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トマトソース案件
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土曜日の昼下がり。
台所ではうちの弟とその友達の戸田くんがトマトソースを作っている。
弟の高校1イケメンな戸田くん。トマト大好き戸田くん。好きすぎて理想のトマトを作るために家庭菜園を始めた戸田くん。
だけどキレイ系イケメンで私の好みど真ん中戸田くん。あ、BL的な意味で。戸田くんは私の中で右の人です異論は認めない。
そんな戸田くんは、お料理男子なうちの弟の作ったトマトソースにえらく感動して作り方を教わりに来たんだとか。
もちろん材料のトマトは戸田くんの自作。
湯むきしたトマトは真っ赤っかでそのままかぶりつきたいくらい美味しそう。
ダイニングキッチンに背を向ける形で、ソファに座ってスマホを弄りながら2人の会話に耳をダンボにしております。
「やっべ玉ねぎ目に染みてきた」
「あれ、よく冷やしたはずなんだけど。
あーあー目ぇ擦ったら余計に・・・」
弟がタオルをとりに行った模様。
姉がだらしないから世話焼きに育ったんですね分かります。
フレッシュな男子2人がキャッキャしている声が疲れた社畜の心に染み渡ります。ああ癒される・・・。
「お姉さん、玉ねぎってどれくらい炒めればいいんですか」
「ひゃいっ?!」
急に声を掛けられてビックリした。
「あ、ああ、炒めなくてもラップに包んでチンすればいいよ」
弟はいつも適当な野菜を刻んでチンしてた。
「そっか。ありがとうございます」
うぉぉ笑顔が眩しいぜ。お姉さん目を開けてらんないよ。
「はいこれ。ってもう大丈夫そうだな」
弟が戻ってきて、タオル渡してた。
「うん、ありがと。それよりラップある?」
また始まりましたよキャッキャウフフが。
たまらんのぅたまらんのぅ。
ところが事件が起きましたよ奥さん。
なんかトマトと野菜をミキサーにかけたやつを鍋に入れた辺りからきな臭くなってきましたよ。
いや実際にはトマトと玉ねぎの臭いが部屋じゅうに漂っているんだけど。
「あっちょっと待って、そんなの入れたら」
ふえっ?!ナニを?!
「いや、いつもウスターソースで味付けてるから」
あ、ソースですか。そーっすよね(棒
「あっそんなにしたらダメだって」
「なんで?早く食べたいんだけど」
「だって、んっ、ほら、熱っ」
「大丈夫だよ、ほら、トロトロになってきたぜ?」
ふおおおぉ!!煮え滾ってきましたよ私もトマトソースもおぉぉ!
お鍋がグツグツいってますよ!そりゃあさぞ周りにお熱いドロっとした液体(トマトソース)が飛び散っているでしょうね!
「もっと熱くしていい?」
「ダメだってこれ以上は」
お姉さんも駄目ですよ、動悸がしてきちゃったよ。スマホのBL小説が頭に入ってこないよ・・・!
「あ、そんなに掻き混ぜたらっ・・・」
ファッ?!落ち着け落ち着け、トマトソースの話だから。
でもなんか弟の方が受け臭いな。それもまた良し。
いやだからトマトソース作ってるだけだからあああ。
「ダメダメダメだって、ほら、出ちゃう」
んあああナニが?!あ、トマトソースがですね、激しく掻き回されたら(鍋から)出てきちゃいますよね、理解した。
ああだめだ、お姉さんドキドキハアハアが止まらないよ、鼻からトマトソース出てきそうだよ。
オーケー、落ち着こう。素数を数え
「そんなとこ舐めるなああぁ!!」
弟の絶叫。どこを?!どこをペロペロされてんの?!
思わず振り向くと、「もったいないから!」とか言って床に零れたトマトソースにルパンジャンプ決めようとしてる戸田くんを後ろから弟が全力で止めているところでした。
はい、落ち着きました。
トマト好きじゃなくてトマト変態だったんですね戸田くん。変態キャラは嫌いじゃないけど床ペロペロは人間として大事なものを失くしそうだからやめようか。
タオルで床を拭き拭きしてあげました。
戸田くんは潤んだお目々で「俺のトマトソースゥゥ」って言ってたけどまだお鍋にいっぱいあるよ。いっぱい食べてね。
飛び散ったトマトソースをお掃除して、戸田くんは残りのトマトソースの入った鍋をまぜまぜしながらうっとりしてます。
弟はパスタ茹でてた。洒落たもん作ってるな君たち。
トマトソースのパスタを私にも分けてくれた。本当にいい子たちだね。妄想のネタにして悪かったよ。
と思ってたら油断しました。
ちょっと反省しつつパスタを食べ終わって、食器を流しに持っていくときのことでした。
2人で仲良く食器を洗っていた戸田くんが「あ、もったいない」とか言って弟の口の端についたトマトソースを直接ペロッとしたのをバッチリ目撃しちゃったよ。
「ごちそうさまでしたああああ!」
私の鼻からもトマトソースがスプラッシュしましたとさ。
終わり
台所ではうちの弟とその友達の戸田くんがトマトソースを作っている。
弟の高校1イケメンな戸田くん。トマト大好き戸田くん。好きすぎて理想のトマトを作るために家庭菜園を始めた戸田くん。
だけどキレイ系イケメンで私の好みど真ん中戸田くん。あ、BL的な意味で。戸田くんは私の中で右の人です異論は認めない。
そんな戸田くんは、お料理男子なうちの弟の作ったトマトソースにえらく感動して作り方を教わりに来たんだとか。
もちろん材料のトマトは戸田くんの自作。
湯むきしたトマトは真っ赤っかでそのままかぶりつきたいくらい美味しそう。
ダイニングキッチンに背を向ける形で、ソファに座ってスマホを弄りながら2人の会話に耳をダンボにしております。
「やっべ玉ねぎ目に染みてきた」
「あれ、よく冷やしたはずなんだけど。
あーあー目ぇ擦ったら余計に・・・」
弟がタオルをとりに行った模様。
姉がだらしないから世話焼きに育ったんですね分かります。
フレッシュな男子2人がキャッキャしている声が疲れた社畜の心に染み渡ります。ああ癒される・・・。
「お姉さん、玉ねぎってどれくらい炒めればいいんですか」
「ひゃいっ?!」
急に声を掛けられてビックリした。
「あ、ああ、炒めなくてもラップに包んでチンすればいいよ」
弟はいつも適当な野菜を刻んでチンしてた。
「そっか。ありがとうございます」
うぉぉ笑顔が眩しいぜ。お姉さん目を開けてらんないよ。
「はいこれ。ってもう大丈夫そうだな」
弟が戻ってきて、タオル渡してた。
「うん、ありがと。それよりラップある?」
また始まりましたよキャッキャウフフが。
たまらんのぅたまらんのぅ。
ところが事件が起きましたよ奥さん。
なんかトマトと野菜をミキサーにかけたやつを鍋に入れた辺りからきな臭くなってきましたよ。
いや実際にはトマトと玉ねぎの臭いが部屋じゅうに漂っているんだけど。
「あっちょっと待って、そんなの入れたら」
ふえっ?!ナニを?!
「いや、いつもウスターソースで味付けてるから」
あ、ソースですか。そーっすよね(棒
「あっそんなにしたらダメだって」
「なんで?早く食べたいんだけど」
「だって、んっ、ほら、熱っ」
「大丈夫だよ、ほら、トロトロになってきたぜ?」
ふおおおぉ!!煮え滾ってきましたよ私もトマトソースもおぉぉ!
お鍋がグツグツいってますよ!そりゃあさぞ周りにお熱いドロっとした液体(トマトソース)が飛び散っているでしょうね!
「もっと熱くしていい?」
「ダメだってこれ以上は」
お姉さんも駄目ですよ、動悸がしてきちゃったよ。スマホのBL小説が頭に入ってこないよ・・・!
「あ、そんなに掻き混ぜたらっ・・・」
ファッ?!落ち着け落ち着け、トマトソースの話だから。
でもなんか弟の方が受け臭いな。それもまた良し。
いやだからトマトソース作ってるだけだからあああ。
「ダメダメダメだって、ほら、出ちゃう」
んあああナニが?!あ、トマトソースがですね、激しく掻き回されたら(鍋から)出てきちゃいますよね、理解した。
ああだめだ、お姉さんドキドキハアハアが止まらないよ、鼻からトマトソース出てきそうだよ。
オーケー、落ち着こう。素数を数え
「そんなとこ舐めるなああぁ!!」
弟の絶叫。どこを?!どこをペロペロされてんの?!
思わず振り向くと、「もったいないから!」とか言って床に零れたトマトソースにルパンジャンプ決めようとしてる戸田くんを後ろから弟が全力で止めているところでした。
はい、落ち着きました。
トマト好きじゃなくてトマト変態だったんですね戸田くん。変態キャラは嫌いじゃないけど床ペロペロは人間として大事なものを失くしそうだからやめようか。
タオルで床を拭き拭きしてあげました。
戸田くんは潤んだお目々で「俺のトマトソースゥゥ」って言ってたけどまだお鍋にいっぱいあるよ。いっぱい食べてね。
飛び散ったトマトソースをお掃除して、戸田くんは残りのトマトソースの入った鍋をまぜまぜしながらうっとりしてます。
弟はパスタ茹でてた。洒落たもん作ってるな君たち。
トマトソースのパスタを私にも分けてくれた。本当にいい子たちだね。妄想のネタにして悪かったよ。
と思ってたら油断しました。
ちょっと反省しつつパスタを食べ終わって、食器を流しに持っていくときのことでした。
2人で仲良く食器を洗っていた戸田くんが「あ、もったいない」とか言って弟の口の端についたトマトソースを直接ペロッとしたのをバッチリ目撃しちゃったよ。
「ごちそうさまでしたああああ!」
私の鼻からもトマトソースがスプラッシュしましたとさ。
終わり
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