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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
011 墓穴を掘った小鳥
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魔力による拘束を解いてもらって、とりあえず、タオルケットで体を覆った。首の下からスッポリだ。改めて視界に収めたベッドは本当は大きかった。清潔な白いシーツ。しかも、肌触りは最高だ……。絶対、綿素材じゃねぇ。天蓋が付いてる辺りが時代を感じる。
「オレの疑問としては、ぶっちゃけ、充てがわれたんだよな?」
「そうだね。最初は反抗してたよ」
オレ達はデカいベッドの上で向かい合わせに、何故か正座してる。何故正座かと言われたら、答えるのは難しいよな。自然と身を正してる。
「じゃあさ。どうして反抗してたのに、執着するようになったんだよ」
反抗したのはオレでも理解できる。魔力の器が同じくらいだから、相手として申し分ない。だから、循環相手として求愛しなさいって言われたら抵抗するだろう。
「中等部になったくらいかな。私の魔力が澱み始めたんだ。使い切れない魔力は溜まっていく一方で、放出されない。次々と折り重なっていって、どうすることもできなくなった」
「自力じゃ無理なのかよ?」
会長は小さく頷いた。魔力が溜まって澱むって感覚がまず、分からねぇけど。
「なんとかしようとした。できる限り魔力の放出に努めたんだよ。でも、無理だった」
「どうして?」
「何年分だと思ってるの? 誕生した時からの澱みを、直ぐにどうこうするなんて無理だったんだ」
会長の眉間に寄ったシワが、なんか悲痛だな。それなりに努力はしたみてぇだな。
「そんなときだ。今まで微かに感じていた気配がはっきり感じられるようになった」
「中等部に入ってからかよ?」
「二年のときかな」
二年のときっていうと、左耳にあった赤い飾りが心なしか小さくなり始めたときだな。不思議に思ったんだよな。
「私の力を吸収し始めたんだって気が付いた。破壊の魔力は負の魔力だ。普通なら引き摺り込まれて大変なことになる」
「は?!」
「負の魔力に負の魔力が重なれば大変な事態になる」
普通に解釈したら、危険極まりないよな。あえてしようとは思わねぇけど。
「でも、君は私の力を浄化した上で吸収したみたいなんだよ」
浄化して吸収って。そんな高等なことができるわけないだろう?! まず、魔力をコントロールできてねぇんだし?!
「私が負の魔力なら、君の持つ魔力は陽の魔力だ。それに、君は魔力を制御できないばかりか、無意識に放出し続けている状態だった。私並みに魔力があったとしても、直ぐに枯渇する。無意識に周りから魔力を吸収し、吐き出す。まるで息をするみたいにね」
……、それ、無駄遣いって言わないか? オレがそれを無意識にしてたっていうのかよ。
「だから、君の中の魔力は澱むことがない。私とは真逆の性質を持ってるんだ」
つまり、オレはダダ漏れで、会長は溜め込むってことか。意識した事はねぇし、今も全く感じねぇんだけど。
「それに気が付いたとき、縋り付きたい衝動に駆られた。でもね。冷静に考えて、君に失礼だと思った。だから、観察させてもらってたんだ。どういう人物なのか。感じていた、そのままの存在なのか」
「……どうだったんだよ」
「素直で単純で純粋。莫迦が付くほどのお人好し。口は悪いけど、それは自分を守るためでしょう?」
反論できねぇし。
「そして、あまり賢くない」
「そこは言う必要ないんじゃねぇの?!」
「重要でしょう。頭で考える人にいい奴はいない。私がそうだから間違えないよ」
おい、自分と照らし合わせて答え出すな。もう、こんなこと聞いたら拒絶できないじゃねぇか?! オレは墓穴を掘ったのか?! 掘ったんだよな……。
「オレの疑問としては、ぶっちゃけ、充てがわれたんだよな?」
「そうだね。最初は反抗してたよ」
オレ達はデカいベッドの上で向かい合わせに、何故か正座してる。何故正座かと言われたら、答えるのは難しいよな。自然と身を正してる。
「じゃあさ。どうして反抗してたのに、執着するようになったんだよ」
反抗したのはオレでも理解できる。魔力の器が同じくらいだから、相手として申し分ない。だから、循環相手として求愛しなさいって言われたら抵抗するだろう。
「中等部になったくらいかな。私の魔力が澱み始めたんだ。使い切れない魔力は溜まっていく一方で、放出されない。次々と折り重なっていって、どうすることもできなくなった」
「自力じゃ無理なのかよ?」
会長は小さく頷いた。魔力が溜まって澱むって感覚がまず、分からねぇけど。
「なんとかしようとした。できる限り魔力の放出に努めたんだよ。でも、無理だった」
「どうして?」
「何年分だと思ってるの? 誕生した時からの澱みを、直ぐにどうこうするなんて無理だったんだ」
会長の眉間に寄ったシワが、なんか悲痛だな。それなりに努力はしたみてぇだな。
「そんなときだ。今まで微かに感じていた気配がはっきり感じられるようになった」
「中等部に入ってからかよ?」
「二年のときかな」
二年のときっていうと、左耳にあった赤い飾りが心なしか小さくなり始めたときだな。不思議に思ったんだよな。
「私の力を吸収し始めたんだって気が付いた。破壊の魔力は負の魔力だ。普通なら引き摺り込まれて大変なことになる」
「は?!」
「負の魔力に負の魔力が重なれば大変な事態になる」
普通に解釈したら、危険極まりないよな。あえてしようとは思わねぇけど。
「でも、君は私の力を浄化した上で吸収したみたいなんだよ」
浄化して吸収って。そんな高等なことができるわけないだろう?! まず、魔力をコントロールできてねぇんだし?!
「私が負の魔力なら、君の持つ魔力は陽の魔力だ。それに、君は魔力を制御できないばかりか、無意識に放出し続けている状態だった。私並みに魔力があったとしても、直ぐに枯渇する。無意識に周りから魔力を吸収し、吐き出す。まるで息をするみたいにね」
……、それ、無駄遣いって言わないか? オレがそれを無意識にしてたっていうのかよ。
「だから、君の中の魔力は澱むことがない。私とは真逆の性質を持ってるんだ」
つまり、オレはダダ漏れで、会長は溜め込むってことか。意識した事はねぇし、今も全く感じねぇんだけど。
「それに気が付いたとき、縋り付きたい衝動に駆られた。でもね。冷静に考えて、君に失礼だと思った。だから、観察させてもらってたんだ。どういう人物なのか。感じていた、そのままの存在なのか」
「……どうだったんだよ」
「素直で単純で純粋。莫迦が付くほどのお人好し。口は悪いけど、それは自分を守るためでしょう?」
反論できねぇし。
「そして、あまり賢くない」
「そこは言う必要ないんじゃねぇの?!」
「重要でしょう。頭で考える人にいい奴はいない。私がそうだから間違えないよ」
おい、自分と照らし合わせて答え出すな。もう、こんなこと聞いたら拒絶できないじゃねぇか?! オレは墓穴を掘ったのか?! 掘ったんだよな……。
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