置き去りの恋

善奈美

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48 除夜の鐘が鳴る頃に 後編※(響也視点)

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 この人が躊躇いなく俺のモノを口に含むなんて思いもよらなかった。高められた体は、欲を吐き出したことで力が入らなくなった。
 
 腰が浮いたと思って視線を向けたら、腰辺りに貴羅さんの膝が差し入れられてた。そんなことされたら恥ずかしい場所が丸見えだろう!
 
 抵抗しようとしたんだけど、ありえないところに、ありえない感触。両足が貴羅さんの肩に掛けられていて、さっき触れてきた場所を舌が舐めていた。更にヤバイ場所を口でされてる!
 
「そんなところ舐めるな!」
「ダメ。全身味わうことにしたんだよ。ローションも用意はしたんだけど、ここ、響也の先走りで程よく濡れてるしね。だから……」
 
 貴羅さんがそう言うと、異物がクプっと体内に侵入して来た。嘘だろう?! 確かに慣らされてたし、痛みはほぼねぇけど、それでも、抵抗なく呑み込んでる体に驚きの方が大きい。指と共に滑りを帯びた感触。それが舌だって分かって……。
 
「……っ、あ……っ、……やぁ! ……はぁ……っ」
「分かる? 二本なら簡単に呑み込むんだよ。美味しそうに食んでるしね」
 
 口に出して言わないでくれよ。俺は初心者なんだ! 言葉責めとかマジに勘弁して。探るように指が中を刺激してる。何をしようとしてるのかなんて、知りたくもないのに分かってるんだ。無駄にある知識が羞恥心を更に煽る結果になるなんて、思わねぇだろう?! それに! 今更だけど貴羅さん、服着たまんまなんだよ! 俺ばかりが剥かれてるってどうよ?!

「……! やっ……、やああああ!」
 
 何かを押し潰したような感覚。背中をゾワリとした感覚が駆け上がった。指先まで痺れたようになって、勝手に声が体内から吐き出されてた。
 
「気持ちいいでしょう?」
 
 絶対意地悪な顔してる。でも、体を丸めてこの感覚をやり過ごしたい! なのに、容赦なくそこばかりを刺激してくる。一度達っして力を失った筈の俺自身が頭を擡げ始めた。前立腺。お袋と姉貴に聞いてはいた。貴羅さんに慣らすという名目で弄られたこともある。でもさ、今までの比じゃないんだって!
 
「……そこっ! やぁん!」
 
 これ! 俺の声じゃねぇ! やぁん、ってなんだ?! 喘ぎ声が抑えられない!
 
「柔らかくなってきた。分かる? 俺の指を美味しそうに三本も呑み込んでるんだよ。中も吸い付いてくるしね」
 
 もう、わけ分かんねぇよ。体が莫迦になってる。忙しなく息を吐き出さないと、熱と感覚が逃げていかない。
 
 腰がシーツの感触を感じて、無理な体勢じゃないことに気が付いた。少し涙目(控え目に言ってな!)だけど、貴羅さんに視線を向けた。部屋着を脱いだ貴羅さんの体。俺とは違う、立派な男の体だ。もう三十路なのに、無駄な脂肪がない。特に腹! ちゃんと筋肉が付いてんだよ!
 
「響也のためにはゴムした方がいいんだけどね。でも、プレゼントなんだよね。だから、生でするから」
 
 俺に覆い被さってきて、耳元で面っと言った! そのまま挿れるって?!
 
「声出した方が楽だよ。まあ、半分頭が機能してないだろうけどね」
 
 耳元で聞こえてくる楽し気な声。耳殻を舐め上げられ、食まれて、噛み散らされる。脚を持ち上げられて、後ろに擦り付けられた熱塊。体が自然と強張る。
 
「力抜いて」
 
 その言葉と共に侵入してくる熱くて硬いモノ。ただ硬いんじゃない。しなやかさも確かにあって、でも、指なんかと比べモノにならない大きさ。若干の痛みと半端ない圧迫感。
 
「……はっ。キツイ」
 
 そんなモノ受け入れるの初めてなんだよ! ユルユルだったら問題だろうが?! 口から出るのは痛みを堪える呻き声だけどさ。文句が言えないって辛いんだけどよ。
 
「凄いな。中うねって絡み付いてくる。熱いしね」
 
 それは貴羅さんのだろう! それにデカイんじゃねぇの?! まだ、腰を進めてるってことは収まってないってことだろう?!
 
 お尻に人肌を感じて、貴羅さんの動きが止まった。すぐ動くのかと思ったんだけどさ、いきなり胸の飾りを口に含んで刺激してきた。それも両方!
 
「ふぅ……っ、あ……っ、ン……っ」
 
 胸を弄りながら、少しだけ中を擦る動きが加わる。内臓が引き摺り出されるような感覚。そして、また、押し入ってくる。結構、無理な体勢を強いられてるから、俺のモノから絶え間なく溢れてくる滑りを帯びた先走りが腹を濡らしてる。それが恥ずかしいのに……!
 
「中うねって熱くて、トロトロになってきてる。もう、遠慮しなくていいよね」
 
 待って! 心の中で待ったをかけたんだけどさ、口に出してないから伝わらねぇ! いきなり激しくなった動き。違和感が半端ない上に、圧迫感が内臓を押し上げる。
 
「あっ……、ぁン……っ、ヒィ!」
 
 いきなり駆け上がったあの感覚。涙目で貴羅さんを見ると、ニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
 
「……や、やめ……」
「無理。あそこを擦るとね、中が更に柔らかく絡み付いてくるんだよ。動きに合わせて収縮して、締め付けてくるし」
 
 耳を犯す水音と肌を打つ音が室内に響く。強弱をつけられて責め立てられて、体が何かに支配される。気持ちいいという感覚じゃなくて、未知のモノだ。それは思考能力を奪って、ただ、本能が体を突き動かす。辛い体勢の筈なのに、与えられる刺激の方が辛い。
 
「いい声」
「ふぅ……っ、声が、抑えられ……っ」
「そんな必要ないでしょう?」
「はず、かしい……んだって!」
「そんなこと、考えられなくしてやるよ」
 
 動きが激しくなる中、貴羅さんが口内に押し入ってきた。ただでさえ一杯一杯なのに、口の中まで刺激されたら、どう対応していいか分かんねぇだろう?! 思いとは裏腹に、体は正直で、貴羅さんの首に腕を絡めてた。舌から受ける刺激と、溢れるどちらのモノとも分からない唾液。必死に飲み込もうとするんだけど、飲みきれない。
 
「聞こえる?」
 
 絡まっていた舌が離れて、至近距離で囁かれた言葉。何を言ってるのか分からねぇよ。
 
「はっ……、鐘の音が聞こえるでしょう?」
 
 鐘の音? 微かに空気を震わせる重い音が尾を引いてるのが聞こえる。そうだ。今日は大晦日でもう少しで新年だ。耳元で囁かれた言葉に、俺はギョッとして、彷徨っていた意識が覚醒する。いや、俺初心者で、今日が初めてなんだけど?!
 
「ぁン……っ、は……っ、冗談!」
「そんなわけないでしょう?」
「初めて……、なんだってっ!」
「なんのために悪戯してたと思ってるの? 初めての割に感じてるでしょう?」
 
 確かに、初めてとは思えないくらい馴染んでるけどさ!
 
「お預けされてた分、満足させてもらわないとね。それに休みなんだし、問題ないでしょう?」
 
 いい顔するな! 休みだけどさ、この後どう考えても体が言うこと聞かなくなるだろう?! 既に体の彼方此方に違和感感じるんだって!
 
「も……、あんた、今年三十路だろう!」
「あ、そうだね。でもね、体力なら響也に負ける気がしないよ」
 
 恐ろしいこと言うな! ただでさえ貴羅さんは化け物並みなんだよ! そう言った後、貴羅さんは激しく俺のモノを刺激して、前立腺を押し潰しながら最奥に押し入ってきた。体の奥に熱いモノが広がって、目の前が白く弾けた。
 
 予想はしてたけど、ここまで絶倫だとは思わなかった。俺、朝日を拝めるだろうか? もう本当に、勘弁して……。
 
 
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