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第八章 莢迷
崩れ落ちる
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玄枝が席を立ち話しだす。
「事の次第は既に通達した通りです、集まっていただいたのは…九虎の処遇です」
黄理と黄虎は曇った顔で玄枝を見ていた。
同家の者の不祥事でもあり、責任を感じている盛虎が率先して尋ねる。
「処遇とはいかに?」
「何故このようなことをしたのか、本人の話も聞きたいと考えております。犯した罪は拭えませんが、そのためにはまず、九虎に取り憑いている怨霊を取り除かなければなりません。神族が邪の道に手を染めれば……二度と天界へは昇れません」
「なっ…何と…」
神族の勢力争いが多かった時代、使命を全うせず同族同士で殺し合い、怒った神がその者達を天界から落としたのだ。人間ならまだしも、生き物であれば家畜となりこき使われる。それでも徳を積みながら転生を繰り返し、神の許しを得れば、再び天界へと本来は戻れるのだ。それは古書にも記され、どの神家でも知っている。
だが〝二度と戻れない〟とは神から完全に見放される事、たとえ徳を積んだとしても、神族として転生することは二度とない。最悪の場合、霊体のまま一生地獄で苦痛を味わうことになるのだ。同家からそのような者が出れば、民の信頼を失い信仰心を得られず、いずれは神族としての力まで失うことになる。そうなってしまえば、その領域に住む民を守ることができず、民は自ずと他の神家の領域へと移り住むだろう。荒れ果てた土地に誰が好んで来るものか、それは、一族の消滅を意味したも同然。更に五神家が一つでも欠ければ、残りの神家にも影響が及ぶ。驚愕の事実に、玄武家以外の神家は言葉を失い、特に盛虎はより一層険しい顔をした。
「ですから処罰はそれで十分かと… せめて、怨霊だけでも切り離してあげたいのですが…」
言葉を詰まらせた玄枝に盛虎が尋ねる。
「お前の霊力でも難しいのか?」
「恐らくですが、黄一、黄星、義父上は病死ではなく、呪いかもしれません。元は黄怜も、私の創った御守りを着ける五つまでは、度々体調を崩していました」
朱翔は黄虎に視線を向けると、黄虎は苦痛に顔を歪め瞼を閉じていた。黄虎の希望が一つずつ打ち砕かれていることに、耳に残る黄虎の叫び声が、朱翔には聞こえた気がした。
「三人も殺せば、怨霊は直接取り憑き呪い殺せるようになります。現に黄一は生まれて一つから体調を崩し始め、死ぬまでに数十年かかってますが、黄星は黄一の死後から十二年、義父上は黄星の死後から三年程で亡くなりました」
晟朱が不思議そうに尋ねる。
「それならば何故、怨霊は妖魔を使って黄怜を狙うのじゃ? 直接取り憑きに来た方が早いのではないのか?」
玄枝と玄華は伏し目がちにすっと瞳を動かす。二人のその様子に、黄怜は皆に伝えてない事があると察した。黄怜は目覚めた時に、玄華から全て聞いている。何か考えがあるのだと、様子を見ることにした。
「何か理由があるのかもしれませんが、それも九虎に聞いてみないと…」
玄枝は眉間に皺を寄せ顔を横に振る。
「怨霊が取り憑いている九虎の状態も気になりますが、それだけ力を付けてしまった怨霊ならば、私だけでは取り除けません」
「ならばっ神力の高い者がっ、除霊に加わった方が良いのではないのかっ?」
盛虎の居ても立っても居られない様子に、玄枝は気持ちを汲み取り、言葉を選びながら説明する。
「除霊の際の拘束は、神力ではなく霊力で行うのです。神力でも拘束はできますが、神力では九虎を傷つけてしまいます。場合によっては、除霊前に九虎が持つか…」
話を聴きながら、黄理と黄虎は手に汗を握る。二人は既に、九虎が自殿に篭りきっていると知っている。侍女達に話を聞いても、皆口を噤み誰も言おうとしない。それだけでも、九虎の状態が良くないのだと感じていた。
玄枝の配慮に盛虎は納得し、腕を組んで尋ねる。
「そうか…では我々は何をすれば良いのだ?」
玄枝は頷きながら言う。
「私と玄華、私達の侍女二人と黄怜、それと玄武家の四人は九龍殿に行き、そこで九虎を拘束してから黄怜の勾玉を外します」
その内容に、蒼万と柊虎が険しい顔で黄怜を見る。黄怜は動揺することなく微笑んで「大丈夫」二人に頷く。黄怜は観玄と清玄にすっと流し目を向けると、玄武家の者達にしか分からないであろう、針の視線の輪が繋がっていた。
東宮での一件を知っている蒼明が言う。
「血の味を覚えている妖魔も一掃するのじゃな?」
玄枝は頷き説明する。
「えぇ、どの道除霊を始めれば、怨霊は抵抗し妖魔を操り災厄を起こします。どれぐらい妖魔が残っているかは分かりませんが、既に黄怜の匂いを辿り、周辺での出没報告は上がっています。多ければ中央宮周辺、全領域で災厄が起きるでしょう。ならば先に誘き寄せ、災厄から民を守りたいのです。黄怜が勾玉を外せば、大きな災厄を起こす前に宮に登って来ます。例え通り道で災害が起きたとしても、民は巻き込まれないかと…」
「では我々はっ、下で宮に侵入する妖魔を退治すればよいのだなっ」
盛虎は、今にも戦いに飛び出して行きそうな勢いだ。九虎だけの処遇に留まらず、一族の命運がかかっているのだから無理もない。申し訳ないと縮こまるのではなく、率先して責任を果たそうとするのが、実に盛虎らしい。
玄枝は頷いた後言う。
「私達もここまで力を付けた怨霊は初めてです。除霊にどれ程刻を要するか分かりません。皆さんも、その事を前提に動いて下さい」
玄枝のその言葉は、これから起こる事は未知であると伝えている。襲ってくる妖魔を退治するなど、殆どの者達が経験がない。しかも、長期戦に除霊も重なるとなれば、途中何が起こるのか予測不可能だ。築き上げてきた均衡が崩れそうなのを目前に、今までがいかに平和だったのか、全員が額に汗を滲ませた。
「晟朱、雀都を貸していただけませんか?」
「雀都を?」
「えぇ、睦黄程の怨霊を浄化できるのは、恐らく雀都でないと…」
晟朱は頷いて雀都を出そうとする。
「むっ…?」
「父上いかがされましたか?」
「さっ雀都がおらんっ」
晟朱はすかさず黄怜を見るが、側に雀都はいない。黄怜は晟朱に見られ微笑んで首を傾げる。
朱能は席を立ち辺りを見渡す。
「父上いないとは?」
「わしにもわからぬ… 玄枝、すまぬが朱能の雀でもよいか?」
玄枝は少し間を置いて考え込む。
「…わかりました。ありがとうございます」
朱能は頷き雀を出した。
雀は朱能の指示で、玄枝の側にツタツタと歩み寄る。
「では皆さん、頼みます」
全員が頷いて席を立ち上がる。
黄怜は先頭を歩き、玄枝達の意図を悟られないよう、微笑みながら扉を開ける。
ガコン、ギー
「あっ…」
目の前には老婆が立っていた。
黄怜は尋ねる。
「あなたは誰ですか?」
「……」
老婆は怯えた目で小刻みに肩を震わせた。
「母上っ!」
黄理の声に全員がまさかと目を疑う。この老婆が九虎だというのか、顔中しわだらけで目も窪み、わずかだが鼻を突く異臭まで漂う。
「わ…私…玄枝に…会いに…」
その声は弱々しく掠れ、誰もが知っている九虎とは到底思えない。あまりにも酷く変わり果てた姿に、哀れみの目が九虎へと向けられた。その刺すような視線に、九虎が黒の羽織を頭から被せ顔を隠す。
「九虎様、大丈夫ですよ」
黄怜は九虎をそっと包み込み、背中に両手を添える。羽織の上からでも分かるほど、背骨がごつごつと指に触れた。女子としてこのような姿を人前に晒すなど、生地獄と同じようなものだ。黄怜はあの日、傷だらけの体を蒼万に見られたくなかった。同じ女子だからこそ、九虎の見られたくない気持ちは良く分かる。せめて少しでも苦痛が和らぐよう、九虎の背中を優しく摩った。
「ゔぐッ」
刹那、鈍い痛みが全身を走る。息が吸えず、鼻腔から流れ込む空気に胃が逆流する。
「ゴフッ」
口から血を噴き出し、恐る恐るうつむく。
「ご…ごれ…は…」
九虎が頬に付いた黄怜の血を、舌を伸ばしペロッと舐めて微笑む。
「キレン…ヤットアエタァ…」
やられた…
黄怜は「ガツッ」膝を突き、まるであの日のように「ドサッ」と床に倒れた。
カランカラン…
衝撃で玄華から貰った髪飾りが落ち、黄怜の束ねた髪が解ける。
(わ…私の… 母上……)
「きれ──ん!」
柊虎の声が聞こえ、慌ただしく人影が行き交う中、金色に光る瞳を最後に、黄怜の視界は暗闇と化した。
「ゔああああああああああぁぁぁぁ───っ‼︎」
─ 第八章 終 ─
「事の次第は既に通達した通りです、集まっていただいたのは…九虎の処遇です」
黄理と黄虎は曇った顔で玄枝を見ていた。
同家の者の不祥事でもあり、責任を感じている盛虎が率先して尋ねる。
「処遇とはいかに?」
「何故このようなことをしたのか、本人の話も聞きたいと考えております。犯した罪は拭えませんが、そのためにはまず、九虎に取り憑いている怨霊を取り除かなければなりません。神族が邪の道に手を染めれば……二度と天界へは昇れません」
「なっ…何と…」
神族の勢力争いが多かった時代、使命を全うせず同族同士で殺し合い、怒った神がその者達を天界から落としたのだ。人間ならまだしも、生き物であれば家畜となりこき使われる。それでも徳を積みながら転生を繰り返し、神の許しを得れば、再び天界へと本来は戻れるのだ。それは古書にも記され、どの神家でも知っている。
だが〝二度と戻れない〟とは神から完全に見放される事、たとえ徳を積んだとしても、神族として転生することは二度とない。最悪の場合、霊体のまま一生地獄で苦痛を味わうことになるのだ。同家からそのような者が出れば、民の信頼を失い信仰心を得られず、いずれは神族としての力まで失うことになる。そうなってしまえば、その領域に住む民を守ることができず、民は自ずと他の神家の領域へと移り住むだろう。荒れ果てた土地に誰が好んで来るものか、それは、一族の消滅を意味したも同然。更に五神家が一つでも欠ければ、残りの神家にも影響が及ぶ。驚愕の事実に、玄武家以外の神家は言葉を失い、特に盛虎はより一層険しい顔をした。
「ですから処罰はそれで十分かと… せめて、怨霊だけでも切り離してあげたいのですが…」
言葉を詰まらせた玄枝に盛虎が尋ねる。
「お前の霊力でも難しいのか?」
「恐らくですが、黄一、黄星、義父上は病死ではなく、呪いかもしれません。元は黄怜も、私の創った御守りを着ける五つまでは、度々体調を崩していました」
朱翔は黄虎に視線を向けると、黄虎は苦痛に顔を歪め瞼を閉じていた。黄虎の希望が一つずつ打ち砕かれていることに、耳に残る黄虎の叫び声が、朱翔には聞こえた気がした。
「三人も殺せば、怨霊は直接取り憑き呪い殺せるようになります。現に黄一は生まれて一つから体調を崩し始め、死ぬまでに数十年かかってますが、黄星は黄一の死後から十二年、義父上は黄星の死後から三年程で亡くなりました」
晟朱が不思議そうに尋ねる。
「それならば何故、怨霊は妖魔を使って黄怜を狙うのじゃ? 直接取り憑きに来た方が早いのではないのか?」
玄枝と玄華は伏し目がちにすっと瞳を動かす。二人のその様子に、黄怜は皆に伝えてない事があると察した。黄怜は目覚めた時に、玄華から全て聞いている。何か考えがあるのだと、様子を見ることにした。
「何か理由があるのかもしれませんが、それも九虎に聞いてみないと…」
玄枝は眉間に皺を寄せ顔を横に振る。
「怨霊が取り憑いている九虎の状態も気になりますが、それだけ力を付けてしまった怨霊ならば、私だけでは取り除けません」
「ならばっ神力の高い者がっ、除霊に加わった方が良いのではないのかっ?」
盛虎の居ても立っても居られない様子に、玄枝は気持ちを汲み取り、言葉を選びながら説明する。
「除霊の際の拘束は、神力ではなく霊力で行うのです。神力でも拘束はできますが、神力では九虎を傷つけてしまいます。場合によっては、除霊前に九虎が持つか…」
話を聴きながら、黄理と黄虎は手に汗を握る。二人は既に、九虎が自殿に篭りきっていると知っている。侍女達に話を聞いても、皆口を噤み誰も言おうとしない。それだけでも、九虎の状態が良くないのだと感じていた。
玄枝の配慮に盛虎は納得し、腕を組んで尋ねる。
「そうか…では我々は何をすれば良いのだ?」
玄枝は頷きながら言う。
「私と玄華、私達の侍女二人と黄怜、それと玄武家の四人は九龍殿に行き、そこで九虎を拘束してから黄怜の勾玉を外します」
その内容に、蒼万と柊虎が険しい顔で黄怜を見る。黄怜は動揺することなく微笑んで「大丈夫」二人に頷く。黄怜は観玄と清玄にすっと流し目を向けると、玄武家の者達にしか分からないであろう、針の視線の輪が繋がっていた。
東宮での一件を知っている蒼明が言う。
「血の味を覚えている妖魔も一掃するのじゃな?」
玄枝は頷き説明する。
「えぇ、どの道除霊を始めれば、怨霊は抵抗し妖魔を操り災厄を起こします。どれぐらい妖魔が残っているかは分かりませんが、既に黄怜の匂いを辿り、周辺での出没報告は上がっています。多ければ中央宮周辺、全領域で災厄が起きるでしょう。ならば先に誘き寄せ、災厄から民を守りたいのです。黄怜が勾玉を外せば、大きな災厄を起こす前に宮に登って来ます。例え通り道で災害が起きたとしても、民は巻き込まれないかと…」
「では我々はっ、下で宮に侵入する妖魔を退治すればよいのだなっ」
盛虎は、今にも戦いに飛び出して行きそうな勢いだ。九虎だけの処遇に留まらず、一族の命運がかかっているのだから無理もない。申し訳ないと縮こまるのではなく、率先して責任を果たそうとするのが、実に盛虎らしい。
玄枝は頷いた後言う。
「私達もここまで力を付けた怨霊は初めてです。除霊にどれ程刻を要するか分かりません。皆さんも、その事を前提に動いて下さい」
玄枝のその言葉は、これから起こる事は未知であると伝えている。襲ってくる妖魔を退治するなど、殆どの者達が経験がない。しかも、長期戦に除霊も重なるとなれば、途中何が起こるのか予測不可能だ。築き上げてきた均衡が崩れそうなのを目前に、今までがいかに平和だったのか、全員が額に汗を滲ませた。
「晟朱、雀都を貸していただけませんか?」
「雀都を?」
「えぇ、睦黄程の怨霊を浄化できるのは、恐らく雀都でないと…」
晟朱は頷いて雀都を出そうとする。
「むっ…?」
「父上いかがされましたか?」
「さっ雀都がおらんっ」
晟朱はすかさず黄怜を見るが、側に雀都はいない。黄怜は晟朱に見られ微笑んで首を傾げる。
朱能は席を立ち辺りを見渡す。
「父上いないとは?」
「わしにもわからぬ… 玄枝、すまぬが朱能の雀でもよいか?」
玄枝は少し間を置いて考え込む。
「…わかりました。ありがとうございます」
朱能は頷き雀を出した。
雀は朱能の指示で、玄枝の側にツタツタと歩み寄る。
「では皆さん、頼みます」
全員が頷いて席を立ち上がる。
黄怜は先頭を歩き、玄枝達の意図を悟られないよう、微笑みながら扉を開ける。
ガコン、ギー
「あっ…」
目の前には老婆が立っていた。
黄怜は尋ねる。
「あなたは誰ですか?」
「……」
老婆は怯えた目で小刻みに肩を震わせた。
「母上っ!」
黄理の声に全員がまさかと目を疑う。この老婆が九虎だというのか、顔中しわだらけで目も窪み、わずかだが鼻を突く異臭まで漂う。
「わ…私…玄枝に…会いに…」
その声は弱々しく掠れ、誰もが知っている九虎とは到底思えない。あまりにも酷く変わり果てた姿に、哀れみの目が九虎へと向けられた。その刺すような視線に、九虎が黒の羽織を頭から被せ顔を隠す。
「九虎様、大丈夫ですよ」
黄怜は九虎をそっと包み込み、背中に両手を添える。羽織の上からでも分かるほど、背骨がごつごつと指に触れた。女子としてこのような姿を人前に晒すなど、生地獄と同じようなものだ。黄怜はあの日、傷だらけの体を蒼万に見られたくなかった。同じ女子だからこそ、九虎の見られたくない気持ちは良く分かる。せめて少しでも苦痛が和らぐよう、九虎の背中を優しく摩った。
「ゔぐッ」
刹那、鈍い痛みが全身を走る。息が吸えず、鼻腔から流れ込む空気に胃が逆流する。
「ゴフッ」
口から血を噴き出し、恐る恐るうつむく。
「ご…ごれ…は…」
九虎が頬に付いた黄怜の血を、舌を伸ばしペロッと舐めて微笑む。
「キレン…ヤットアエタァ…」
やられた…
黄怜は「ガツッ」膝を突き、まるであの日のように「ドサッ」と床に倒れた。
カランカラン…
衝撃で玄華から貰った髪飾りが落ち、黄怜の束ねた髪が解ける。
(わ…私の… 母上……)
「きれ──ん!」
柊虎の声が聞こえ、慌ただしく人影が行き交う中、金色に光る瞳を最後に、黄怜の視界は暗闇と化した。
「ゔああああああああああぁぁぁぁ───っ‼︎」
─ 第八章 終 ─
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