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魔王国で生活して早1週間が経過した。
最初はどこかで殺されるんじゃないかと警戒しながら生活していたが、殺されるどころかこれでもかと云うほど大切にされている。
「リオン様。おやつの時間です。本日はタルトをお持ちしました。どうぞ召し上がってください。」
シェインから言われて、椅子に座るとそこにはチーズタルトやチョコタルトなどいろんなタルトが置いてあった。
私はそこからチョコタルトを手に取り一口食べた。
「おいしい!こんなおいしいタルトが食べれるなんて幸せだわ!」
シェインは「光栄です。ですが喉に詰まらせないように気を付けてくださいね?」と言って紅茶の準備を始めた。
シェインは料理だけじゃなくて、お菓子も手作りしてくれる。ほんとに器用な人だ。


王国にいた頃はこんな手作りなものなんて一切与えられなかった。
それどころかプレゼントすらもらえなかった。
だから、シェインが作ってくれたものは愛情が感じられて、今の生活がとても幸せ。

ところであれからサタンが顔を出すことがない・・・。
私は色々聞きたいことがあるのに・・・。



考え事をしながらシェインが入れてくれた紅茶を飲んでいた時。
「失礼する。リオン少し時間いいか?」
突然のサタンの登場に私は固まって紅茶を落としそうになった。
私は紅茶を置いて、サタンの方を向いた。
「ええ。突然でびっくりしたけど、大丈夫よ。」
リオンがそう言うとサタンは、ほっとした顔をして向かいの椅子に座った。
「突然普通の生活していいと言われて混乱したと思う。申し訳なかった。」
サタンは謝りながら頭を下げた。
「てっきり殺されると思ってたから、実は混乱しました。この1週間過ごしてみて最初は警戒してました。でも殺されるどころかすごく大事にされてるのが伝わって、今は安心して生活してます。」
私は正直に思ったことをサタンに伝えた。サタンが真剣に聞いてくれてるのがわかった。

「実はリオンとは昔に1度あったことがある。その時は姉上らしき者もいてとても幸せそうに笑ってた。でもあの日リオンから笑顔が消えていて、悲しくなった。何があったのか教えてくれぬか?」
サタンと私は昔に会ったことがあるんだ・・・。しかもお姉ちゃんがいたときに・・・。
私は記憶を辿ったが思い出すことが出来なかった。
「ごめんなさい。記憶を辿ってみたけど、思い出せなかったわ。それに向こうで何されてきたかを話すのは、まだ勇気が出ないの。ごめんなさい。もう少し時間がほしい。」

私はサタンに伝えるとサタンは「そうだよな・・・。わかった。リオンが話しても大丈夫って思った時、教えてくれ。」と言ってくれた。
「ありがとう。」とサタンに伝えて私は冷めてしまった紅茶を飲んだ。
「では、失礼した。ずっと部屋にいるより気分転換に部屋から出てみるのもいいと思うぞ。アランとルアなら案内してくれるだろう。頼んでみるといい。」
サタンはそう言うと部屋から出て行った。

私はサタンの後姿を見送って、ふぅ・・・。とため息をついて椅子にうなだれた。
「リオン様、突然サタン様が来て疲れたでしょう。少しお休みになりますか?」
シェインが声をかけてくれて、私はシェインの方を向いて「ええ、お言葉に甘えて少し休むわ。」と言った後、ベッドに横になり、意識を手放した。






「おい、今から王国に言ってリオンがどうして笑わなくなったのか、調べてこい。」
「了解しました。」
リオンの部屋から出たサタンは陰に隠れていた人物に命令して、再び歩き始めた。

ーーーーーーーーーこそこそ裏で調べるのは好きではないが、リオンの話を聞く前に知っておく必要がありそうだ。リオン、すまん。ーーーーーーーーー

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