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第4章 スペシャリスト 1
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いわゆる乙女系ゲームに出てくるのは、イケメン王子や、その派手な取り巻き、そして、悪役令嬢とヒロイン!
なぜか悪役令嬢の多くが婚約破棄され、投獄か、追放か、斬首。
これって酷くないか? たかが小娘がやった事で。教育的指導でもすりゃいいレベルが多い、って思うのだが。
しかも、どう考えても演技だろ! っていう、健気で儚げな、甘えた女に騙される王子や貴族の男達……。
普通、上層部の人間って、本物と偽物を鑑定できるよう、教育されてるもんじゃないの? えっ?宝物と女性を一緒にするな、モラハラだって? すまん!
でも異世界って、元の世界と価値観違いすぎるよね。一方的に婚約破棄した上に投獄するとか、モラハラ、パワハラのレベルじゃないから! 前世でそれをやったらネットで炎上、世界中から叩かれる案件だね。
ともかく、ツンとか、嫉妬とか、軽い苛めくらいで目くじらたてるなよ。
それくらい許せないくせに、人道主義やらフェミニズム気取って、ヒロイン庇ってんじゃない!と思う。
前世の俺は、姉や母親、大学やバイト先の女子連中にいいように利用され、こき使われ、正直腹立たしい思いばかりだったよ。
だから、陰でこっそりやり返したり、猫被って誑かしている女の素の姿を、こっそり狙われてる男連中に見せてやったりして、溜飲を下げてた。
だけど、いくら女の子のやっている事が陰険でムカついたとしても、王子達のように彼女らを衆人環視の中でやりこめたり、糾弾しようと思った事はない。
まあ、かつては、ネットでネチネチ匿名で攻撃する奴らがいたそうだが、俺が生きていた頃は、即、発信者が特定されて、反対にさらし者になっていたな。
あれ、これって、ざまぁシーンに似てるか? うーん。どっちも怖!!
それに俺は前世では庶民だったからわからなかっただけで、もしかしたら上級国民の間では、普通に都合の悪い奴や邪魔者に濡れ衣着せて、吊し上げをしてたのかなあ?
政治家とか、芸能界みたいに。う~ん、その辺はわからないのだが……
まあ、それはともかく、別に俺は平和主義者でも理想主義者でもない。ただのへたれだ。
前世では、血を見るのが苦手だった。採血も、鼻血も、ホラー映画でさえ見られかなかった。そして残酷な話や悲しい話も嫌いだったが、それは現世でも同じだ。
それなのに俺の家は代々軍関連だ。もし俺が魔力持ちだとわかったら、それがたとえ攻撃魔力だろうが、癒し魔力だろうが関係なく、いずれ戦場に駆り出されてしまうだろう。兄貴とは違って。
だけど俺は絶対に戦場なんかに行きたくない。だから魔力をひた隠しにしている。
そう。俺はどうしようもない臆病者なんだ。
きっと真実を知られたら、両親や兄弟、そして愛しい大切な思い人にも軽蔑されるだろう。
しかし、そんな臆病者だからこそ、できればこの国を戦火に巻き込みたくないのだ。
だからその要素になりうる火種を、今のうちにもみ消していこう。王太子殿下のパーティーの席で、突然俺はそう思ったのだ。
それに元々俺は、別につまらない優等生だからといって、皇太子やその婚約者を嫌っているわけじゃない。
二人が憎しみあって、悲惨な最後を迎えるのを望んでいるわけじゃない。
かといって、絶対に二人にハッピーエンドを迎えて欲しい、と望んでいるわけでもないのだけれど。
ただ、もし別れるのならばせめて穏便に……そう願っているだけだ。
だってそうだろう?
本人の意思無視の政略結婚なんて、義務感だけでどうにかなるって話じゃない。
前世、俺のいた国ではその昔、結婚初日にお互いに初めて顔を見た、なんていう事も実際にあったらしい。それでも、幸せに暮らしていた夫婦も結構いたという。
しかしそれは、たまたま相性がよかったとか、運が良かったという、単純な話だけでもなかったらしい。
仲人という、カップリングを仕事にしているスペシャリストがいて、その神業に近い手腕によって、男女の縁が結ばれていたらしい。
男女の性格、趣味嗜好、収入、家族構成などを徹底的に調べあげ、相性ピッタリな相手を探し出す。そして上手に両人の良さを引き出し、アピールし、互いの好感度を上げていく。
そして、婚約してからも、ちゃんと結婚式を挙げるまで、手をぬかずにフォローしまくる!
お見事!
しかし、俺が生きていた時代ではすでにその『見合い』というスタイルも大分変わっていて、コンピューターや遺伝子情報によるカップリングされていた。
しきたりや風習が変わって自由恋愛が一般的になったとしても、結局『仲人』を望む輩は減らなかった。
何故なら、自分が好きになった相手が、自分を好きになってくれる確率って、一体どれくらいあるのだろう。
そもそも、好きになる相手に巡り合う確率は?
結局、運任せの自由恋愛を望んだ結果、国内の婚姻率は低下し、人口は減少、国家は衰退へと進んでいった。
その結果、各自治体は独自に『仲人』制度を公の機関に取り込んだのだった。
なぜか悪役令嬢の多くが婚約破棄され、投獄か、追放か、斬首。
これって酷くないか? たかが小娘がやった事で。教育的指導でもすりゃいいレベルが多い、って思うのだが。
しかも、どう考えても演技だろ! っていう、健気で儚げな、甘えた女に騙される王子や貴族の男達……。
普通、上層部の人間って、本物と偽物を鑑定できるよう、教育されてるもんじゃないの? えっ?宝物と女性を一緒にするな、モラハラだって? すまん!
でも異世界って、元の世界と価値観違いすぎるよね。一方的に婚約破棄した上に投獄するとか、モラハラ、パワハラのレベルじゃないから! 前世でそれをやったらネットで炎上、世界中から叩かれる案件だね。
ともかく、ツンとか、嫉妬とか、軽い苛めくらいで目くじらたてるなよ。
それくらい許せないくせに、人道主義やらフェミニズム気取って、ヒロイン庇ってんじゃない!と思う。
前世の俺は、姉や母親、大学やバイト先の女子連中にいいように利用され、こき使われ、正直腹立たしい思いばかりだったよ。
だから、陰でこっそりやり返したり、猫被って誑かしている女の素の姿を、こっそり狙われてる男連中に見せてやったりして、溜飲を下げてた。
だけど、いくら女の子のやっている事が陰険でムカついたとしても、王子達のように彼女らを衆人環視の中でやりこめたり、糾弾しようと思った事はない。
まあ、かつては、ネットでネチネチ匿名で攻撃する奴らがいたそうだが、俺が生きていた頃は、即、発信者が特定されて、反対にさらし者になっていたな。
あれ、これって、ざまぁシーンに似てるか? うーん。どっちも怖!!
それに俺は前世では庶民だったからわからなかっただけで、もしかしたら上級国民の間では、普通に都合の悪い奴や邪魔者に濡れ衣着せて、吊し上げをしてたのかなあ?
政治家とか、芸能界みたいに。う~ん、その辺はわからないのだが……
まあ、それはともかく、別に俺は平和主義者でも理想主義者でもない。ただのへたれだ。
前世では、血を見るのが苦手だった。採血も、鼻血も、ホラー映画でさえ見られかなかった。そして残酷な話や悲しい話も嫌いだったが、それは現世でも同じだ。
それなのに俺の家は代々軍関連だ。もし俺が魔力持ちだとわかったら、それがたとえ攻撃魔力だろうが、癒し魔力だろうが関係なく、いずれ戦場に駆り出されてしまうだろう。兄貴とは違って。
だけど俺は絶対に戦場なんかに行きたくない。だから魔力をひた隠しにしている。
そう。俺はどうしようもない臆病者なんだ。
きっと真実を知られたら、両親や兄弟、そして愛しい大切な思い人にも軽蔑されるだろう。
しかし、そんな臆病者だからこそ、できればこの国を戦火に巻き込みたくないのだ。
だからその要素になりうる火種を、今のうちにもみ消していこう。王太子殿下のパーティーの席で、突然俺はそう思ったのだ。
それに元々俺は、別につまらない優等生だからといって、皇太子やその婚約者を嫌っているわけじゃない。
二人が憎しみあって、悲惨な最後を迎えるのを望んでいるわけじゃない。
かといって、絶対に二人にハッピーエンドを迎えて欲しい、と望んでいるわけでもないのだけれど。
ただ、もし別れるのならばせめて穏便に……そう願っているだけだ。
だってそうだろう?
本人の意思無視の政略結婚なんて、義務感だけでどうにかなるって話じゃない。
前世、俺のいた国ではその昔、結婚初日にお互いに初めて顔を見た、なんていう事も実際にあったらしい。それでも、幸せに暮らしていた夫婦も結構いたという。
しかしそれは、たまたま相性がよかったとか、運が良かったという、単純な話だけでもなかったらしい。
仲人という、カップリングを仕事にしているスペシャリストがいて、その神業に近い手腕によって、男女の縁が結ばれていたらしい。
男女の性格、趣味嗜好、収入、家族構成などを徹底的に調べあげ、相性ピッタリな相手を探し出す。そして上手に両人の良さを引き出し、アピールし、互いの好感度を上げていく。
そして、婚約してからも、ちゃんと結婚式を挙げるまで、手をぬかずにフォローしまくる!
お見事!
しかし、俺が生きていた時代ではすでにその『見合い』というスタイルも大分変わっていて、コンピューターや遺伝子情報によるカップリングされていた。
しきたりや風習が変わって自由恋愛が一般的になったとしても、結局『仲人』を望む輩は減らなかった。
何故なら、自分が好きになった相手が、自分を好きになってくれる確率って、一体どれくらいあるのだろう。
そもそも、好きになる相手に巡り合う確率は?
結局、運任せの自由恋愛を望んだ結果、国内の婚姻率は低下し、人口は減少、国家は衰退へと進んでいった。
その結果、各自治体は独自に『仲人』制度を公の機関に取り込んだのだった。
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