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第四章 七変化
恋の眼差し
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村の出入口では、準備を終えた柊虎が既に二人を待っていた。待ちくたびれていたのか、うろつきながらつま先で小石を蹴ったりしている。
歩く蒼万を残して志瑞也は走り駆け寄る。
「はぁはぁ、遅くなってすみませんっ、蒼万は直ぐ呼びに来たのに、俺が着替えるのが遅くて」
「ハハハ構わぬ」
柊虎はふと、志瑞也の衿元が激しく乱れているのに気付く。「ふっ」と鼻で笑い、恐らく蒼万に急かされ慌てて着替えたのだろう、正してあげようと手を伸ばす。
「あっすいませんっ、俺着慣れてなくて、自分でできます」
柊虎は面白い性格だと思い、もしや蒼万が手を焼いてるのではと想像する。
「構わぬ、着慣れていないのなら、自分で正しても同じでは?ハハハ」
「アハハそうですね… ありがとうございます」
微笑んで衿元を正す柊虎の手が、ぴたっと止まり真顔になる。
「柊虎さん?」
志瑞也はどうしたのかと、衿元に手をあてる。
…まずい。
一歩後ろに引き柊虎を見た。
日頃はきちんと中に隠してある紐が、一部衿元から出ていたのだ。
「そっ、それは…」
柊虎は手を震わせながら、志瑞也の衿元に手を伸ばす。
「触るな」
パシッ
追い付いた蒼万が柊虎の手を掴み睨みつける。
「蒼万どけ! それは黄怜の物だっ、なぜその者が着けている?」
先程までの温厚な雰囲気とは一変、蒼万を怒鳴り睨み返した。
志瑞也は蒼万の背後で急ぎ紐を衿元に隠す。
「柊虎落ち着け」
「落ち着けだと? これが落ち着いていられるかっ!」
柊虎は掴まれた手を振り払った。
「ならば葵はどうなる?」
「何? 葵は今は関係無いだろ!」
「関係無いだと? ならば志瑞也もお前には関係無い」
「蒼万!」
蒼万のこの話し方は、相手を逆撫ですることを志瑞也はよく知っている。出立前の蒼明の言葉は、葵のことで不満を持っている蒼万に、揉めないよう釘を刺したに違いない。
「お前が黄怜に執着している限り、葵も関係はある」
「蒼万っ私を怒らせるなっ、お前の神力では私に勝てぬぞ‼︎」
既に柊虎は怒りを露わにし、蒼万の胸ぐらを両手で掴みだした。
「ガルルゥガオッ!」
(うおっ神獣まで出てきたぞ、ったく… 神族の男って直ぐ神獣を出すのか? 俺だって何も考えていないわけじゃないさ! へへへ、確か名前は…)
志瑞也は荷物入れに手を突っ込みがさごそと探る。
武器の出番!
「しっ…志寅ぁ、これ食べるか?」
蒼万の後ろから、恐る恐るキャラメルを持って出て行く。志寅は鼻をヒクヒクさせ、唸りながらゆっくりと近付き、キャラメルの匂いを嗅ぐ。涎がポタポタと垂れるのを見て、志瑞也は志寅の口にキャラメルを入れた。
「ガルルゥンンン」
志寅は尻尾を振り、食べ終わっても口の周りをペロペロ舐める。
「いい子だな志寅、もう一つ食べるか?」
「ガルルゥガルルゥ」
志瑞也はもう一つ志寅にあげ、首周りに手を伸ばし指先をそっと獣毛に滑らせた。
最高!
「すっげぇもふもふだあ! お前めちゃめちゃいい毛並みしてるんだなあ」
志寅は志瑞也に体をすり寄せ、喉を「グルグル」鳴らしだす。
「おっお前何をあげたのだ? 毒っ」
「ではない、案ずるな。ふっ、所詮神獣はこんなものだ」
「なっ…?」
胸ぐらを掴む柊虎の手を振り払い、蒼万は先に歩き出す。
「虎は猫の仲間だもんな、お前可愛いなあ」
「なっ、猫だと? 神獣をそのような下級扱いするとは、しかも可愛いだと? 離れろ志寅っ」
志寅は既に志瑞也に手懐けられ、仰向けになり腹をなでられていた。
「くっ…この者は一体何だっ、蒼万!」
先程までの怒りなど何処へやら、後ろで喚き散らす柊虎と、志寅を手懐けた志瑞也を想像して蒼万は呟く。
「ふっ、あれには神獣でも勝てぬ」
密かに微笑みながら蒼万は歩いた。
南宮に向かいながら柊虎に事を話さない訳にはいかず、説明しながら傷痕を見せると、柊虎は目を見開いて拳を振るわせた。黄怜が死んだ時のことを尋ねられたが、教えてもらったことしか言えなかった。柊虎を信用しているのか、意外にも蒼万が話を止めることはなかった。蒼万に何の意図があるのだろうか、考えなしに行動する性格ではないが、柊虎に対しての思考は全く読めない。
「君は…」
「志瑞也で大丈夫です」
「…志瑞也、私には普通に話してくれて構わない、先程は取り乱して…すまなかった」
「いいえ」
やはり柊虎は誠実な人だ。
「霊魂の転生か…」
もし柊虎が黄怜を女子と知っていたなら、性別の違いに葵同様の反応を見せると思ったが、柊虎は何も聞いてこない。気付いていて敢えて聞いてこないのか、志瑞也は様子を見ることにした。
「これからどうするのだ?」
「まっ、まだ分からないんだ…」
「そうか、話してくれてありがとう」
険しい顔をしていた柊虎の表情が少し和らぐ。
柊虎は黄怜を男子として想っていたのか、どちらにせよ、今も黄怜のことを想っているのは間違いないだろう。葵のことが頭をよぎり、黄怜が女子だったとは言えなかった。
「あっ、そうだ! これ、葵ちゃんから預かっていたんだ」
志瑞也は荷物入れを探り、葵から預かった小物袋を柊虎に渡す。
柊虎はそれを手の平で見つめる。
「…私に受け取る資格はない」
そう言って、小物袋を突き返した。
「まっ待てよっ、そういうのは自分で返さなきゃ駄目だよ!」
慌てて柊虎の手を掴み、胸に突き返した。
「俺から渡しといて自分で返せっていうのもおかしいと思うけど、婚約しているんだから、一度お互いちゃんと話合った方がいいと俺は思うよ」
小物袋ごと手をぎゅっと握られ、柊虎が真っ直ぐ見つめてきた。手を引き戻そうとするが抜けない、透き通った銅色の瞳がわずかに揺れる。この眼差しは、あの時の葵と同じ瞳だ。
「柊虎…俺は黄怜じゃない、少なくとも今は…」
握られた手が緩み、志瑞也はゆっくりと小物袋から手を離す。
「…すまない、一度葵と話してみるよ」
人は恋をすると同じ目をするのか、美しくも儚い瞳。自分も今は同じ瞳をしているのだろうか、仮に黄怜と柊虎が想い合っていたとしたら…。
(黄怜、君は誰が好きだったんだ? 恋はしていたのか?)
胸に手を当て心で呼びかけるも、鼓動に変化は感じられない。今の志瑞也ではどうにもならない、全ては黄怜しか分からない事。
「蒼万と今日の報告の件で話があるから、志寅と一緒に後ろをついてきてくれ」
「わかった」
柊虎は前を歩く蒼万に駆け寄る。
蒼万が横目で言う。
「志瑞也は?」
「志寅と一緒に後にいるから案ずるな」
「わかった」
「聞こえていたのだろ?」
蒼万は頷く。
「話はあれで全部か?」
「…一つ抜けている」
「そっ…」
南宮の入口の灯りが見え、柊虎は蒼万に問うのをやめた。
歩く蒼万を残して志瑞也は走り駆け寄る。
「はぁはぁ、遅くなってすみませんっ、蒼万は直ぐ呼びに来たのに、俺が着替えるのが遅くて」
「ハハハ構わぬ」
柊虎はふと、志瑞也の衿元が激しく乱れているのに気付く。「ふっ」と鼻で笑い、恐らく蒼万に急かされ慌てて着替えたのだろう、正してあげようと手を伸ばす。
「あっすいませんっ、俺着慣れてなくて、自分でできます」
柊虎は面白い性格だと思い、もしや蒼万が手を焼いてるのではと想像する。
「構わぬ、着慣れていないのなら、自分で正しても同じでは?ハハハ」
「アハハそうですね… ありがとうございます」
微笑んで衿元を正す柊虎の手が、ぴたっと止まり真顔になる。
「柊虎さん?」
志瑞也はどうしたのかと、衿元に手をあてる。
…まずい。
一歩後ろに引き柊虎を見た。
日頃はきちんと中に隠してある紐が、一部衿元から出ていたのだ。
「そっ、それは…」
柊虎は手を震わせながら、志瑞也の衿元に手を伸ばす。
「触るな」
パシッ
追い付いた蒼万が柊虎の手を掴み睨みつける。
「蒼万どけ! それは黄怜の物だっ、なぜその者が着けている?」
先程までの温厚な雰囲気とは一変、蒼万を怒鳴り睨み返した。
志瑞也は蒼万の背後で急ぎ紐を衿元に隠す。
「柊虎落ち着け」
「落ち着けだと? これが落ち着いていられるかっ!」
柊虎は掴まれた手を振り払った。
「ならば葵はどうなる?」
「何? 葵は今は関係無いだろ!」
「関係無いだと? ならば志瑞也もお前には関係無い」
「蒼万!」
蒼万のこの話し方は、相手を逆撫ですることを志瑞也はよく知っている。出立前の蒼明の言葉は、葵のことで不満を持っている蒼万に、揉めないよう釘を刺したに違いない。
「お前が黄怜に執着している限り、葵も関係はある」
「蒼万っ私を怒らせるなっ、お前の神力では私に勝てぬぞ‼︎」
既に柊虎は怒りを露わにし、蒼万の胸ぐらを両手で掴みだした。
「ガルルゥガオッ!」
(うおっ神獣まで出てきたぞ、ったく… 神族の男って直ぐ神獣を出すのか? 俺だって何も考えていないわけじゃないさ! へへへ、確か名前は…)
志瑞也は荷物入れに手を突っ込みがさごそと探る。
武器の出番!
「しっ…志寅ぁ、これ食べるか?」
蒼万の後ろから、恐る恐るキャラメルを持って出て行く。志寅は鼻をヒクヒクさせ、唸りながらゆっくりと近付き、キャラメルの匂いを嗅ぐ。涎がポタポタと垂れるのを見て、志瑞也は志寅の口にキャラメルを入れた。
「ガルルゥンンン」
志寅は尻尾を振り、食べ終わっても口の周りをペロペロ舐める。
「いい子だな志寅、もう一つ食べるか?」
「ガルルゥガルルゥ」
志瑞也はもう一つ志寅にあげ、首周りに手を伸ばし指先をそっと獣毛に滑らせた。
最高!
「すっげぇもふもふだあ! お前めちゃめちゃいい毛並みしてるんだなあ」
志寅は志瑞也に体をすり寄せ、喉を「グルグル」鳴らしだす。
「おっお前何をあげたのだ? 毒っ」
「ではない、案ずるな。ふっ、所詮神獣はこんなものだ」
「なっ…?」
胸ぐらを掴む柊虎の手を振り払い、蒼万は先に歩き出す。
「虎は猫の仲間だもんな、お前可愛いなあ」
「なっ、猫だと? 神獣をそのような下級扱いするとは、しかも可愛いだと? 離れろ志寅っ」
志寅は既に志瑞也に手懐けられ、仰向けになり腹をなでられていた。
「くっ…この者は一体何だっ、蒼万!」
先程までの怒りなど何処へやら、後ろで喚き散らす柊虎と、志寅を手懐けた志瑞也を想像して蒼万は呟く。
「ふっ、あれには神獣でも勝てぬ」
密かに微笑みながら蒼万は歩いた。
南宮に向かいながら柊虎に事を話さない訳にはいかず、説明しながら傷痕を見せると、柊虎は目を見開いて拳を振るわせた。黄怜が死んだ時のことを尋ねられたが、教えてもらったことしか言えなかった。柊虎を信用しているのか、意外にも蒼万が話を止めることはなかった。蒼万に何の意図があるのだろうか、考えなしに行動する性格ではないが、柊虎に対しての思考は全く読めない。
「君は…」
「志瑞也で大丈夫です」
「…志瑞也、私には普通に話してくれて構わない、先程は取り乱して…すまなかった」
「いいえ」
やはり柊虎は誠実な人だ。
「霊魂の転生か…」
もし柊虎が黄怜を女子と知っていたなら、性別の違いに葵同様の反応を見せると思ったが、柊虎は何も聞いてこない。気付いていて敢えて聞いてこないのか、志瑞也は様子を見ることにした。
「これからどうするのだ?」
「まっ、まだ分からないんだ…」
「そうか、話してくれてありがとう」
険しい顔をしていた柊虎の表情が少し和らぐ。
柊虎は黄怜を男子として想っていたのか、どちらにせよ、今も黄怜のことを想っているのは間違いないだろう。葵のことが頭をよぎり、黄怜が女子だったとは言えなかった。
「あっ、そうだ! これ、葵ちゃんから預かっていたんだ」
志瑞也は荷物入れを探り、葵から預かった小物袋を柊虎に渡す。
柊虎はそれを手の平で見つめる。
「…私に受け取る資格はない」
そう言って、小物袋を突き返した。
「まっ待てよっ、そういうのは自分で返さなきゃ駄目だよ!」
慌てて柊虎の手を掴み、胸に突き返した。
「俺から渡しといて自分で返せっていうのもおかしいと思うけど、婚約しているんだから、一度お互いちゃんと話合った方がいいと俺は思うよ」
小物袋ごと手をぎゅっと握られ、柊虎が真っ直ぐ見つめてきた。手を引き戻そうとするが抜けない、透き通った銅色の瞳がわずかに揺れる。この眼差しは、あの時の葵と同じ瞳だ。
「柊虎…俺は黄怜じゃない、少なくとも今は…」
握られた手が緩み、志瑞也はゆっくりと小物袋から手を離す。
「…すまない、一度葵と話してみるよ」
人は恋をすると同じ目をするのか、美しくも儚い瞳。自分も今は同じ瞳をしているのだろうか、仮に黄怜と柊虎が想い合っていたとしたら…。
(黄怜、君は誰が好きだったんだ? 恋はしていたのか?)
胸に手を当て心で呼びかけるも、鼓動に変化は感じられない。今の志瑞也ではどうにもならない、全ては黄怜しか分からない事。
「蒼万と今日の報告の件で話があるから、志寅と一緒に後ろをついてきてくれ」
「わかった」
柊虎は前を歩く蒼万に駆け寄る。
蒼万が横目で言う。
「志瑞也は?」
「志寅と一緒に後にいるから案ずるな」
「わかった」
「聞こえていたのだろ?」
蒼万は頷く。
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