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白蛇の神様と黒兎の男の子のいけないクリスマス
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白蛇神である慈雨は小さな黒兎を拾ったのは気紛れだった。そう、健やかに育て、ゆくゆくは食べてしまおうと考えていたのである。神故に、食べる表現に間違いはあるが、人によってはまさに頭から足の先まで食べるというだろう。
黒兎がまだ幼い時分、強請られるままに海の向こうの国で行われるクリスマスなるものの真似事をよくしてやった。その時に強請られる贈り物は慈雨と共に過ごしたいというもので、物品を求められたことはない。そう、黒兎が望んだのは物ではなく、白蛇神なのだ。
「何故、このような……」
慈雨にしてみればまさに、考えが及んでいなかった現実だ。
「ずっと、貴方が欲しいと言っていましたよ」
悪びれた様子もなく言い切ったのは黒兎だ。毎年、白蛇神と一緒にいたい。側にいたい。その、願いの言葉に変化はあれど、最終的には白蛇神が欲しいが黒兎の本当の願いだったのだ。
「組み敷くのが望みであったとっ」
「そうですよ」
黒兎はそう言うなり、白蛇神の最奥に自身を捻じ込んできた。その時に、敏感な部分が強い刺激を受け、白蛇神は思わず腰が跳ね上がる。そして、押し出されるように声が上がる。慌てて口を塞ぐも、何度も攻められ声を抑えることも叶わない。
「慈雨様は私の力が欲しかったのでしょう。だから、私を拾い育てたんですよね」
黒兎の言っていることは間違いではない。野の獣は稀に魔に変化する。その時には一度、命を終えているのだ。変化するということは、神になる資質もあるという事。育て方で神の餌ともなり得るのだ。
「……あっ、そんな、深いっ」
そう、白蛇神は組み敷く予定で黒兎を育てていたのである。だから、どんな願いも叶えてやっていたのだ。しかし、黒兎は育っていくうち、白蛇神より逞しい身体を手に入れていた。気が付けば、今年の黒兎のクリスマスの願いが白蛇神自身だった。勿論、今回は白蛇神はその願いを絶ったのだが、黒兎は強引に褥に白蛇神を押さえつけ、純潔を奪ってしまった。そう、白蛇神はまだ、誰とも交わったことがなかったのだ。
「そうです。来年のお願い事もあるんです。叶えてくださいますよね」
「……もう、子供ではあるまい」
黒兎に何度も攻められ、体力を奪われた白蛇神の声は弱々しかった。しかも、何度も中に注がれ、白蛇神自身も蜜を放ち過ぎていた。体の力が抜け、否定の言葉に力がない。
「ええ、子供ではありませんよ。だから、慈雨様を抱いているでしょう。ほら、また、欲しくなって元気になってしまいました」
黒兎の言葉を聞いた白蛇神は驚きに顔が青冷めいていく。白蛇神は華奢である。つまり、体力に全く自信がないのだ。これ以上は、確実に体が悲鳴を上げる。
「願いは……」
「言うな。言霊が私に刻まれる」
「知ってますよ。それに、私もそれなりに力をつけました。慈雨様を手に入れるために」
黒兎は白蛇神を一目見た時、心を奪われていた。まだ、野の獣であった彼は白蛇神の側にありたいと、変化したのだ。それは強い想いで、強い欲だ。
「慈雨様は私だけを相手にするんです。他の誰かを選べば私は何をするか分かりませんよ。覚えておいてください。この命ある限り、私は貴方を諦めません」
「……っ」
白蛇神の心臓の上に不思議な文字が刻まれる。それは、黒兎の言霊が刻んだ印だ。交わり言霊で縛られては、いくら神とはいえ、その制約に逆らう事は出来ない。文字が刻まれたと言う事は、白蛇神自身も望んだのだ。黒兎は黒い笑みを見せ、自身の心臓の上に視線を向ける。そこには白蛇神と同じ印が刻まれていた。
「貴方は私のものです」
白蛇神はただ、過去の自分を恨んだ。まさか、逆転するなど考えていなかったのだ。可愛かった黒兎はあの時から、白蛇神の手に入れようと考えていた。それに気がつかなかった白蛇神は、結局、黒兎には勝てなかったのである。
終わり。
黒兎がまだ幼い時分、強請られるままに海の向こうの国で行われるクリスマスなるものの真似事をよくしてやった。その時に強請られる贈り物は慈雨と共に過ごしたいというもので、物品を求められたことはない。そう、黒兎が望んだのは物ではなく、白蛇神なのだ。
「何故、このような……」
慈雨にしてみればまさに、考えが及んでいなかった現実だ。
「ずっと、貴方が欲しいと言っていましたよ」
悪びれた様子もなく言い切ったのは黒兎だ。毎年、白蛇神と一緒にいたい。側にいたい。その、願いの言葉に変化はあれど、最終的には白蛇神が欲しいが黒兎の本当の願いだったのだ。
「組み敷くのが望みであったとっ」
「そうですよ」
黒兎はそう言うなり、白蛇神の最奥に自身を捻じ込んできた。その時に、敏感な部分が強い刺激を受け、白蛇神は思わず腰が跳ね上がる。そして、押し出されるように声が上がる。慌てて口を塞ぐも、何度も攻められ声を抑えることも叶わない。
「慈雨様は私の力が欲しかったのでしょう。だから、私を拾い育てたんですよね」
黒兎の言っていることは間違いではない。野の獣は稀に魔に変化する。その時には一度、命を終えているのだ。変化するということは、神になる資質もあるという事。育て方で神の餌ともなり得るのだ。
「……あっ、そんな、深いっ」
そう、白蛇神は組み敷く予定で黒兎を育てていたのである。だから、どんな願いも叶えてやっていたのだ。しかし、黒兎は育っていくうち、白蛇神より逞しい身体を手に入れていた。気が付けば、今年の黒兎のクリスマスの願いが白蛇神自身だった。勿論、今回は白蛇神はその願いを絶ったのだが、黒兎は強引に褥に白蛇神を押さえつけ、純潔を奪ってしまった。そう、白蛇神はまだ、誰とも交わったことがなかったのだ。
「そうです。来年のお願い事もあるんです。叶えてくださいますよね」
「……もう、子供ではあるまい」
黒兎に何度も攻められ、体力を奪われた白蛇神の声は弱々しかった。しかも、何度も中に注がれ、白蛇神自身も蜜を放ち過ぎていた。体の力が抜け、否定の言葉に力がない。
「ええ、子供ではありませんよ。だから、慈雨様を抱いているでしょう。ほら、また、欲しくなって元気になってしまいました」
黒兎の言葉を聞いた白蛇神は驚きに顔が青冷めいていく。白蛇神は華奢である。つまり、体力に全く自信がないのだ。これ以上は、確実に体が悲鳴を上げる。
「願いは……」
「言うな。言霊が私に刻まれる」
「知ってますよ。それに、私もそれなりに力をつけました。慈雨様を手に入れるために」
黒兎は白蛇神を一目見た時、心を奪われていた。まだ、野の獣であった彼は白蛇神の側にありたいと、変化したのだ。それは強い想いで、強い欲だ。
「慈雨様は私だけを相手にするんです。他の誰かを選べば私は何をするか分かりませんよ。覚えておいてください。この命ある限り、私は貴方を諦めません」
「……っ」
白蛇神の心臓の上に不思議な文字が刻まれる。それは、黒兎の言霊が刻んだ印だ。交わり言霊で縛られては、いくら神とはいえ、その制約に逆らう事は出来ない。文字が刻まれたと言う事は、白蛇神自身も望んだのだ。黒兎は黒い笑みを見せ、自身の心臓の上に視線を向ける。そこには白蛇神と同じ印が刻まれていた。
「貴方は私のものです」
白蛇神はただ、過去の自分を恨んだ。まさか、逆転するなど考えていなかったのだ。可愛かった黒兎はあの時から、白蛇神の手に入れようと考えていた。それに気がつかなかった白蛇神は、結局、黒兎には勝てなかったのである。
終わり。
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