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月の箱庭
18 一矢
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壁の中は白く霞み、視界が良くはなかった。纏わりつく空気が酷く重たく感じる。ひたすら前進し、目的の出口に到達した。
いきなり開けた視界にグウェンティアは目を細めた。視力が戻るまでに数秒を要し、認識できた時には、細剣の柄を無意識に握っていた。
想像していなかったと言ったら嘘になる。何故なら、必ず待ち構えている事は前日に判っていたからだ。
隔離された場所から見ていたのとは違う空気が存在した。まず、先に気付くのは異臭だ。生理的に受け付けない悪臭が襲ってくる。次いで、その姿を見た瞬間、逃げ出したくなるのが本音だ。あまりのおぞましさに、肌が粟立つ。
それは、特定の姿を持っているようには見えない。ありとあらゆる生物を無理矢理合わせたような違和感が強かった。
魔物に対峙しているのはデュナミスとゼディスだ。アシャンティは少し離れた所に結界陣を張り、何時でも援護出来るように待機していた。グロウはアシャンティを護る為なのか隣で魔物を睨み付けていた。
グウェンティアは静かに結界の外に足を踏み出した。乾燥した大地が土埃を舞い上がらせる。水分を失った空気が、容赦なく喉を焼いた。足音をたてないようにアシャンティとグロウの元に近付く。
先に気が付いたのはグロウだ。
視線をグウェンティアに向け、アシャンティを促した。アシャンティは視線だけをグウェンティアに向け確認する。
グウェンティアは気配を消しながら移動し、一人と一匹の元にたどり着く。横目で結界の綻びを確認した。そこだけ色が違っていたが、徐々に違いがなくなっていった。
グウェンティアは安堵の息を吐くと、改めて魔物を凝視する。
「あれはやはり待ちかまえていたの」
グウェンティアの問いにグロウは呻いた。最初に結界を抜けたグロウはすぐに邪悪な気配に気付いた。視界に入ったのは想像以上の大きさと姿、それと悪臭だった。
どこが顔であるか認識するのは困難であり、かろうじて目の位置が確認出来る程度だった。その目にしても一対ではない。無数の目が魔物の体を覆っていた。手足が何処にあるのかも判らなかった。
「四凶よね」
グウェンティアは自身に言い聞かせるように呟いた。魔物を睨み付け、対峙している二人に視線を向けた。
二人の肩が激しく上下していた。グウェンティアは眉を顰める。何故、あれ程に荒い息をしているのか。その理由はすぐに判った。
魔物は小刻みに振るえ始め、表面が脈打ちその後、無数の肉片が四方に飛び散った。
肉片は大地に触れると妖しく蠢き、無数の魔物となった。無数の魔物は二人を取り囲み、動きを封じようとしている。
グウェンティアは驚愕に目を見開いた。体から血の気が引いていく。醜悪な魔物は自身が動くことなく、体から魔物を生み出し攻撃しているのだ。
このままでは、命の灯火などあっという間に消えてしまう。
「ずっと、なの」
グウェンティアの声は震えていた。珍しい事だった。
「援護しようにも、二人に当ててしまいそうで」
アシャンティは震える声で告げた。その言にグウェンティアは納得した。
魔物達はただ、襲っているわけではなかった。確実に体力を奪うため、アシャンティが援護出来ないように、巧みに二人を盾にしている。
小さく息を吐き出し、グウェンティアは目を閉じた。人間が心臓を持っているように、魔物は核を持っている。確実に倒すには核を破壊するしかない。魔物の能力が高ければ高い程、いかに致命傷を与えるかが勝負の分かれ目になる。
意識を集中し、魔物の体内を探る。前の魔物は核が体内を移動していた。では、目の前にいる醜悪な魔物はどのようにして核を守っているのか。
グウェンティアは魔物が持つ魔力に反発するように侵入した。
あれだけの大きさだ。核は体内の奥深いところにあるのはあらかじめ想像できた。
だが、脳裏に浮かんだ映像は彼女に絶望を植え付けた。弾かれたように目を見開く。それを見ていたグロウは怪訝な表情をした。
「どうかしたのか」
グロウはぶっきらぼうに問い掛けた。グウェンティアは唇を噛みしめている。彼女が読み取った魔物の体内情報は有り得ないものだったのだ。
「こんな無茶苦茶な事ってある訳」
グウェンティアは小さく呟いた。
「グウェンティアさん」
アシャンティは首を傾げる。
「あれを倒すのは無理よ。魔物があれだけなら無理してでも倒した方がいいけど、ここでの足止めは致命傷だわ」
グウェンティアは改めて意識を集中した。小さく蠢く核が一つだけある。小さいと言っても、魔物本体はかなりの大きさだ。核もそれなりに大きいことは想像できる。
「何が判った」
グロウは問う。グウェンティアは意識を集中させた状態でグロウの言葉を聞いていた。
「あの魔物。無数の核を持っているわ。全部を破壊するのは無理よ」
グウェンティアの言葉にアシャンティは息を飲む。グロウは眉間に皺を寄せた。
「幸い、機能しているのは一つだけよ。ここからは憶測にすぎないけど、多分、一つの核が破壊されたら、他の一つが機能する。それの繰り返しね」
グウェンティアは考えた。判った事は無数の核は無数に存在する目と結び付いている。核そのものが移動してはいない。よく見れば、一つだけ目の色が違う。青の目の中に、一つだけ赤い目が存在していた。
「兎に角、あの魔物の動きを止めるしかないわ。そうしないと、次々と現れる魔物を相手し続けなきゃいけない」
グウェンティアは忌々しそうに吐き捨てた。
「どうするつもりだ」
「アシャンに核を破壊してもらうしかないわ」
アシャンティは弾かれたようにグウェンティアを見た。
「無理ですっ」
反射的に答えていた。アシャンティはまず、核の位置が判らなかった。ましてや、目の前の魔物は普通の相手ではない。
「核の位置が判りませんっ」
焦りはそのまま言葉に現れていた。
「貴女には核の位置を判るようになってもらわないと困るわ。援護には必要な能力よ」
グウェンティアはばっさりと切り捨てるように言った。アシャンティは口を噤む。
「よく見て。目で見るのではなくて、貴女の魔力の目で見るの」
グウェンティアは言った。
「判る筈よ。彼奴は魔力の塊よ。その中に更に強い魔力がある筈」
アシャンティは気持ちを落ち着けようと息を吐き出した。グウェンティアの言葉に従い、魔物を探り始める。最初は判らなかった。だが、少しずつ判るようになってくる。
魔力は目に集中していることが判った。その中に一際、強い魔力を放っている目がある。更に奥深くに蠢くものを感じ取った。かなり深い位置にある。
「見えました」
アシャンティは小さく呟いた。
「でも、体を結界が覆っています。一矢で貫くのは無理ですっ」
最後の方は悲鳴に近かった。アシャンティは無数に矢を射る事が無理であることを知っていた。
そんなことをすれば、魔物が何かしらしてくることが判っていたからだ。
「するの。好機は一度だけ。次はないわ。生き残りたいなら考えて」
グウェンティアは細剣を鞘から抜いた。
「私達は魔物の目を引き付けておく。核を破壊したら走るわ」
グウェンティアは言い捨てると、大地を蹴った。体勢を低くし魔物の群に飛び込んでいく。
アシャンティは心を落ち着けるために、息を吐き出した。どうすれば、結界の破壊と核の破壊を同時に行えるのか考えてみた。使える矢は一本だけだ。好機は一度しかない。
グウェンティアは勢いを殺すことなく、数匹の魔物を切り捨て二人の元に辿り着いた。直ぐに、背中を合わせ背後を魔物に取られないようにする。
「聞いて」
グウェンティアは二人に聞こえる声音で語り掛けた。二人は荒い息を吐き出し、グウェンティアの声に耳を傾ける。
「あの、魔物を倒すのは無理よ。今から、アシャンが核を破壊するわ。破壊した後走るわよ」
二人は目を見開く。
「説明は後よ」
グウェンティアは襲いくる魔物を切り捨てながら続ける。
「何時でも走り出せる準備をしておいて。好機は一度だけ。それを逃したら、命はないわ」
二人は頷くしかなかった。結界を抜けてから、魔物を相手にしている。そろそろ、限界に近かった。
当たりに漂う悪臭も体力を奪う原因の一つだった。この状況から脱することが出来るなら、何でもやるだろう。
グウェンティアは気配で二人の答えを感じ取りつつ、魔物を倒していく。二人も無言で魔物を倒していく。後はアシャンティが成功することを祈るしかなかった。
アシャンティは考えた。使える矢は一本だ。二本使うことは無理だと判断した。一度に二本射る事は可能だ。
しかし、命中率が下がることははっきりと判っていた。目の前で三人は必死に魔物を倒している。
彼女が相手にすべき魔物は強い魔力を放ち、更に魔物を生みだそうとしている。弓に矢をつがえ、息を整えた。今まで、この方法は使ったことがなかった。また、使う必要性がなかった。しかし今、するしかない状況に追い込まれてしまった。
意識を集中し、矢に魔術文字を刻み込んでいく。確実に核を破壊し、その後、少しでも長く足止めをするために必要な魔術を編んでいく。そして、もう一つ、アシャンティは魔術を発動させるため、更に魔術文字を矢に刻み込む。
「考えがあるのか」
グロウの問いに小さく頷いた。
「今まで試したことのない魔術を使います」
それは賭けだった。うまくいくかは運でしかない。だが、この方法に賭けるしかなかった。
狙いを定め、アシャンティは矢を引き絞る。狙うは一点のみ。指先から魔術文字が溢れ、矢に光の文字が踊る。息を整えると、アシャンティは矢を放った。
いきなり開けた視界にグウェンティアは目を細めた。視力が戻るまでに数秒を要し、認識できた時には、細剣の柄を無意識に握っていた。
想像していなかったと言ったら嘘になる。何故なら、必ず待ち構えている事は前日に判っていたからだ。
隔離された場所から見ていたのとは違う空気が存在した。まず、先に気付くのは異臭だ。生理的に受け付けない悪臭が襲ってくる。次いで、その姿を見た瞬間、逃げ出したくなるのが本音だ。あまりのおぞましさに、肌が粟立つ。
それは、特定の姿を持っているようには見えない。ありとあらゆる生物を無理矢理合わせたような違和感が強かった。
魔物に対峙しているのはデュナミスとゼディスだ。アシャンティは少し離れた所に結界陣を張り、何時でも援護出来るように待機していた。グロウはアシャンティを護る為なのか隣で魔物を睨み付けていた。
グウェンティアは静かに結界の外に足を踏み出した。乾燥した大地が土埃を舞い上がらせる。水分を失った空気が、容赦なく喉を焼いた。足音をたてないようにアシャンティとグロウの元に近付く。
先に気が付いたのはグロウだ。
視線をグウェンティアに向け、アシャンティを促した。アシャンティは視線だけをグウェンティアに向け確認する。
グウェンティアは気配を消しながら移動し、一人と一匹の元にたどり着く。横目で結界の綻びを確認した。そこだけ色が違っていたが、徐々に違いがなくなっていった。
グウェンティアは安堵の息を吐くと、改めて魔物を凝視する。
「あれはやはり待ちかまえていたの」
グウェンティアの問いにグロウは呻いた。最初に結界を抜けたグロウはすぐに邪悪な気配に気付いた。視界に入ったのは想像以上の大きさと姿、それと悪臭だった。
どこが顔であるか認識するのは困難であり、かろうじて目の位置が確認出来る程度だった。その目にしても一対ではない。無数の目が魔物の体を覆っていた。手足が何処にあるのかも判らなかった。
「四凶よね」
グウェンティアは自身に言い聞かせるように呟いた。魔物を睨み付け、対峙している二人に視線を向けた。
二人の肩が激しく上下していた。グウェンティアは眉を顰める。何故、あれ程に荒い息をしているのか。その理由はすぐに判った。
魔物は小刻みに振るえ始め、表面が脈打ちその後、無数の肉片が四方に飛び散った。
肉片は大地に触れると妖しく蠢き、無数の魔物となった。無数の魔物は二人を取り囲み、動きを封じようとしている。
グウェンティアは驚愕に目を見開いた。体から血の気が引いていく。醜悪な魔物は自身が動くことなく、体から魔物を生み出し攻撃しているのだ。
このままでは、命の灯火などあっという間に消えてしまう。
「ずっと、なの」
グウェンティアの声は震えていた。珍しい事だった。
「援護しようにも、二人に当ててしまいそうで」
アシャンティは震える声で告げた。その言にグウェンティアは納得した。
魔物達はただ、襲っているわけではなかった。確実に体力を奪うため、アシャンティが援護出来ないように、巧みに二人を盾にしている。
小さく息を吐き出し、グウェンティアは目を閉じた。人間が心臓を持っているように、魔物は核を持っている。確実に倒すには核を破壊するしかない。魔物の能力が高ければ高い程、いかに致命傷を与えるかが勝負の分かれ目になる。
意識を集中し、魔物の体内を探る。前の魔物は核が体内を移動していた。では、目の前にいる醜悪な魔物はどのようにして核を守っているのか。
グウェンティアは魔物が持つ魔力に反発するように侵入した。
あれだけの大きさだ。核は体内の奥深いところにあるのはあらかじめ想像できた。
だが、脳裏に浮かんだ映像は彼女に絶望を植え付けた。弾かれたように目を見開く。それを見ていたグロウは怪訝な表情をした。
「どうかしたのか」
グロウはぶっきらぼうに問い掛けた。グウェンティアは唇を噛みしめている。彼女が読み取った魔物の体内情報は有り得ないものだったのだ。
「こんな無茶苦茶な事ってある訳」
グウェンティアは小さく呟いた。
「グウェンティアさん」
アシャンティは首を傾げる。
「あれを倒すのは無理よ。魔物があれだけなら無理してでも倒した方がいいけど、ここでの足止めは致命傷だわ」
グウェンティアは改めて意識を集中した。小さく蠢く核が一つだけある。小さいと言っても、魔物本体はかなりの大きさだ。核もそれなりに大きいことは想像できる。
「何が判った」
グロウは問う。グウェンティアは意識を集中させた状態でグロウの言葉を聞いていた。
「あの魔物。無数の核を持っているわ。全部を破壊するのは無理よ」
グウェンティアの言葉にアシャンティは息を飲む。グロウは眉間に皺を寄せた。
「幸い、機能しているのは一つだけよ。ここからは憶測にすぎないけど、多分、一つの核が破壊されたら、他の一つが機能する。それの繰り返しね」
グウェンティアは考えた。判った事は無数の核は無数に存在する目と結び付いている。核そのものが移動してはいない。よく見れば、一つだけ目の色が違う。青の目の中に、一つだけ赤い目が存在していた。
「兎に角、あの魔物の動きを止めるしかないわ。そうしないと、次々と現れる魔物を相手し続けなきゃいけない」
グウェンティアは忌々しそうに吐き捨てた。
「どうするつもりだ」
「アシャンに核を破壊してもらうしかないわ」
アシャンティは弾かれたようにグウェンティアを見た。
「無理ですっ」
反射的に答えていた。アシャンティはまず、核の位置が判らなかった。ましてや、目の前の魔物は普通の相手ではない。
「核の位置が判りませんっ」
焦りはそのまま言葉に現れていた。
「貴女には核の位置を判るようになってもらわないと困るわ。援護には必要な能力よ」
グウェンティアはばっさりと切り捨てるように言った。アシャンティは口を噤む。
「よく見て。目で見るのではなくて、貴女の魔力の目で見るの」
グウェンティアは言った。
「判る筈よ。彼奴は魔力の塊よ。その中に更に強い魔力がある筈」
アシャンティは気持ちを落ち着けようと息を吐き出した。グウェンティアの言葉に従い、魔物を探り始める。最初は判らなかった。だが、少しずつ判るようになってくる。
魔力は目に集中していることが判った。その中に一際、強い魔力を放っている目がある。更に奥深くに蠢くものを感じ取った。かなり深い位置にある。
「見えました」
アシャンティは小さく呟いた。
「でも、体を結界が覆っています。一矢で貫くのは無理ですっ」
最後の方は悲鳴に近かった。アシャンティは無数に矢を射る事が無理であることを知っていた。
そんなことをすれば、魔物が何かしらしてくることが判っていたからだ。
「するの。好機は一度だけ。次はないわ。生き残りたいなら考えて」
グウェンティアは細剣を鞘から抜いた。
「私達は魔物の目を引き付けておく。核を破壊したら走るわ」
グウェンティアは言い捨てると、大地を蹴った。体勢を低くし魔物の群に飛び込んでいく。
アシャンティは心を落ち着けるために、息を吐き出した。どうすれば、結界の破壊と核の破壊を同時に行えるのか考えてみた。使える矢は一本だけだ。好機は一度しかない。
グウェンティアは勢いを殺すことなく、数匹の魔物を切り捨て二人の元に辿り着いた。直ぐに、背中を合わせ背後を魔物に取られないようにする。
「聞いて」
グウェンティアは二人に聞こえる声音で語り掛けた。二人は荒い息を吐き出し、グウェンティアの声に耳を傾ける。
「あの、魔物を倒すのは無理よ。今から、アシャンが核を破壊するわ。破壊した後走るわよ」
二人は目を見開く。
「説明は後よ」
グウェンティアは襲いくる魔物を切り捨てながら続ける。
「何時でも走り出せる準備をしておいて。好機は一度だけ。それを逃したら、命はないわ」
二人は頷くしかなかった。結界を抜けてから、魔物を相手にしている。そろそろ、限界に近かった。
当たりに漂う悪臭も体力を奪う原因の一つだった。この状況から脱することが出来るなら、何でもやるだろう。
グウェンティアは気配で二人の答えを感じ取りつつ、魔物を倒していく。二人も無言で魔物を倒していく。後はアシャンティが成功することを祈るしかなかった。
アシャンティは考えた。使える矢は一本だ。二本使うことは無理だと判断した。一度に二本射る事は可能だ。
しかし、命中率が下がることははっきりと判っていた。目の前で三人は必死に魔物を倒している。
彼女が相手にすべき魔物は強い魔力を放ち、更に魔物を生みだそうとしている。弓に矢をつがえ、息を整えた。今まで、この方法は使ったことがなかった。また、使う必要性がなかった。しかし今、するしかない状況に追い込まれてしまった。
意識を集中し、矢に魔術文字を刻み込んでいく。確実に核を破壊し、その後、少しでも長く足止めをするために必要な魔術を編んでいく。そして、もう一つ、アシャンティは魔術を発動させるため、更に魔術文字を矢に刻み込む。
「考えがあるのか」
グロウの問いに小さく頷いた。
「今まで試したことのない魔術を使います」
それは賭けだった。うまくいくかは運でしかない。だが、この方法に賭けるしかなかった。
狙いを定め、アシャンティは矢を引き絞る。狙うは一点のみ。指先から魔術文字が溢れ、矢に光の文字が踊る。息を整えると、アシャンティは矢を放った。
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