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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
002 大誤算?!
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今日の出来事に体がグッタリだ。疲れた体を引き摺って寮に帰る。寮は一人部屋じゃなくて四人部屋を二人で使ってる。何でも、前はそれなりに生徒数も多かった魔法学校。今では半数以下に落ち込んでんだって。一人一部屋ってわけにはいかねぇけど。それでも、それなりに広いんだよな。俺の部屋より広いくらいだ。
一人一人に与えられる個室と、同じ部屋で生活する寮生が寛げるリビング。そこには長椅子が置かれていて、大抵はそこで過ごす。
着替えてグッタリと長椅子に身を沈めたオレ。隣に座った同居人がジッとオレを見詰める。
「先越された!」
目の前には頭を抱える友人……、だった筈だ……。頭抱えて叫ぶんじゃねぇよ。オレにそんなことを言うのは、あの、変態生徒会会長だけだ! と思ってたんだけど……。
「何言ってんだ?」
「今日、誕生日だっただろう?」
「おう。それがなんだ?」
そうだ。言われてみれば誕生日じゃねぇか! 驚きが強すぎて忘れてた……。
「循環相手として認識されるのは満十六歳からなんだ」
……待て。それは何だ?! 年齢指定があるのかよ?!
「何で十六からだ?!」
「は? そうか、高等部からだもんな」
「だから何で?!」
「男は十八歳から結婚出来るだろう? 昔は十六歳でさ。それに倣ってんの」
待てよ。昨日の生徒会長のあの話。本気だってことかよ?! しかも、この物言い。魔法学校に通ってる奴等には常識の知識なのかよ?!
「これって先手必勝で。その相手を拒否ってもらわないと次が手を出せない」
左手の人差し指を立て、ユエは言い切る。生徒会長を拒否しても、次が来るのかよ?!
「魔力でクラス分けされてるだろう? サクヤ(開耶)は本来もう一個上なんだよ。でもさ、制御出来てないんだろう?」
それは否定しねぇよ。ぐうの音も出ねぇよ。
「あの人、生徒会会長とか言ってるけど同い年だし。残念だけどサクヤを守れるのってあの人くらいかもな。いろんな意味で」
おい。そこで含みを持たせるな。いろんな意味で、グッタリしてんだ。今まで住んでた場所と何もかもが違いすぎて! 寮の部屋にしたって置かれてる家具はどう見ても高そうだし。一階にある食堂のも高そうだしさ。食事にしても、確実に高い食材で作られてんだろう? 聞いた話だと、ウチの親、オレにかかる学費やら何やら払ってねぇって言ってたしさ。
「上級生も狙ってたしな。今頃、悔しさに打ち震えてんじゃないのか」
爽やかに笑ってんじゃねぇ! ただでさえ、金持ち学校で、身の置き場に困ってんだよ! それに上級生って何だよ?!
「今は学校で使う物一式、学校側から借りてんだろう? 循環相手が決まると、その相手が全てを用意するのが慣例な訳」
「どうして?!」
「循環相手って、まあ、同じような境遇の奴ならそんな必要ないんだけど。ある意味、外部から来たのは貴重なんだよ。魔力の質が違うことが多いから」
昨日、生徒会長も言ってやがったな。質って魔力は魔力じゃねぇか。
「で、外部からの生徒は魔力の暴走を抑えるのにここに入れられるからさ。必然的に強い魔力を持ってるってことになるわけよ」
でもよ。ここって初等部からあるよな? エスカレーター式の学校だよな? オレは生まれた時にここに入ることが決められたって言ってただろう。どうして、高等部からだったんだ?
「外部って、一般家庭の出身者が多いだろう。循環相手にすると独占欲が生まれんの。身の回りの世話から何かしらし始めるぞ。まあ、俺でもするけどな」
待てや! 何だ! そのおかしなシステムは?! もし、受けたとしたら部屋も変わるんだろうが?!
「諦めて、早いうちに相手決めなよ。身のためだしさ、慣れると楽らしいよ」
……。もう、勘弁して……。
一人一人に与えられる個室と、同じ部屋で生活する寮生が寛げるリビング。そこには長椅子が置かれていて、大抵はそこで過ごす。
着替えてグッタリと長椅子に身を沈めたオレ。隣に座った同居人がジッとオレを見詰める。
「先越された!」
目の前には頭を抱える友人……、だった筈だ……。頭抱えて叫ぶんじゃねぇよ。オレにそんなことを言うのは、あの、変態生徒会会長だけだ! と思ってたんだけど……。
「何言ってんだ?」
「今日、誕生日だっただろう?」
「おう。それがなんだ?」
そうだ。言われてみれば誕生日じゃねぇか! 驚きが強すぎて忘れてた……。
「循環相手として認識されるのは満十六歳からなんだ」
……待て。それは何だ?! 年齢指定があるのかよ?!
「何で十六からだ?!」
「は? そうか、高等部からだもんな」
「だから何で?!」
「男は十八歳から結婚出来るだろう? 昔は十六歳でさ。それに倣ってんの」
待てよ。昨日の生徒会長のあの話。本気だってことかよ?! しかも、この物言い。魔法学校に通ってる奴等には常識の知識なのかよ?!
「これって先手必勝で。その相手を拒否ってもらわないと次が手を出せない」
左手の人差し指を立て、ユエは言い切る。生徒会長を拒否しても、次が来るのかよ?!
「魔力でクラス分けされてるだろう? サクヤ(開耶)は本来もう一個上なんだよ。でもさ、制御出来てないんだろう?」
それは否定しねぇよ。ぐうの音も出ねぇよ。
「あの人、生徒会会長とか言ってるけど同い年だし。残念だけどサクヤを守れるのってあの人くらいかもな。いろんな意味で」
おい。そこで含みを持たせるな。いろんな意味で、グッタリしてんだ。今まで住んでた場所と何もかもが違いすぎて! 寮の部屋にしたって置かれてる家具はどう見ても高そうだし。一階にある食堂のも高そうだしさ。食事にしても、確実に高い食材で作られてんだろう? 聞いた話だと、ウチの親、オレにかかる学費やら何やら払ってねぇって言ってたしさ。
「上級生も狙ってたしな。今頃、悔しさに打ち震えてんじゃないのか」
爽やかに笑ってんじゃねぇ! ただでさえ、金持ち学校で、身の置き場に困ってんだよ! それに上級生って何だよ?!
「今は学校で使う物一式、学校側から借りてんだろう? 循環相手が決まると、その相手が全てを用意するのが慣例な訳」
「どうして?!」
「循環相手って、まあ、同じような境遇の奴ならそんな必要ないんだけど。ある意味、外部から来たのは貴重なんだよ。魔力の質が違うことが多いから」
昨日、生徒会長も言ってやがったな。質って魔力は魔力じゃねぇか。
「で、外部からの生徒は魔力の暴走を抑えるのにここに入れられるからさ。必然的に強い魔力を持ってるってことになるわけよ」
でもよ。ここって初等部からあるよな? エスカレーター式の学校だよな? オレは生まれた時にここに入ることが決められたって言ってただろう。どうして、高等部からだったんだ?
「外部って、一般家庭の出身者が多いだろう。循環相手にすると独占欲が生まれんの。身の回りの世話から何かしらし始めるぞ。まあ、俺でもするけどな」
待てや! 何だ! そのおかしなシステムは?! もし、受けたとしたら部屋も変わるんだろうが?!
「諦めて、早いうちに相手決めなよ。身のためだしさ、慣れると楽らしいよ」
……。もう、勘弁して……。
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