも注目されてんのに、こいつが頭に乗っかってると更に注目されるんだよ!」
「キュウ!」
嬉しそうに返事すんじゃねぇよ。脱力するわ。
「それでね。話は変わるんだけど、私は魔法省に呼ばれたから、少し留守にするよ」
「は? どうして魔法省だよ」
「サクヤとのことだとは思うんだけど。いろいろね……」
なんか、言葉を濁そうとしてないか?
「だから、ユエとなるべく一緒にいて。心配だから」
「子供じゃねぇし!」
「その心配じゃないよ。多分、循環の魔法を使っていても、襲ってくるから」
「どうしてだよ?!」
理解できねぇって?!
「相手が私だから。ユエはその点、ライカが恋人だから襲われないだろうし」
「ルイだとどうして襲ってくんだよ?」
「それは、ちょっとね……」
なに、隠してんだよ。
「ユエ! サクヤをお願い」
ユエが驚いたように近付いて来た。
「会長、どうしたの?」
「ちょっと用事で魔法省まで行くから」
「……揉めてんの?」
「多分、私だからだと思うよ。揉めるというより、本当なのか確認したいんだろうと思う」
ユエが眉間に皺を寄せた。なにを知ってんだよ?!
「私がここの敷地を離れると、サクヤが危険だからね」
「……まだ危険視してんの?」
「ユエは流石に知ってるんだね」
「俺、初等部からいるしさ」
危険視ってなんだ?
「ある程度はこの子が察してくれると思うけど。まだ、雛だからね」
「成長してるように見えないんだけど?」
「サクヤの頭がお気に入りらしくて」
「……なんとなく分かった」
オレは分からねぇけど?
「ベニ(紅)もサクヤをお願い」
「キュウ!」
相変わらず返事はいいな。返事だけは。ルイは微笑むと教室を出て行った。
「ベニって?」
「こいつの名前」
「どうしてベニ?」
「ルイの火の鳥がクレナイ(紅)だから」
その微妙な表情はなんなんだよ。
「名前つけたのサクヤだろう?」
「どうしてだよ」
「クレナイだからベニって。その単純発想! まさにサクヤ!」
相変わらず失礼な奴だな!
「だってよ。オレに付けろって、こいつ五月蝿くてさ」
「随分、気に入られたのな」
オレのどこがいいんだよ。頭は悪いし、魔力は制御できねぇし。
「なあ。ルイが危険視してるって?」
「違う。会長を魔法省が危険視してるって話」
「どうしてだよ?」
ルイは穏やかだし。喧嘩っ早くもねぇし。どっちかってぇと、自分を抑える傾向が強いだろう?
「詳しくは本人に訊きなよ。でも、会長がサクヤから離れた場所に行くってことを失念してたのは失敗」
「は?」
「何事もなきゃいいけどさ。多分、ライカ先輩が側にいてくれると思うし、風紀も動いてくれるかもしれないけど。襲ってくるとしたら校外の奴だよな。会長を怒らせたらタダじゃ済まないだろうし」
ルイってそんなに怖いのかよ。想像できねぇ。ん? 風紀?
「風紀って?」
「知らないの? まあ、サクヤは口が悪いだけで、普通の生徒だし」
「なにが言いたいんだよ」
「悪さしたら、怖い目にあうよ。風紀って特Aが委員長と副委員長だし」
はい。なんとなく想像できる。逆らわないに限るって。でも、なにがどうなってんだよ。誰か教えてくれねぇ?
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