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Wanna be 後編
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祐次はライブハウスの外を、遭難者のようにふらふらと歩いていた。
「祐次」
祐次はピタリと歩みを止める。
ユウジ、と小さく口の中で反芻した後、振り向きもしないでヤツは言った。
「誰ですかそれ」
力無い口調だったのにぐさりと突き刺さる。
隠しているつもりなんてなかった。話す必要がないと思っていただけだ。ユウジと暮らしていることは、俺にとっては当たり前の日常だったから。
「僕、本気だったんです」
祐次はこちらを見ようともしない。
「でも、やっぱり僕だけそうだったんですね。温度差すごいし、ハジメさん全然変わらないし。
・・・ずっと、不安だった」
何をどうしたらいいか全然わからなくて、祐次の話を聞くことしかできなかった。
祐次は俺に向き直って、Tシャツの裾を少し引いて、こつんと額を肩に当ててきた。
「僕の事、好きですか?」
何も言えなかった。
抱きしめ返しても嘘をついてしまう気がして、俺の両腕はぶら下がったままだ。
「祐次、」
祐次は少しだけ顔を上げた。
「前には、戻れないか」
「それって・・・セックスだけって事ですか」
「まあ・・・」
祐次は両手で俺の胸ぐらを掴んだ。首が閉まるほど強い力で。
「・・・ふざけんなよ・・・!」
火を吐くように唸る祐次の目は、赤いネオンの光を取り込み燃えているようだった。
「ホント、ハジメさんてセックスしかしてこなかったんですね・・・!
人の気持ちなんて、全然・・・!」
叫び出すのを堪えるように、祐次の声は震えている。
「・・・そんなの、もう無理に決まってるじゃないですか」
そう吐き捨てて乱暴に俺を振り解き、もう何も言わずに歩いて行ってしまった。
違う。セックスだけ出来ればいいとか、そういうつもりで言ったんじゃない。
それなりに楽しかったんだ、祐次といるのは。友達といるみたいで。
繋ぎ止めるには、どうしたらいいか分からなかったんだ。
その答えはいまだに出てこなくて、俺は突っ立ったまんま、祐次の背中を黙って見送った。
うちに帰ると、リビングは空っぽだった。いつもユウジがスマホをいじるかギターを触ってるのに。
寝室を覗くとユウジはカホの隣で添い寝してて、でも俺の顔を見ると顔をしかめた。理由はすぐ分かった。
「ハジメちゃんおかえり!」
うとうとしていたカホがパッチリ目を開けた。布団から起きて小走りでこっちに来て、足にしがみつく。
「あーあ、お前が寝かせとけよ。カホ、ハジメと一緒に寝るか?」
「うん!」
カホは満面の笑みで頷いた。
「じゃ、後は頼んだ」
ユウジは伸びをしながらリビングに出ていった。まあ仕方ないか。カホと布団に横になる。背中をトントンと叩いている間、カホはじっと俺の顔を見つめていた。
「オイ早く寝ろ」
「・・・ハジメちゃん、ニコってして」
「ああ?」
カホはわざわざにーっと笑って見せてきた。
「元気でるよ、ニコってして」
正直面食らった。どんな顔をしてたんだろ俺。
もう一度、カホはにーっと笑う。なんか釣られて笑えてきた。
「こうか?」
と笑って見せてやった。
「うん!カホね、ハジメちゃんだぁいすき!」
そう言って、ギュッと抱きついてきた。
参った。俺は4歳児以下か。
「わかったわかった。早く寝ろ」
半ば負け惜しみのようにそう言って、抱きついたままのカホの背中を叩いて寝かしつける。気づいたら風呂にも入らず朝まで一緒に寝ていた。
祐次から連絡はなかった。
というか、ラインはブロックされてるし、アプリからプロフも消えていた。
ここまでするか?
でも、祐次とはただそれだけの繋がりだったってことか。大体、ヤツの苗字すら知らない。
それなのに、なんかとんでもない事をしたんじゃないかって気がしてならなかった。
もしかしたら、アイツは、最初にセックスさえしてなければ、いい友達になれたかも知れなかったのに。
色んな奴がすぐセックスするのが勿体ない、って言って、飯を食いに行ったり遊びに行ったりしたことはたまにあった。それなりに楽しかったけど、いつもセックスする時間の方がもったいないって思ってた。
でも、やっと、そいつらが言っていた事が少し分かった気がする。
けれども、アリサが出勤してくると文句を言わずにいられなかった。
「アリサ、」
「この前は、ごめん」
思わぬ先制攻撃を食らった。
アリサは虚ろな目をしていて、ロッカーを開ける音にすら力が無い。
「アンタの事になると、いっつも頭に血が上っちゃってさ」
「あっそ」
嫌われたもんだな。そのくせこっちの顔色を伺っている視線がムカつく。
「祐次くん、だっけ。あの子にも謝っといて」
「無理だな、もう連絡取ってない」
「えっ別れちゃったの」
「別に。試しに付き合おうって言われてただけだし」
あ、そう、とアリサは俯いた。
イライラしてきた。お前が被害者面してんじゃねえよ。
「あのさ、あの子バンドに知り合いでもいるの」
「そんな事言ってたな。どこかは覚えてないけど」
「そっか。ホントごめんね」
俺はエプロンを着けるとさっさとロッカールームから出て行った。ごめん、と聞くたびにイライラが募った。アイツが謝るのは、いつも手遅れになってからだ。
それからまたアプリを再開した。
その場限りの関係はアッサリしてて気が楽だ。やっぱり1人の相手と長く関わるもんじゃない。
浮気しちゃダメですからね、なんて言葉が過ったのも最初の1人だけ。
後はもう抱いたり抱かれたりしているうちに、ヤツのことなんて気にしなくなっていった。
でも、そんな頃に、祐次のアカウントからラインが届いたのだ。
祐次と会ったのは、駅前の安っぽい飲み屋だった。
祐次は仕事帰りみたいでスーツを着ている。
店は満席で客が賑わう中、奥まったテーブル席で、静かに膝を突き合わせる。飲み物と適当につまみを頼むと、祐次は口を開いた。
「えっと、すいません。色々勝手なことして」
祐次は肩を縮こませる。
「別に」
塩とガーリックを絡めた枝豆をつまむ。塩辛くて烏龍茶じゃやっぱ物足りない。
「僕、元カノの気持ちがよく分かりましたよ。試しに付き合おうなんて言っちゃダメですね。
後、言い過ぎちゃって・・・」
祐次は俺の顔をちらりと見る。
「気にすんな」
少しホッと息を吐いた後、すいません、と小さく呟いた。
「そういえば、ユウジさんて彼氏さんじゃなかったんですね」
ん?俺言ったっけ。
「アリサさん、でしたっけ、教えてくれて。でも詳しいことは聞いてないんですけど」
「は?アリサが?なんで」
「バンドの人づてに僕の事聞いて探してたみたいで。ビックリしました、怖そうな人だったから」
お前はビビリなだけだバーカ。
でも俺もビックリした。なんでアリサがそこまでやるんだ?
「で、ユウジさんて、かっこいいんですか」
オイ、なんだその質問は。思わず少し仰け反った。
浮ついた質問の割に祐次の顔付きは真剣だ。
「だって、義理のお兄さんと住んでるの珍しいじゃないですか」
俺はユウジとカホの事を一から全部話さなきゃいけなくなった。祐次は話を聞いている間、(酒が入ったせいもあると思うけど)ぽかんとしたり、顔をしかめたり、涙を浮かべたりして百面相を披露してきた。
話が終わると、祐次はしみじみと
「ハジメさん、えらいですね・・・」
と呟いた。
「普通そこまでしませんよ、その、ユウジさん、と、カホちゃんの事、大事にしてるんですね」
「そうか?惰性でズルズル一緒にいるだけだよ」
「ハジメさん、やっぱりユウジさんの事好きなんですか?」
「んー・・・まあ・・・」
「歯切れ悪すぎでしょ」
「ユウジとは、セックスしたいとかそういうのじゃねえからなあ」
うーん、と天井を仰いだ。
確かに、イケメンだし、笑顔は癒されるしもっと見たいし、メシは美味いし、ギターと演奏するのは楽しいし、ちょっとしたことを褒められたりするのはめちゃくちゃ嬉しいし、多分そうなんだろうなとは思う。
でも、セックスしたいと思ったことはない。
セックスだけ出来ればいいっていうのとは、ちょっと違う。だから、出会ったときからずーっと、ちょっと好きなヤツってくらい。
いつからだろ。多分、初めてアイツの演奏と歌聴いた時から。中学ん時から、7年間、ずっと。
あれ、マジで?そんなに経ってたっけ。
「じゃあ、僕にもまだチャンスがあるってことでいいんですよね」
ボーっと烏龍茶を持つ手を眺めてた俺は祐次の言葉に我に返った。祐次の顔を見ると、ヤツはふにゃりと笑った。
「やっぱり、僕ハジメさんのこと好きだなあ」
頭を抱えた。お前は馬鹿か。俺みたいなヤツのどこがいいんだ。
「勝手な事言ってるってわかってますけど」
祐次は肩をすくめる。
「まずは、友達になってくれませんか」
「いいよ」
断る理由もないしな。
花火が上がったみたいに、ぱっと祐次の顔が輝く。
「やった。嬉しいな、僕、ゲイの友達っていなくて」
俺もだ。大抵ヤってハイお終いだ。
つまみがなくなる頃
「この後ホテル行く?」
と聞いてみた。祐次は目をパチクリさせて、「あなたって人は・・・」とうな垂れた。
「ダメですよ、友達同士でセックスなんてしません」
キリッと表情を引き締めて、祐次はハイボールを飲む。
「なんだそりゃ。それじゃテメエなんざ今すぐ絶交だ絶交」
祐次は表情を崩し声を上げて笑った。
まあこういうのもたまにはいいかもな。
酒は飲んじゃいなかったがなんだかいい気分で、俺も口元が綻んでいた。
WALKMAN 2nd end
to be WALKMAN Xmas特別編
「祐次」
祐次はピタリと歩みを止める。
ユウジ、と小さく口の中で反芻した後、振り向きもしないでヤツは言った。
「誰ですかそれ」
力無い口調だったのにぐさりと突き刺さる。
隠しているつもりなんてなかった。話す必要がないと思っていただけだ。ユウジと暮らしていることは、俺にとっては当たり前の日常だったから。
「僕、本気だったんです」
祐次はこちらを見ようともしない。
「でも、やっぱり僕だけそうだったんですね。温度差すごいし、ハジメさん全然変わらないし。
・・・ずっと、不安だった」
何をどうしたらいいか全然わからなくて、祐次の話を聞くことしかできなかった。
祐次は俺に向き直って、Tシャツの裾を少し引いて、こつんと額を肩に当ててきた。
「僕の事、好きですか?」
何も言えなかった。
抱きしめ返しても嘘をついてしまう気がして、俺の両腕はぶら下がったままだ。
「祐次、」
祐次は少しだけ顔を上げた。
「前には、戻れないか」
「それって・・・セックスだけって事ですか」
「まあ・・・」
祐次は両手で俺の胸ぐらを掴んだ。首が閉まるほど強い力で。
「・・・ふざけんなよ・・・!」
火を吐くように唸る祐次の目は、赤いネオンの光を取り込み燃えているようだった。
「ホント、ハジメさんてセックスしかしてこなかったんですね・・・!
人の気持ちなんて、全然・・・!」
叫び出すのを堪えるように、祐次の声は震えている。
「・・・そんなの、もう無理に決まってるじゃないですか」
そう吐き捨てて乱暴に俺を振り解き、もう何も言わずに歩いて行ってしまった。
違う。セックスだけ出来ればいいとか、そういうつもりで言ったんじゃない。
それなりに楽しかったんだ、祐次といるのは。友達といるみたいで。
繋ぎ止めるには、どうしたらいいか分からなかったんだ。
その答えはいまだに出てこなくて、俺は突っ立ったまんま、祐次の背中を黙って見送った。
うちに帰ると、リビングは空っぽだった。いつもユウジがスマホをいじるかギターを触ってるのに。
寝室を覗くとユウジはカホの隣で添い寝してて、でも俺の顔を見ると顔をしかめた。理由はすぐ分かった。
「ハジメちゃんおかえり!」
うとうとしていたカホがパッチリ目を開けた。布団から起きて小走りでこっちに来て、足にしがみつく。
「あーあ、お前が寝かせとけよ。カホ、ハジメと一緒に寝るか?」
「うん!」
カホは満面の笑みで頷いた。
「じゃ、後は頼んだ」
ユウジは伸びをしながらリビングに出ていった。まあ仕方ないか。カホと布団に横になる。背中をトントンと叩いている間、カホはじっと俺の顔を見つめていた。
「オイ早く寝ろ」
「・・・ハジメちゃん、ニコってして」
「ああ?」
カホはわざわざにーっと笑って見せてきた。
「元気でるよ、ニコってして」
正直面食らった。どんな顔をしてたんだろ俺。
もう一度、カホはにーっと笑う。なんか釣られて笑えてきた。
「こうか?」
と笑って見せてやった。
「うん!カホね、ハジメちゃんだぁいすき!」
そう言って、ギュッと抱きついてきた。
参った。俺は4歳児以下か。
「わかったわかった。早く寝ろ」
半ば負け惜しみのようにそう言って、抱きついたままのカホの背中を叩いて寝かしつける。気づいたら風呂にも入らず朝まで一緒に寝ていた。
祐次から連絡はなかった。
というか、ラインはブロックされてるし、アプリからプロフも消えていた。
ここまでするか?
でも、祐次とはただそれだけの繋がりだったってことか。大体、ヤツの苗字すら知らない。
それなのに、なんかとんでもない事をしたんじゃないかって気がしてならなかった。
もしかしたら、アイツは、最初にセックスさえしてなければ、いい友達になれたかも知れなかったのに。
色んな奴がすぐセックスするのが勿体ない、って言って、飯を食いに行ったり遊びに行ったりしたことはたまにあった。それなりに楽しかったけど、いつもセックスする時間の方がもったいないって思ってた。
でも、やっと、そいつらが言っていた事が少し分かった気がする。
けれども、アリサが出勤してくると文句を言わずにいられなかった。
「アリサ、」
「この前は、ごめん」
思わぬ先制攻撃を食らった。
アリサは虚ろな目をしていて、ロッカーを開ける音にすら力が無い。
「アンタの事になると、いっつも頭に血が上っちゃってさ」
「あっそ」
嫌われたもんだな。そのくせこっちの顔色を伺っている視線がムカつく。
「祐次くん、だっけ。あの子にも謝っといて」
「無理だな、もう連絡取ってない」
「えっ別れちゃったの」
「別に。試しに付き合おうって言われてただけだし」
あ、そう、とアリサは俯いた。
イライラしてきた。お前が被害者面してんじゃねえよ。
「あのさ、あの子バンドに知り合いでもいるの」
「そんな事言ってたな。どこかは覚えてないけど」
「そっか。ホントごめんね」
俺はエプロンを着けるとさっさとロッカールームから出て行った。ごめん、と聞くたびにイライラが募った。アイツが謝るのは、いつも手遅れになってからだ。
それからまたアプリを再開した。
その場限りの関係はアッサリしてて気が楽だ。やっぱり1人の相手と長く関わるもんじゃない。
浮気しちゃダメですからね、なんて言葉が過ったのも最初の1人だけ。
後はもう抱いたり抱かれたりしているうちに、ヤツのことなんて気にしなくなっていった。
でも、そんな頃に、祐次のアカウントからラインが届いたのだ。
祐次と会ったのは、駅前の安っぽい飲み屋だった。
祐次は仕事帰りみたいでスーツを着ている。
店は満席で客が賑わう中、奥まったテーブル席で、静かに膝を突き合わせる。飲み物と適当につまみを頼むと、祐次は口を開いた。
「えっと、すいません。色々勝手なことして」
祐次は肩を縮こませる。
「別に」
塩とガーリックを絡めた枝豆をつまむ。塩辛くて烏龍茶じゃやっぱ物足りない。
「僕、元カノの気持ちがよく分かりましたよ。試しに付き合おうなんて言っちゃダメですね。
後、言い過ぎちゃって・・・」
祐次は俺の顔をちらりと見る。
「気にすんな」
少しホッと息を吐いた後、すいません、と小さく呟いた。
「そういえば、ユウジさんて彼氏さんじゃなかったんですね」
ん?俺言ったっけ。
「アリサさん、でしたっけ、教えてくれて。でも詳しいことは聞いてないんですけど」
「は?アリサが?なんで」
「バンドの人づてに僕の事聞いて探してたみたいで。ビックリしました、怖そうな人だったから」
お前はビビリなだけだバーカ。
でも俺もビックリした。なんでアリサがそこまでやるんだ?
「で、ユウジさんて、かっこいいんですか」
オイ、なんだその質問は。思わず少し仰け反った。
浮ついた質問の割に祐次の顔付きは真剣だ。
「だって、義理のお兄さんと住んでるの珍しいじゃないですか」
俺はユウジとカホの事を一から全部話さなきゃいけなくなった。祐次は話を聞いている間、(酒が入ったせいもあると思うけど)ぽかんとしたり、顔をしかめたり、涙を浮かべたりして百面相を披露してきた。
話が終わると、祐次はしみじみと
「ハジメさん、えらいですね・・・」
と呟いた。
「普通そこまでしませんよ、その、ユウジさん、と、カホちゃんの事、大事にしてるんですね」
「そうか?惰性でズルズル一緒にいるだけだよ」
「ハジメさん、やっぱりユウジさんの事好きなんですか?」
「んー・・・まあ・・・」
「歯切れ悪すぎでしょ」
「ユウジとは、セックスしたいとかそういうのじゃねえからなあ」
うーん、と天井を仰いだ。
確かに、イケメンだし、笑顔は癒されるしもっと見たいし、メシは美味いし、ギターと演奏するのは楽しいし、ちょっとしたことを褒められたりするのはめちゃくちゃ嬉しいし、多分そうなんだろうなとは思う。
でも、セックスしたいと思ったことはない。
セックスだけ出来ればいいっていうのとは、ちょっと違う。だから、出会ったときからずーっと、ちょっと好きなヤツってくらい。
いつからだろ。多分、初めてアイツの演奏と歌聴いた時から。中学ん時から、7年間、ずっと。
あれ、マジで?そんなに経ってたっけ。
「じゃあ、僕にもまだチャンスがあるってことでいいんですよね」
ボーっと烏龍茶を持つ手を眺めてた俺は祐次の言葉に我に返った。祐次の顔を見ると、ヤツはふにゃりと笑った。
「やっぱり、僕ハジメさんのこと好きだなあ」
頭を抱えた。お前は馬鹿か。俺みたいなヤツのどこがいいんだ。
「勝手な事言ってるってわかってますけど」
祐次は肩をすくめる。
「まずは、友達になってくれませんか」
「いいよ」
断る理由もないしな。
花火が上がったみたいに、ぱっと祐次の顔が輝く。
「やった。嬉しいな、僕、ゲイの友達っていなくて」
俺もだ。大抵ヤってハイお終いだ。
つまみがなくなる頃
「この後ホテル行く?」
と聞いてみた。祐次は目をパチクリさせて、「あなたって人は・・・」とうな垂れた。
「ダメですよ、友達同士でセックスなんてしません」
キリッと表情を引き締めて、祐次はハイボールを飲む。
「なんだそりゃ。それじゃテメエなんざ今すぐ絶交だ絶交」
祐次は表情を崩し声を上げて笑った。
まあこういうのもたまにはいいかもな。
酒は飲んじゃいなかったがなんだかいい気分で、俺も口元が綻んでいた。
WALKMAN 2nd end
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