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貴羅&響也編
05 白昼夢と無駄な攻防(響也視点)
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俺さ。何か、幻か白昼夢でも見てんのか。今日は終業式で、明日から夏休みなんだけどよ。あり得ない人物が校門前に居るんだ。罠か? 嫌がらせか?
当然、見た目だけなら麗しいし、高身長だし。羨望の眼差し向けられてるのは、理解出来んだけど。彼処に居るって事は、目的は俺だよな。回れ右して、裏門から出るか? でも、しっかり視線が合ったんだから、逃げたら絶対追い掛けてくるよな。アカがあれだけ運動も出来ると考えて、兄貴が遅いとは考えられないよな。特にあの兄弟に限ってだけどな!
「キョウ、迎えに来てくれてるのに、待たせたら駄目でしょう」
は? ユキ、今、何言ったんだ? 迎えが来るような予定はねぇぞ!
「忘れたの? 暁が封筒渡したでしょう?」
封筒?
……。
………。
…………。
……………!
あれかよ!? 俺、あえて開封してねぇよ!
「見てないの?」
おい、アカよ。あれはある意味、公害で、ある意味、災害だ。歩く、危険物体だ。俺は普通で平穏な日常が好みだ。たとえ、周りが多少、変わっていようとも、俺は普通を通してぇんだ!
「兄さん。楽しみにしてたみたいだし。キョウのご両親からも許可を貰ってるって言ってたけど」
今、爆弾を投下されなかったか? どうしてそこで、両親が出てくんだよ。
「周りから攻めないとって」
おい。どうして、事前に忠告なり知らせるなり、してくれねぇんだよ。分かってたら、速攻、逃げてたわ!
「それに、食事って、俺があの封筒渡す時に言ったよね?」
確かに言ってたな。でもよ、俺的には避けたいんだよ! 春名、もとい忍がいいだけ脅してくれたからな。ありとあらゆる意味において、かなりビビってんだよ! 察してくれ!
「それと、少しばかり内容に変更があって」
は? 内容に変更、ってなんだ?!
「俺、明日から雪兎と一緒に雪兎の両親のところに行くから。それで、変更が」
「は?! どういう事だよ?」
ユキが長期休みになると、親父さんところにお袋さんと行くのは知ってるよ。なんで、アカも行くことになってんだ!?
「僕が話したんだ。ほら、暁って、親を知らないっていうか、大人をあまり信用してないから。そうしたら、お母さんが一緒に行こう、って」
納得だ。ユキの両親は頭ごなしに言わないからな。ユキを尊重して、ってか、カミングアウトしたんだな。で、普通に受け入れたんだな。絶対、うちの腐った女共の影響だよな。もう、申し訳なさすぎるぜ。
「それでね。俺は長期休みになると兄さんの店を手伝ってたんだけど」
ん? この学校、バイトは駄目なんだぞ。ああ、でも、うちの手伝いは問題ないのか。
ん? アカ、俺、嫌な予感がしてるんだけど。
「それでね。キョウに頼めないかな? って思ってて、兄さんは何故か、キョウに訊かないで、その、親の方に確認とったみたいで」
本人の意思は無視なのか? 俺、確かにバイトはしたかったよ。学校の決まりで断念はしてたよ。が、これは望んだものじゃねぇぞ!
「暁。このまま行くんでしょう?」
「雪兎と学校で出された課題を明日までに終わらせるから」
兄弟で話してる内容は、普通だよな。二人でいたら、怖さと黒さと、ついでに寂しさが二倍だけどな。そして、旅行鞄、アカに手渡してっし。本当なんだな。俺、忍の言葉じゃないけど、マジ身の危険をヒシヒシ感じるわ。
「あちらのご厚意だし、迷惑はかけないこと」
「兄さんに言われたくないんだけど」
アカ、正論だけど、校門前で繰り広げる会話じゃねぇよ。見ろよ。貴羅さんの目が怖いことになってんだろ。あの、顔笑って目が笑ってないって。マジ、怖いから。
「まあ、俺が言えた義理じゃないけど、あちらは俺達とは違う、善良な方達だからね」
「一緒にしないでくれない」
アカ、負けてないなぁ。もう、貴羅さんと同類だよ。一緒にして問題ねぇよ。しかも、二人の会話はあれだけど、並んでるとマジ、絵になるわ。見た目がいいと、会話は関係ねぇのな。
「で、響也君。こっちは君の鞄ね」
あ? 何で俺の持ち物、あんたが持ってんだ。もう、この際、あんたで十分だ!
「響也君のお母さんが、喜んで渡してくれたよ。息子を宜しくって」
いや、待てよ。その、宜しくは絶対、意味が違うだろ。あの腐った女! 母親だろうが関係ねぇ! 産んでくれたことには、正直感謝してっけど、それとこれは別だ! あの女で十分だ! 自分の旦那だけじゃ飽き足らず、息子まで利用して、妄想の糧にしようとか。
「年の差萌え、とか言ってたね」
おい。待てよ。あんたが何で、あの腐った女共の趣味を知ってる感じなんだよ。俺、誰にも言った覚えない、……まさか?!
「ごめん。僕、暁に話しちゃって。その、クウちゃんと莉嘉さんとナッちゃんの事も話しちゃったんだ」
俺、体が固まった。そうだよな。そういう関係になったら、どうして知ってるのか訊かれるよな。ユキなら素直だから、話しちゃうよな。やっぱり、俺、呪われてるのか? アカと関わるようになって、なんかくっ付けてきたのか?
当然、見た目だけなら麗しいし、高身長だし。羨望の眼差し向けられてるのは、理解出来んだけど。彼処に居るって事は、目的は俺だよな。回れ右して、裏門から出るか? でも、しっかり視線が合ったんだから、逃げたら絶対追い掛けてくるよな。アカがあれだけ運動も出来ると考えて、兄貴が遅いとは考えられないよな。特にあの兄弟に限ってだけどな!
「キョウ、迎えに来てくれてるのに、待たせたら駄目でしょう」
は? ユキ、今、何言ったんだ? 迎えが来るような予定はねぇぞ!
「忘れたの? 暁が封筒渡したでしょう?」
封筒?
……。
………。
…………。
……………!
あれかよ!? 俺、あえて開封してねぇよ!
「見てないの?」
おい、アカよ。あれはある意味、公害で、ある意味、災害だ。歩く、危険物体だ。俺は普通で平穏な日常が好みだ。たとえ、周りが多少、変わっていようとも、俺は普通を通してぇんだ!
「兄さん。楽しみにしてたみたいだし。キョウのご両親からも許可を貰ってるって言ってたけど」
今、爆弾を投下されなかったか? どうしてそこで、両親が出てくんだよ。
「周りから攻めないとって」
おい。どうして、事前に忠告なり知らせるなり、してくれねぇんだよ。分かってたら、速攻、逃げてたわ!
「それに、食事って、俺があの封筒渡す時に言ったよね?」
確かに言ってたな。でもよ、俺的には避けたいんだよ! 春名、もとい忍がいいだけ脅してくれたからな。ありとあらゆる意味において、かなりビビってんだよ! 察してくれ!
「それと、少しばかり内容に変更があって」
は? 内容に変更、ってなんだ?!
「俺、明日から雪兎と一緒に雪兎の両親のところに行くから。それで、変更が」
「は?! どういう事だよ?」
ユキが長期休みになると、親父さんところにお袋さんと行くのは知ってるよ。なんで、アカも行くことになってんだ!?
「僕が話したんだ。ほら、暁って、親を知らないっていうか、大人をあまり信用してないから。そうしたら、お母さんが一緒に行こう、って」
納得だ。ユキの両親は頭ごなしに言わないからな。ユキを尊重して、ってか、カミングアウトしたんだな。で、普通に受け入れたんだな。絶対、うちの腐った女共の影響だよな。もう、申し訳なさすぎるぜ。
「それでね。俺は長期休みになると兄さんの店を手伝ってたんだけど」
ん? この学校、バイトは駄目なんだぞ。ああ、でも、うちの手伝いは問題ないのか。
ん? アカ、俺、嫌な予感がしてるんだけど。
「それでね。キョウに頼めないかな? って思ってて、兄さんは何故か、キョウに訊かないで、その、親の方に確認とったみたいで」
本人の意思は無視なのか? 俺、確かにバイトはしたかったよ。学校の決まりで断念はしてたよ。が、これは望んだものじゃねぇぞ!
「暁。このまま行くんでしょう?」
「雪兎と学校で出された課題を明日までに終わらせるから」
兄弟で話してる内容は、普通だよな。二人でいたら、怖さと黒さと、ついでに寂しさが二倍だけどな。そして、旅行鞄、アカに手渡してっし。本当なんだな。俺、忍の言葉じゃないけど、マジ身の危険をヒシヒシ感じるわ。
「あちらのご厚意だし、迷惑はかけないこと」
「兄さんに言われたくないんだけど」
アカ、正論だけど、校門前で繰り広げる会話じゃねぇよ。見ろよ。貴羅さんの目が怖いことになってんだろ。あの、顔笑って目が笑ってないって。マジ、怖いから。
「まあ、俺が言えた義理じゃないけど、あちらは俺達とは違う、善良な方達だからね」
「一緒にしないでくれない」
アカ、負けてないなぁ。もう、貴羅さんと同類だよ。一緒にして問題ねぇよ。しかも、二人の会話はあれだけど、並んでるとマジ、絵になるわ。見た目がいいと、会話は関係ねぇのな。
「で、響也君。こっちは君の鞄ね」
あ? 何で俺の持ち物、あんたが持ってんだ。もう、この際、あんたで十分だ!
「響也君のお母さんが、喜んで渡してくれたよ。息子を宜しくって」
いや、待てよ。その、宜しくは絶対、意味が違うだろ。あの腐った女! 母親だろうが関係ねぇ! 産んでくれたことには、正直感謝してっけど、それとこれは別だ! あの女で十分だ! 自分の旦那だけじゃ飽き足らず、息子まで利用して、妄想の糧にしようとか。
「年の差萌え、とか言ってたね」
おい。待てよ。あんたが何で、あの腐った女共の趣味を知ってる感じなんだよ。俺、誰にも言った覚えない、……まさか?!
「ごめん。僕、暁に話しちゃって。その、クウちゃんと莉嘉さんとナッちゃんの事も話しちゃったんだ」
俺、体が固まった。そうだよな。そういう関係になったら、どうして知ってるのか訊かれるよな。ユキなら素直だから、話しちゃうよな。やっぱり、俺、呪われてるのか? アカと関わるようになって、なんかくっ付けてきたのか?
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