SF

文字の大きさ
上 下
23 / 23

23.慈雨

しおりを挟む
車を運転する楓ーー柏木由隆カシワギ ユタカは、都心にあるビルの前に来ていた。夜空を貫くような細い建物だ。
地下駐車場に車を止め、その建物のバーラウンジに向かう。建物の12階にある其処は、対面式のカウンター席と椅子やソファの向こうに夜景が見えた。窓から見える景色は、近くには街の光が密集しているが、郊外に行くほど少なくなり、まるで光のさざ波のようだった。

「待たせたな」

奥まった場所のソファに座る、立花康平に声を掛けた。

「・・・いい度胸だな」

康平のグラスを握る手に力が入る。

「どうするつもりだ」

酒に焼けた声で、康平は唸る。

「お前と話がしたい」
「時間の無駄だ」
「ユタカの話だ」

康平は額に青筋を立てじろりと睨む。由隆はその男をただ冷静に見下ろす。
しばらく2人は対峙していた。由隆は少し息を吸う。

「さっきユタカとキスをしてきた」

康平は勢いよく立ち上がり、由隆の胸ぐらを掴んだ。バー全体に緊張感が走ると同時にバーテンダーの視線が刺さる。

「すまない、父が酔ったようだ」

由隆が、軽く手をあげ声を張る。

「すぐに連れて行く」

バーテンダーは手を貸す事を申し出たが、由隆は断った。康平はわなわなと震えながら呟く。

「貴様、俺に何をされても文句は言えんぞ」
「・・・どうせ何もできやしない」

ナイフのように光る由隆の目と、獰猛な康平の瞳孔がぶつかりあった。

康平は由隆の運転で、ある場所に向かった。
あの洋館だ。
豊高が初めてここに訪れた時のように応接室に通す。康平はまるで自宅であるかのように横柄にソファに腰を下ろした。

「何故わざわざこんなところに来た」
「話を聞かれたくない」

由隆は暖炉に火を入れる。

「ここなら、誰も来ない」

パチパチと木が爆ぜ始めた。

「何があっても」

郊外にあるこの屋敷の周りは、人気が少なく地元の住民も滅多に通らない。例え叫び声が聞こえても、ここらに住む野生動物の声だと思われるだけだ。

「ユタカは何度もここに来ていた」

康平の白髪混じりの眉が吊り上がる。

「泊まっていったこともある」
「お前、豊高に何かしたのか?」

ゆらりと立ち上がり、拳を結ぶ。

「豊高に手を出せば犯罪だぞ」
「お前が俺にした事は犯罪ではないのか」

康平は黙った。由隆の瞳の中で、暖炉の炎が激しく燃えている。部屋の中が、炎の色に染まる。

「答えろ。息子に何をした」
「1年前と、同じような目に合わせてやってもよかった」

康平は口の端を上げ侮蔑するような笑みを浮かべた。

「お前が?豊高を?」
「ああ」

ふ、と息を吐きだすと、康平は腹から嗤った。
彼は、由隆が何者か知っていた。

「お前は、一体何を言っているんだ」

康平は苛立ちと嘲笑が混じった声で吼える。

「女のお前に、一体何ができると言うんだ!」


ーーーーーーーーーーーーーーー

「俺は、元女だ」

由隆は、別れ際にそう耳打ちした。

「GIDのFTMだ。よく調べておけ」

GIDとは、Gender Identity Disorder(ジェンダー・アイデンティティ・ディスオーダー)で、性同一性障害を表す。
FTMはFemale To Male.
女性から男性。
すなわち心は男性で身体は女性であることを意味する。

ーーーーー心療内科医の三村が柏木楓香カシワギ フウカと言う少女に初めて出会ったのは、彼が研修医で彼女が丁度豊高と同じ年頃の時だ。

砂糖菓子のように白く細く可憐な少女の体の中には、少年が閉じ込められていた。
女性らしい体つきになる事や月経が来るのを恐れ、食事を受け付けなくなり、心療内科を受診した。
カウンセリングに通い、高校3年生の時に性同一性障害と診断される。
彼女、否、彼は周りの人間に恵まれていた。
友人や学校は彼の気持ちを尊重してくれ、家族も治療に理解を示し、支えてくれた。好奇の目を向ける人間や攻撃する人間もいたが、守ってくれる人間もいた。
それが皮肉にも、社会に潜む悪意を見抜く目を曇らせる事になる。
彼は男性ホルモン治療を経て、改名と胸の手術を済ませてから就職した。FTMだということもカミングアウトし、男性として働けることに充実感を感じていた。
自分を雇ってくれた立花康平には、感謝をしているくらいだった。
今まで優しい人間に守られてきた由隆は、楽観視していた。努力すれば周りの人間は認めてくれると。
しかし、一部の悪意ある人間にはそれが全く通用しないことを思い知らされることになる。
由隆は、一部の男性社員に自分がどう映っているのか知らなかった。
それは例えば、長年に渡り女性として躾けられ染み付いた仕草に、華奢な体つきに、中性的で整った顔立ちだ。彼らにとって、由隆は男装した美しい女性でしかなかった。
由隆が会社を辞めたのは、男同志だから平気だろうという勘違いも甚だしい、セクシャルハラスメントの嵐から逃れるためだった。


ーーーーーーーーーーーーーーー
だが、由隆はこう感じていた。

「本当はお前、女に興味が無いんじゃないのか」

男性から女性として、獲物として見られる視線は嫌と言う程浴びてきた。しかし立花康平から受ける視線は、それとは異質な物に感じていた。

「馬鹿な。俺には妻も子もいるんだぞ」

康平は一笑に付した。

「同性愛者であることを隠して家庭を持っている奴はごまんといる」
「俺をあんな連中と一緒にするな」

ジロリと由隆を睨みつける。由隆は噛み付くような視線を涼しげな顔で受け流し、続けて質問を放った。

「俺はアイツの代わりだったんだろう?」
「何の事だ」
「ユタカだ」

康平はますます表情を険しくした。

「ユタカにだけ辛く当たるのは何故だ」
「あいつが、出来損ないだからだ」
「・・・同性愛のことか?」
「そうだ、男を誑かすなんぞどうかしている」
「・・・・・・嫉妬か?」

康平の拳が、由隆を目掛けて飛んできた。
頬を打ち抜かれ、由隆の細い体は床に投げ出される。康平は肩で息をしている。由隆は無表情のままむくりと起き上がるが、上体を康平に踏みつけられ床で頭を打った。

「ユタカにはさぞ嫌われているだろうな」

唇の端から血を流しながら言う。ナイフのような光は消えていなかった。

「暴力的な父親を演じる事で、自分からユタカを遠ざけていたんじゃないのか」
「黙れ!」

打撃音と共に由隆の頭が揺れる。

「妻に手を掛けたのは何故だ。それに気付かれたからなんじゃないのか」
「黙れ!」

口内が切れ、血が舞った。

「黙れ、うるさい、お前に、お前なんかに、俺の何が分かる」

暴力の嵐の中、苦痛の表情を浮かべているのは康平の方だった。
やがて由隆の気管に血が入り咳き込む。数秒間の沈黙が生まれる。由隆は目を見開くと、静かな黒い瞳をしていた。

「馬鹿だな・・・それだけユタカを愛していたんだろう?」

康平はハッとした表情を浮かべたかと思えば、拳を震わせ苦しそうな表情を見せた。

「もう、ユタカを解放してやってくれ」
「何故、お前が、」
「あんたと同じだ。俺はユタカを愛している」

康平は目を剥いた。

「ユタカは俺だよ」

自分が何者か分からない苦痛や、性被害を受けた屈辱や、人を愛しても伝えられない悲しみが、由隆には痛いほど分かった。彼は結局、豊高に何も出来なかった。

「もう行く」

由隆は立ち上がり、服の埃を払った。コートを着て、扉に手をかける。

「・・・いつかユタカと家族になれるといいな」

康平は苦しげに呟く。

「妻も、昔同じようなことを言っていた」

追憶を辿り、遠くを見るような目だ。

「夫婦になれなくても、家族にはなれるだろうと」
「・・・そうか」

由隆はそうだ、と踵を返す。そして、康平の顎を乱暴に掴み、口付けた。

「さっきユタカとキスしてきた」

先程の台詞を繰り返す。康平は目を白黒させた。

「これでユタカを許してやってくれ」

じゃあな、と今度こそ由隆は部屋を後にした。
康平は、重い一撃を受けたかのように、その場から動けずにいた。

由隆は廊下を歩いていた。端正な顔は腫れ上がり、唇の端は切れて血は乾いていた。
しかし、どこかすっきりした顔つきだ。
由隆は携帯電話を手にした。携帯電話は、ずっと通話状態になっていた。

「無理を言ってすいません」
『何をやってるんだ君は!!何かあったら来てくれって!もう遅いじゃないか!』

電話の向こうにいたのは、三村だった。

『今着いたとこだよ。早く来て』

外に出ると、三村の乗るハイエースが停まっていた。

「うわっひどい顔だな。病院連れて行くから乗って」

由隆は三村に頭を下げた。そして、こちらを睨みつける豊高と、目が合った。

「来ていたのか」

由隆の顔が青くなる。

「聴いて、いたのか?」

豊高は頷いた。由隆は俯き唇を噛む。豊高には、豊高だけには、父親の歪んだ欲望と自分のしようとした事を知られたくなかった。

「すまない」

豊高は首を振る。張り詰めた空気に三村が助け舟を出す。

「ごめんな、どうしても行くって聞かなくて」
「謝るのは俺の方だ。ごめん、本当に。何も、知らなかった」

豊高の顔は羞恥に赤くなっていた。

「嫌なことから逃げてばっかで、何にも知ろうとしなかった。こんなんじゃ、誰からも相手にされなくて当たり前だよな」

豊高は真っ直ぐ、自分と同じ名前の若者を見上げる。

「俺、もっと楓、じゃなくて・・・ユタカの事知りたい。もっと、色んな話聞かせて欲しい」
「わかった」

由隆は口角を数ミリ吊り上げた。

「また今度な」

そう言って、車から一歩離れた。

「おい、柏木君」
「まだやることがある」

引き留める三村に、ぴしゃりと返した。

「ユタカはまず家族で話すべきだ」

豊高は困ったように顔をしかめたが、力強く頷く。

「俺は嬉しかったよ」

何も知らなくても、男でもなく女でもなく、"楓"として接してくれたことが。

「ユタカは大丈夫だ」

きっと、相手が誰であろうと愛する事ができると確信していた。

「また、いつでも」

由隆は自分と同じ名前の少年を見つめた。
豊高は笑みを浮かべ頷いた。
そして、屋敷の中の明かりの残る部屋に向かって行った。

ーーーーーーーーーー
豊高の父親は、帰ってくるとすっかり毒気を抜かれたように落ち着いていた。
母親と豊高に謝罪し、やがて話し合いの末離婚した。
豊高は母親と一緒に暮らしている。母親は前よりも口うるさくなったが、豊高は今の方が居心地が良かった。
生活が落ち着いた頃、豊高は高校2年生に進級していた。
今日は本当に久しぶりに、由隆に会いに行く。
春の田舎道は柔らかな色の草花に溢れていた。あの屋敷の庭にはどのような花が咲いているのだろうか。
そして、彼はーーー

そこに着いた時、豊高は愕然とした。頭の芯が熱くなる。

「あいつ、やっぱり嘘吐きだ」

悪態をつき歯を噛み締める。
あの屋敷は、跡形もなく取り壊されていた。瓦礫の山だけが残されている。

豊高と同じ名前を持つ青年は、二度とここに現れることは無かった。


第1部 雨             end
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】はじめてできた友だちは、好きな人でした

月音真琴
BL
完結しました。ピュアな高校の同級生同士。友達以上恋人未満な関係。 人付き合いが苦手な仲谷皇祐(なかたにこうすけ)は、誰かといるよりも一人でいる方が楽だった。 高校に入学後もそれは同じだったが、購買部の限定パンを巡ってクラスメートの一人小此木敦貴(おこのぎあつき)に懐かれてしまう。 一人でいたいのに、強引に誘われて敦貴と共に過ごすようになっていく。 はじめての友だちと過ごす日々は楽しいもので、だけどつまらない自分が敦貴を独占していることに申し訳なくて。それでも敦貴は友だちとして一緒にいてくれることを選んでくれた。 次第に皇祐は嬉しい気持ちとは別に違う感情が生まれていき…。 ――僕は、敦貴が好きなんだ。 自分の気持ちに気づいた皇祐が選んだ道とは。 エブリスタ様にも掲載しています(完結済) エブリスタ様にてトレンドランキング BLジャンル・日間90位 ◆「第12回BL小説大賞」に参加しています。 応援していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。 ピュアな二人が大人になってからのお話も連載はじめました。よかったらこちらもどうぞ。 『迷いと絆~友情か恋愛か、親友との揺れる恋物語~』 https://www.alphapolis.co.jp/novel/416124410/923802748

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【BL】記憶のカケラ

樺純
BL
あらすじ とある事故により記憶の一部を失ってしまったキイチ。キイチはその事故以来、海辺である男性の後ろ姿を追いかける夢を毎日見るようになり、その男性の顔が見えそうになるといつもその夢から覚めるため、その相手が誰なのか気になりはじめる。 そんなキイチはいつからか惹かれている幼なじみのタカラの家に転がり込み、居候生活を送っているがタカラと幼なじみという関係を壊すのが怖くて告白出来ずにいた。そんな時、毎日見る夢に出てくるあの後ろ姿を街中で見つける。キイチはその人と会えば何故、あの夢を毎日見るのかその理由が分かるかもしれないとその後ろ姿に夢中になるが、結果としてそのキイチのその行動がタカラの心を締め付け過去の傷痕を抉る事となる。 キイチが忘れてしまった記憶とは? タカラの抱える過去の傷痕とは? 散らばった記憶のカケラが1つになった時…真実が明かされる。 キイチ(男) 中二の時に事故に遭い記憶の一部を失う。幼なじみであり片想いの相手であるタカラの家に居候している。同じ男であることや幼なじみという関係を壊すのが怖く、タカラに告白出来ずにいるがタカラには過保護で尽くしている。 タカラ(男) 過去の出来事が忘れられないままキイチを自分の家に居候させている。タカラの心には過去の出来事により出来てしまった傷痕があり、その傷痕を癒すことができないまま自分の想いに蓋をしキイチと暮らしている。 ノイル(男) キイチとタカラの幼なじみ。幼なじみ、男女7人組の年長者として2人を落ち着いた目で見守っている。キイチの働くカフェのオーナーでもあり、良き助言者でもあり、ノイルの行動により2人に大きな変化が訪れるキッカケとなる。 ミズキ(男) 幼なじみ7人組の1人でもありタカラの親友でもある。タカラと同じ職場に勤めていて会社ではタカラの執事くんと呼ばれるほどタカラに甘いが、恋人であるヒノハが1番大切なのでここぞと言う時は恋人を優先する。 ユウリ(女) 幼なじみ7人組の1人。ノイルの経営するカフェで一緒に働いていてノイルの彼女。 ヒノハ(女) 幼なじみ7人組の1人。ミズキの彼女。ミズキのことが大好きで冗談半分でタカラにライバル心を抱いてるというネタで場を和ませる。 リヒト(男) 幼なじみ7人組の1人。冷静な目で幼なじみ達が恋人になっていく様子を見守ってきた。 謎の男性 街でキイチが見かけた毎日夢に出てくる後ろ姿にそっくりな男。

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――

天海みつき
BL
 族の総長と副総長の恋の話。  アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。  その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。 「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」  学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。  族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。  何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

理香は俺のカノジョじゃねえ

中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。

処理中です...