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Ⅴ 十六夜月
01 待ち続ける想い
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ジゼルは一人、窓の外を眺めていた。空には青白い月があり、淡い光を降り注いでいる。
立ち上がるとクローゼットの扉を開けた。目に飛び込んできたのは鮮やかな真紅のドレス。
それを手に取ると苦痛に顔を歪めた。何も望まないと決めていた。助けてくれただけでも有り難いと思っていた。
それがこれほどの苦痛を伴うなど、考えてもいなかった。
何時も思う。
振り向いて欲しい。触れて欲しい。抱き締めて欲しい。
我が儘だとは判っていた。一方的な想いだ。
同じ屋根の下にいたとしても、何も変わらない。
ファジールは仕事に忙しく顔を合わせるのも数えるほど。まともに会話するのは満月の食事の時だけだった。
最近思う。
ファジールの中で自分は必要な存在ではないのかもしれない。被害者意識を持つつもりはないが、無意識に考えてしまう。
ドレスを元に戻し、彼女は決意した。レイチェルに会い考えたことが現実に可能なのかを聞くのだ。
「……自由になって……」
クローゼットの扉を閉め、ぽつりと呟いた。
立ち上がるとクローゼットの扉を開けた。目に飛び込んできたのは鮮やかな真紅のドレス。
それを手に取ると苦痛に顔を歪めた。何も望まないと決めていた。助けてくれただけでも有り難いと思っていた。
それがこれほどの苦痛を伴うなど、考えてもいなかった。
何時も思う。
振り向いて欲しい。触れて欲しい。抱き締めて欲しい。
我が儘だとは判っていた。一方的な想いだ。
同じ屋根の下にいたとしても、何も変わらない。
ファジールは仕事に忙しく顔を合わせるのも数えるほど。まともに会話するのは満月の食事の時だけだった。
最近思う。
ファジールの中で自分は必要な存在ではないのかもしれない。被害者意識を持つつもりはないが、無意識に考えてしまう。
ドレスを元に戻し、彼女は決意した。レイチェルに会い考えたことが現実に可能なのかを聞くのだ。
「……自由になって……」
クローゼットの扉を閉め、ぽつりと呟いた。
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