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我は馬鹿か・・・。
なんで許嫁になってほしいと言ってしまったんだ・・・。
リオンと話をしているうちに気持ちが溢れてしまった。

我としたことが、大事な人を困らせてどうする・・・。

「サタン様。先ほどから百面相しておりますが、どうかされましたか?」

我の右腕、レオンが作業を中断して話しかけてきた。
「いや・・・何でもない。」
我がそう言うと「そうですか・・・。」と一言言って作業を再開させた。

レオンは深く追求してこないから気が楽だ。我がレオンを右腕にしている理由の一つでもある。
そしてレオンはリオンの実の兄であると同時にリオンを溺愛している。いわゆるシスコンである。
家出して王国を離れた今もリオンを陰から見守っていたのは我も知っていた。ちなみに本人はばれてないと思っている。

そしてリオンが魔王国にやってきた現在も、陰で見守っている。
せっかく近くにいるのだから、話しかければいいのに。

我が機会を与えようと何度か提案したが、すべて却下されている。困ったやつだ。

「サタン様。書類が出来上がったので、今日中に確認お願いします。」
レオンはサタンに近づくと、完成した書類を渡した。
サタンは書類を受け取ると「うぬ。」と言って悩んでいたことを忘れて書類に目を通し仕事を始めた。
それを見届けたレオンは席に戻ると、再び仕事を始めたのだった。







リオンはメアリとミーヤが無事だと知らされて安堵していた。
それと同時にサタンから許嫁になってほしいと言われたことは、すっかり忘れてしまっていた。
「2人に会いたいけれど、精神的に不安定だから会えないのよね・・・。早く会いたい・・・。」
リオンはソファーで2人のことを考えていた。

「リオン様。あまり思い詰めないでくださいね?」
シェインから声をかけられて、ハッとした。
「ごめんなさい・・・。2人が向こうでどんな仕打ちをされてきたか、考えただけで落ち込んでしまって・・・。」
精神的に病むくらいだから、大変だったに違いない・・・。
「ですが、無事にこちらに連れて来れたんですから、あとは回復を祈りましょう。」
シェインにそう言われて「そうね・・・。」と言った後に大きなため息をした。

「そろそろお休みしますか?」
シェインに聞かれて「そうね」と言って寝支度をしてベッドに横になった。
明日サタンの所に行って、2人に会えないか交渉してみようかな?なんて思いながら眠りについた。

次の日、意外な人物が訪問してくるとは知らずに・・・。
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