銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

006 一夜明けて

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 一昨日と昨日の騒ぎの名残なのか。クラスの奴等の視線が刺さってくる。ユエも心なしか顔色悪いしさ。
 
「お前等特Aな。クラス変わったから」
 
 クラス委員長がわけの分からないこと言いやがった。この変な時期にクラスが変わってたまるか! 学年別、クラス別に教室があるのは、オレが今まで通っていた学校と変わらない。だが、この魔法学校は教室で授業をすると言うわけじゃねぇ。吃驚だった。つまり、休憩時間はクラス別に過ごすのがきまり、のようなものなんだとか。
 
「拒絶は認めない主旨の文書を持って生徒会書記様が朝来たんだよ」
 
 そう言いながら掲げられた一枚の紙。其処に捺印されているのは生徒会会長と副会長の印。おい、二人で結託しやがったな。疑問があるんだけどよ。教師から言われるのは納得できるが、生徒会が通達してくるってのはどう言うことだ!?
 
「はあ、やっぱり……」
「そう言うことだ。諦めろよ」
 
 ユエと委員長が含みのある会話をしてやがる。オレに分かるように説明しろ!
 
「意味分かんねぇって!」
「クラスが変わっても、授業そのものに影響はないから。ただ、休憩場所が変わるんだよ。此処で授業はしてないだろう」
 
 委員長、オレが外部入学だから、その叫びで説明してきやがった。確かに授業は其々の教師の部屋で行われてるけどさ。毎回、移動教室。授業と授業の間の休憩時間が異常に長いのも、移動時間を考慮してんだよな。だから、教室には椅子と机はあるけど、休憩室に近い作りをしてる。個人個人に充てがわれた椅子机がないんだよな。空いてる場所に適当に座るんだよ。
 
「会長と副会長が相手じゃ、言ってくるのが当たり前だろう。まあ、ユエの副会長には吃驚だけど」
「完全なとばっちりだって」
 
 ユエ、グッタリしてるな。ユエのその様子に、委員長は気の毒そうに眉を顰めてる。
 
「まあ、今までバレてなかったのが不思議だったしさ」
 
 あれ? 委員長知ってるのか?
 
「此奴、幼馴染み。隠してたんだけど、親と話してるの聞かれたんだ」
 
 だよな。副会長の口振りで、魔力の強さで判別できるみたいだしさ。
 
「オレが言いたいのはそこじゃねぇ!」
 
 ユエのことはこの際、横に置いといてだ。どうして、休憩場所を変える必要がある?!
 
「特Aって、普通クラスの奴が近付くのご法度だから」
「へ?」
「寮も特別寮に変更になる。今頃、二人担当の妖精が移動させてるだろう」
「わけ分かんねぇ!」
「近付くのがご法度っていうことは、求愛した相手が普通クラスじゃ問題あるだろうって言ってんだ」
 
 はい。それだけ言われればオレでも分かる。断れないように外堀埋めてきただけじゃねぇか! つまり、寮も似たような理由だろう! で、その求愛とやらを受けたらまた移動すんだろう?! なんなんだよ! 此処学校じゃねぇのか?! 特Aとやらの奴等は違う意味で入学してるのかよ?!
 
「まあ、一部屋空いたから、お前達が使ってた四人部屋、既に新しい住人が入ったからな。諦めろよ」
 
 前も後ろも塞ぐのかよ……。容赦ねぇじゃねぇか!
 
「相手が悪すぎたな。あの二人に勝てる教師はいないんだ。素直に受けた方がいいぞ」
 
 委員長、慰めと忠告になってねぇよ。絶対おかしいだろう?!
 
 
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