7 / 8
振り回される魔王
しおりを挟む
魔王は困り果てていた。魔王の私室は今、とんでもない状況になっている。
魔王の名に相応しい内装と家具で整えられ、当然、世話役は魔物だ。その魔物だが、今やある者に揉みくちゃにされている。
「勘弁して下さい~~!!!」
そう言うなり、扉が閉ざされる大きな音が室内だけではない、城全体に響き渡る。
「待ってぇ! まだ、遊んでるんだから!」
そう叫んだのは小さな人間の女の子だ。そう、何故か魔族の居城に人間の女の子がいるのである。普通なら泣き叫ぶなり、小動物のように震えるのが普通なのだが、この女の子は楽しく遊んでいるのである。
では、何故、女の子がこの魔王の私室を占拠しているのか。魔族と人間とのいざこざは、古より続く確執だ。当然ながら、魔族も人間も其々の種族を悪しき者として教育を受ける。
「どうして開かないの?!」
閉ざされた大きな扉は、女の子の力ではビクともしない。それでも、必死で開けようともがいている。
今は魔族と人間の間で設けられた停戦期だ。引っ切り無しに戦っていてはどちらも疲弊してしまう。魔王とて息抜きの一つや二つしたい。そう思い城から近い森に散歩に出掛けたのだ。そこで拾った(付いて来た)のが、魔王の私室を占拠している女の子である。
やりたい放題する女の子に城の魔物達は困り果てた。今、人間の女の子に手を出し、殺しでもしたら大変な事態だ。ある程度、好き勝手に遊ばせれば満足し、帰るだろうと思っていたのだ。
「魔王! みんな逃げちゃった!」
甲高い声が室内に響き、魔王は両手で耳を塞ぐ。魔王は小さい子供は苦手なのだ。
魔王の私室を占拠する大量の縫いぐるみ。魔物が好きだとは思えない甘いお菓子。それが所狭しと置かれ、気が付けば魔王の私室は完全に女の子の物へと変貌していたのである。
「勘弁してくれ」
魔王は情けない声を溜め息と共に吐き出す。拾って(付いて来た)来たのは魔王なのだ。不本意でも、最後まで責任を持たなくてはならない。何時迄もこのまま、人間の女の子を手元に置いては置けない。火種になる可能性があるからだ。しかし、それは女の子次第である事も魔王はよく分かっていた。
終わり。
魔王の名に相応しい内装と家具で整えられ、当然、世話役は魔物だ。その魔物だが、今やある者に揉みくちゃにされている。
「勘弁して下さい~~!!!」
そう言うなり、扉が閉ざされる大きな音が室内だけではない、城全体に響き渡る。
「待ってぇ! まだ、遊んでるんだから!」
そう叫んだのは小さな人間の女の子だ。そう、何故か魔族の居城に人間の女の子がいるのである。普通なら泣き叫ぶなり、小動物のように震えるのが普通なのだが、この女の子は楽しく遊んでいるのである。
では、何故、女の子がこの魔王の私室を占拠しているのか。魔族と人間とのいざこざは、古より続く確執だ。当然ながら、魔族も人間も其々の種族を悪しき者として教育を受ける。
「どうして開かないの?!」
閉ざされた大きな扉は、女の子の力ではビクともしない。それでも、必死で開けようともがいている。
今は魔族と人間の間で設けられた停戦期だ。引っ切り無しに戦っていてはどちらも疲弊してしまう。魔王とて息抜きの一つや二つしたい。そう思い城から近い森に散歩に出掛けたのだ。そこで拾った(付いて来た)のが、魔王の私室を占拠している女の子である。
やりたい放題する女の子に城の魔物達は困り果てた。今、人間の女の子に手を出し、殺しでもしたら大変な事態だ。ある程度、好き勝手に遊ばせれば満足し、帰るだろうと思っていたのだ。
「魔王! みんな逃げちゃった!」
甲高い声が室内に響き、魔王は両手で耳を塞ぐ。魔王は小さい子供は苦手なのだ。
魔王の私室を占拠する大量の縫いぐるみ。魔物が好きだとは思えない甘いお菓子。それが所狭しと置かれ、気が付けば魔王の私室は完全に女の子の物へと変貌していたのである。
「勘弁してくれ」
魔王は情けない声を溜め息と共に吐き出す。拾って(付いて来た)来たのは魔王なのだ。不本意でも、最後まで責任を持たなくてはならない。何時迄もこのまま、人間の女の子を手元に置いては置けない。火種になる可能性があるからだ。しかし、それは女の子次第である事も魔王はよく分かっていた。
終わり。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望

未熟な最強者の逆転ゲーム
tarakomax
ファンタジー
過労死したサラリーマンが転生したのは、魔法と貴族が支配する異世界。
のんびり暮らすはずだったアーサーは、前世の知識でスローライフを満喫……するはずだった。
だが、彼が生み出した「ある商品」が、世界を揺るがすことになる。
さらに、毎日襲いかかる異様な眠気――その正体は、この世界の"禁忌"に触れる力だった!?
そして彼が挑むのは、 "魔法を使ったイカサマ" に立ち向かう命がけの心理戦!
ババ抜き、人狼、脱出ゲーム……
"運" すら操る者たちの「見えない嘘」を暴き、生き残れ!!
スローライフ? そんなものは幻想だ!!
「勝たなきゃ、生き残れない。」
知略で運命を覆せ! これは、未熟な最強者が"逆転"に賭ける物語――!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる