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Ⅹ 双月の奏
36 SS03 勘違い
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「どうして、こうなっちゃったのかしら」
ジゼルは一つ溜め息を零す。事の発端はベンジャミンの勘違い、だった。
「背格好も似てるし、髪の色も同じだし、混同しちゃってるのかも」
シオンは首を傾げた。何を困っているのかと言えば、ベンジャミンがアレンを父親だと思ってしまったことだった。誰が悪いわけではないのだが、一度持ってしまった先入観は、なかなか、変えられないという事だ。とはいえ、本当の父親のファジールはと言えば、別に祖父と思われても気にしない、と言うのだ。
逆にアレンだが、ファジールとは違い、ベンジャミンと顔を会わせる度に、父親ではなく兄なのだと言い続けていた。
瞳の色は違えど、背の低いベンジャミンの目線では、そんな違いなど確認しようがない。言葉使いはかなり違うのだが、同じ職業故なのか、雰囲気がまた、似たような感じなのだ。
「だから、言ってるだろうが。俺はお前の兄貴だ」
菫の幼気な瞳を瞬かせ、アレンを凝視したベンジャミンだが、にっこり笑うと、
「お父さん」
と言った。アレンは力が抜けたように、突っ伏した。
それを端から見ていると微笑ましいのだが、当事者であるファジールは飄々としており、何とかなるだろうと楽観視している。
このままではマズいと思い、アレンは言い続け、ベンジャミンが認識するまでに、かなりの年月が掛かったとか、掛からなかったとか。
「お前も気をつけた方がいいぞ」
アレンはファジュラに弟が出来たとき、忠告したとか、しなかったとか。だが、平和な悩みには違いなかった。
ジゼルは一つ溜め息を零す。事の発端はベンジャミンの勘違い、だった。
「背格好も似てるし、髪の色も同じだし、混同しちゃってるのかも」
シオンは首を傾げた。何を困っているのかと言えば、ベンジャミンがアレンを父親だと思ってしまったことだった。誰が悪いわけではないのだが、一度持ってしまった先入観は、なかなか、変えられないという事だ。とはいえ、本当の父親のファジールはと言えば、別に祖父と思われても気にしない、と言うのだ。
逆にアレンだが、ファジールとは違い、ベンジャミンと顔を会わせる度に、父親ではなく兄なのだと言い続けていた。
瞳の色は違えど、背の低いベンジャミンの目線では、そんな違いなど確認しようがない。言葉使いはかなり違うのだが、同じ職業故なのか、雰囲気がまた、似たような感じなのだ。
「だから、言ってるだろうが。俺はお前の兄貴だ」
菫の幼気な瞳を瞬かせ、アレンを凝視したベンジャミンだが、にっこり笑うと、
「お父さん」
と言った。アレンは力が抜けたように、突っ伏した。
それを端から見ていると微笑ましいのだが、当事者であるファジールは飄々としており、何とかなるだろうと楽観視している。
このままではマズいと思い、アレンは言い続け、ベンジャミンが認識するまでに、かなりの年月が掛かったとか、掛からなかったとか。
「お前も気をつけた方がいいぞ」
アレンはファジュラに弟が出来たとき、忠告したとか、しなかったとか。だが、平和な悩みには違いなかった。
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