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《第3期》 ‐勇者に捧げる咆哮‐
『雨はまだ降っている』
しおりを挟むその目線の高さは大体床から百五十センチくらいで、普段ひづりが見ている視界と大差は感じられなかった。《映像》はひどく鮮明さを欠いていたが、けれども色はちゃんとあって、そこが少し古い和風建築の民家の、どうやら正午を過ぎた中庭を見渡せる廊下の一角であると分かった。家屋に濃い影を落とす日差しの向こうで絶え間なく蝉の声が鳴り続いており、《音声》もしっかりと伴っていることを証明していた。
視界はゆっくりではあるが微かにぐらぐら上下左右に揺れていて、同時に周囲の壁や廊下が後ろへ流れていく事から、《視界の主》は家の中を歩いているのだと分かった。ただ蝉の声が五月蝿いからか《視界の主》の足音は聞き取れず、代わりに時折細長い木の板を並べた床が控えめにぎしりぎしりと鳴る音だけが耳に届いた。
《視界の主》ははたと立ち止まると、右を見た。丸い銀色のドアノブがくっついた、家の中では比較的新しい物らしい明るい色合いの木造の扉。視界の右下の方から手が伸び、ドアノブを掴んで回した。
そこは脱衣所だった。左手には使い込まれた感じの洗濯機が天井へ向けて口を開けており、右手には恐らく風呂場に繋がるすり硝子の扉がはめ込まれていた。
ふと視界がまた右を向く。そこには黒い髪を肩の辺りで切り揃えた一人の若い女性が立っていて、じっとこちらを見ていた。けれどその腰から下辺りは数本の歯ブラシやドライヤーの並んだ流し台に隠されていたため、すぐにそれが洗面台の鏡に映った《視界の主》であるとひづりも気づいた。
《映像》の画質がよくない事もあってその顔立ちはあまりはっきりとしなかったが、それでもこじんまりとした顔やそこに並んだ目鼻の形を見るに彼女がなかなかの美人であろう事だけは分かった。自分の知り合いではなさそうだな、とひづりは思うと同時に、少しだけ雰囲気がアサカに似ているな、とも思った。
彼女が何か喋り出すでも、他に誰か登場人物が増えるでもなく、そこで《映像》はぶっつりと途切れて暗転し、うるさいほどだった蝉の鳴き声も海に沈む様に消えた。
「……ご覧頂いた通りです」
視界はゆっくりと光を取り戻し、ひづり達の眼は再び正しく大講義室内の景色を捉えた。重く耳朶を打つ雨音と明るい蛍光灯の光にひづりは少し眼が眩むようだった。
「凍原坂、今のはお主の実家で間違いないのか?」
部屋を覆っていた《共感性魔方陣術式》の《魔方陣》が足元に収束して消えると、天井花イナリは彼に訊ねた。
「はい。……鏡に映っていたのも、十四年前に亡くなった私の婚約者の雪乃さんで、間違いないと思います……」
もうそこには《映像》など欠片も認められはしなかったが、それでも凍原坂は喪った婚約者の姿がたった今まで映写されていたその大講義室の長い黒板を名残惜しそうに見つめていた。
「ふむ、なるほど。このような《記憶の映像》を、《火庫》、お主は八月からいくつも繰り返し見るようになった、と」
天井花イナリの《共感性魔方陣術式》によって上映された《火庫》の《記憶》は、凍原坂の故郷にある商店街を歩く映像、ひづりたちが今居るこの明治大学構内を歩く映像、どこかの神社の境内を歩く映像、そして先ほどの、凍原坂の実家で洗面台に立ち寄った《視界の主》の姿が明らかになる映像、この四つであった。
《火庫》は顔に影を落としたまま不安そうに呟いた。
「最初は、あの岩国の旅行から戻ったその日の夜でした。凍原坂さまもわっちらも疲れて、深く眠っていたのですが……。夜中、やけに暑い気がして目が覚めて、洗面台へ立ったのです。そうしましたら、最後に見て頂いたこの《記憶》が……」
ふむ、と天井花イナリは顎に手を添えて首を傾げた。
「確かに、この《映像》が生前の西檀越雪乃の《記憶》で、そして例の渡瀬とやらが語った《転生する妖怪》の話を信じるならば、お主はかつて人間……凍原坂の番であった西檀越雪乃かもしれん、と考え至るのは分かる。しかし凍原坂、お主はこの《記憶の映像》を見るのはおろか、今日まで《火庫》からこの件について相談されてはおらんかったのであろう? でありながら先ほどのお主の口ぶりはまるで、この《火庫》の《記憶》について気づいておった様子であったが?」
凍原坂は、いえ、と首を横に振った。
「気づいていた訳では、ないんです。十四年前のあの日、出会った《火車》の顔立ちがもし雪乃さんそっくりだったら、私もそれが雪乃さんの幽霊では、と最初から思っていたと思います。ですが先ほどの《映像》で見て頂いた通り《火庫》と雪乃さんは一目で他人と分かるくらい、人相が違います。ですから、今までそんな風に考えた事はなかったんですけど……。ですがここ一ヶ月ほど、不意に見せる《火庫》の虚ろな横顔がほんの一瞬だけ、どこか生前の雪乃さんに似ているような……そんな気がしていたんです。加えて八月から、《火庫》が度々、不思議な事を言うようになったんです。……あの事、お話ししても大丈夫だね?」
繋いだままの手を改めて両手で包み込むようにして凍原坂が訊ねると《火庫》は一つばかり頷いた。
凍原坂はおもむろに眼鏡を外し、それを遠慮がちにひづりたちの方へ差し出した。それは先日壊してしまった眼鏡の代わりに使い始めた物だと《火庫》が教えてくれた、細いアンダーリムの眼鏡だった。
「もう《火庫》からお聞きになったのですよね。確かに、先日私は眼鏡を踏んで壊してしまって、代わりにこれをまた使うようになりました」
ひづりは首をかしげた。
「また、っていうと、それはスペアとして以前から持っていた物だったんですか?」
自分を含め身内に眼鏡を使う人が居ないため、ひづりはその取り回し等について詳しくなかったが、てっきりそのアンダーリムは壊してしまった眼鏡の代わりとして新たに購入した物なのだろうと思い込んでいた。どうやら違ったらしい。
「持っていたというより……実家に置いていたんです。これは、私が二十二の頃に、贔屓にしていた町の眼鏡屋からタダで貰った物だったんです。確か創業十周年だったとかで、その月が誕生月で過去に店を一度でも利用した事がある人を対象に、フレームからレンズからケースまで、無償で送られていたみたいなんです。大人っぽいでしょう、これ。当時やっぱり気に入って使っていたんです。けど、二十五の時、雪乃さんから交際一周年記念にフルリムの物を贈ってもらったんです。女性からあんな風に贈り物されるのは初めてでしたから、以来ずっとあっちを使っていたんです」
凍原坂はその壊してしまった大切な眼鏡のことを想ってだろう、懐かしそうに、また悔しそうな顔をした。それからはっと我に返ったように顔を上げると謝った。
「すみません、話が上手く纏められず……。とにかく、それきりこの眼鏡は実家に置いたままで……持っていた事さえ最近まで忘れていたんです。ですが……」
彼はもう一度《火庫》を振り返った。
「眼鏡を壊してしまった時、《火庫》が言ったんです。『以前使われていた下縁の眼鏡は今手元に無いのですか。ご実家にあるのでしたら、ご両親に送っていただいてはどうでしょう』と。私は不思議に思いました。雪乃さんにあのフルリムの眼鏡を贈られて以来、こちらの眼鏡は一度も使っていませんでしたし、若い頃の私は《妖怪》が写り込んだりするのが嫌で写真やビデオに入るのを避けていたので、《火庫》が当時の私を知っているはずはないんです。ですから《火庫》も自分で言って首を傾げていたんです」
ひづりは今一度そのアンダーリムの眼鏡を見下ろして、確かにそれは不思議だ、と思った。
凍原坂が《火庫》──《火車》と出会ったのは十四年前の冬の事だ。当時凍原坂は二十九歳。その時にはもう恋人に貰ったフルリムの眼鏡ばかりを使っていて、このアンダーリムの眼鏡は四年ほど実家で埃を被っていた。そしてこの眼鏡を掛けていた当時の凍原坂の写真等がどこにも残っていないのなら、十四年前に凍原坂と出会ったはずの《火庫》が十八年前に使われなくなったこのアンダーリムの眼鏡を知っているのはおかしい。なのに、《火庫》はその提案が口を衝いて出たのだという。
「この眼鏡、周りからはよく似合ってるって言ってもらえていたんですけど、雪乃さんだけはあまり好きじゃなかったみたいなんです。だからなんでしょうね、交際一周年記念のデートで、春くんに絶対似合う眼鏡を見つけてあげる、って雪乃さんは張り切っていて……。だから……そうです、あの頃、雪乃さんがこんなに一生懸命選んでくれたんだから、こっちの眼鏡屋に貰った眼鏡は物置にしまっておくことにするよ、って、雪乃さんとそんな話をしたんでした……」
遠い昔の淡い記憶に沈み込む様に、凍原坂は寂しげな顔でその眼鏡を見下ろした。
最初に凍原坂から《火庫》たちとの出会いを聞いた時、ひづりはてっきり、《火車》は亡くなった西檀越家の三人の遺体を求めて現れ、その後凍原坂に一目惚れし、彼にとりついたのだろう、と思った。おそらく凍原坂もそう捉えており、七月に《和菓子屋たぬきつね》へ訪れた際にはその通りひづりたちに説明をしたはずだ。
しかしこの《火庫》の記憶や凍原坂の証言、そして渡瀬が語った《妖怪の転生論》が本当なら、それはどうやら思い違いであったことになる。
十四年前に凍原坂の前に現れた《火車》は、直前に亡くなった西檀越雪乃の魂が《妖怪》に転生したものだった。渡瀬曰く、《妖怪》に転生すると人であった頃の記憶はほとんど残らないが、強い感情だけは引き継がれると言う。それが彼女の凍原坂に対する愛情であるなら、初対面と思われた《火車》がいきなり彼を追い掛け回した事も、ただの一目惚れよりは納得がいく。
凍原坂は眼鏡を掛け直すと畏まって背筋を伸ばし、天井花イナリの方を向いた。
「天井花さん、教えて下さい。《火庫》に一体何が起こっているんでしょうか。《火庫》は本当に……雪乃さんなんでしょうか」
「知らぬ」
切実に問うた凍原坂に、しかし天井花イナリはすっぱりとあっけなくそう返した。
「前にも言うたが、わしは日本の《妖怪》にそれほど詳しくはない。《契約》で《ウカノミタマの使い》にされてはおるが、それが持つべき知識の類まで得ている訳ではない。《火庫》が西檀越雪乃であるかどうかなぞ、答えられるものではない」
「そう……ですか……」
凍原坂は分かりやすく肩を落とした。が、天井花イナリは同じ調子で淡々と続けた。
「とはいえ、お主らの話を聞くにその可能性は十分にあると言ってよいのではないかとわしも思う。少し気になってはおったのじゃ。言うたであろう、七月の末日より《火庫》と《フラウ》の間には、相互で《フラウロスの魔力》の循環が続いておる、と。では、これまで十四年間凍原坂の体へと送られ栄養として消費されておった分の《魔力》は一体どこへ行っておるのか……? これがその答えやも知れん。わしは《妖怪》の体に知見を持たぬが……しかし《天使ども》から多量の《神性》を注がれ、体内に膨大な《魔力》が循環するようになった人間共が、以降、多かれ少なかれその精神に異常を来たした、という例は耳にしておる。本来その体内を巡るはずがない量の《魔力》が与えられた際、やはり《妖怪》の身も人と同じく何らかの変化を生じさせるのではないか? 例えば今回の《火庫》のように、転生する前の人間であった頃の《記憶》を取り戻す……といった具合にのう。有り得ん話ではないと思うが。……しかし今回の最たる問題はそこではないのではないか、凍原坂? お主、まだ《火庫》に言うてやらねばならん事があろう」
凍原坂はハッとしたように顔を上げ、それから隣の《火庫》を振り返った。ひづりもようやく腑に落ちていた。《火庫》がこの数日、何故か自ら凍原坂の許を離れようとしていた、その理由について。
「不安、だったんだね、《火庫》……」
肩を寄せ、もう一度しっかりと《火庫》のその小さな手を握り、凍原坂は優しく声を掛けた。
「う……うっ……」
《火庫》の頬を涙が伝い、ぽたりぽたりと零れて落ちた。
「わっちには……凍原坂さまのためなら、何だって出来る自信があります……。凍原坂さまがわっちに《娘》をお求めになるのであれば、わっちは死ぬまで、いえ死んだ後でさえ、必ず凍原坂のお傍で燃え続ける焔になりましょう。ですが……分からなくなってしまったのです……。わっちはもしかしたら雪乃さまの生まれ変わりなのではないか……そう思うようになってから……もしそれが本当で……それを凍原坂さまが知った時……凍原坂さまは果たして、亡くなった恋人が蘇った様だ、なんて喜んでくれるのか、と……。気味が悪い、と、わっちは捨てられてしまうのではないか、と……。凍原坂さまはお優しい方……わっちの事を捨てたりしない……はずですけれど……。やっぱり不安になってしまうのです。凍原坂さまは人間で……わっちは《妖怪》……最初から、人ならざる者なのですから……」
渡瀬から《転生する妖怪》の話を聞いて、そしてそれを凍原坂が十数年ぶりに彼と会って話を聞こうとしていると知った時、《火庫》があの時やけに食いついて、それから自分の内側に閉じこもるように考え耽っていたのはこうした理由からだったのだ。《火庫》の中で西檀越雪乃に由来する何かが生じた事にすでに凍原坂は気付いていた。それが《火庫》には恐ろしかったのだ。《和菓子屋たぬきつね》で働き始めたりして、凍原坂と物理的にも時間的にも距離を取ろうとしていたのは、その《記憶》を取り戻しつつある己を彼に気づかれたくなかったからだった。これまでの《親娘》の関係が崩れてしまうかもしれない、と独り、誰にも相談出来ず不安だったのだ。
すると凍原坂は《火庫》の正面へ来て膝をつき、手を握ったまま彼女の顔を見上げた。
「私もね、考えていたんだ」
《火庫》は涙に濡れた顔で恐る恐る彼の眼差しを正面から受け止めた。
「君がもし雪乃さんの生まれ変わりで……そしてそれが本当だ、と、例えば渡瀬のような《妖怪》に詳しい誰かに言われた時……私はどう感じるのだろうか、って。《妖怪が見える》、なんて珍しい体質を持って生まれた身でもきっと中々経験する事じゃないだろうし、分からなかったんだ。でもね、今天井花さんに言われてはっきりしたんだ。君が何を不安に思っているのか、何を思い詰めているのか……苦しげな君のことが、私は心配だったんだ。だからちゃんと伝えるよ、《火庫》」
ふ、と凍原坂は微笑んだ。
「君の前世が雪乃さんであってもなくても、今の君はかけがえのない、私の大切な《娘》なんだ。悩んでもいい。前世の自分が何者か、とか、《妖怪》と人間は違うから、とか、それらをずっと気がかりに思っていたって良い。ただ、そうした悩みはこれからも私や《フラウ》と一緒に受け止めていって欲しい。どんな時だって、君は独りで悩まなくていいんだ。優しい君が私たちをいつだって愛してくれるように、私たちも君を深く愛しているんだよ、《火庫》」
左手で《火庫》の手を、右手で眠ったままの《フラウ》の手を握って、凍原坂はそうはっきりと言葉にした。
《火庫》はもう顔を真っ赤にしてその藍色の右目と薄金色の左目からぼろぼろと涙を零して泣き崩れた。
「うぁ、ああぁ、凍原坂さま……凍原坂さま……」
椅子から飛び降りるようにして父の胸に顔を押し付け、《火庫》はそのままわんわんと泣いた。凍原坂は彼女を抱きとめて、優しくその小さな白い頭を撫でてあげた。
「……お主の憂い、どうやら思いの外早く落ち着いたようじゃの」
天井花イナリが隣へ来てこそりとひづりに耳打ちした。もらい泣きしかけていたひづりは一つ鼻を啜ってから体を屈め、はい、本当に良かったです、と小声で返した。
こうして、先週の土曜から《和菓子屋たぬきつね》で始まった《火庫》の異変は、きっと彼女たちにとって一番良い形で決着に至った。ひづりに出来たのは《火庫》から凍原坂の体へ《魔力》を送る中継程度ではあったが、それでも一応恩は恩である。官舎万里子ではなく改めて官舎ひづりに借りが出来た《火庫》と凍原坂は、吉備ちよこから押し付けられる要求を今後は常に一考し、ひづりと天井花イナリに相談せざるを得ない立場となった。彼女達がこれまで無条件にちよこの要求を呑まなくてはならない立場にあった事を思えば、これは《和菓子屋たぬきつね》と凍原坂家が健全な関係を築く上で大きな前進に違いなかった。
大丈夫、自分はちゃんとやっていける。確かな手応えを感じ、ひづりはまた凍原坂たち三人を暖かな気持ちで眺めた。
「…………火庫が……姉さん……?」
その時、《記憶の上映》からやけに静かだった夜不寝リコが小さくぽそりと零したのをひづりは聞いた。
理解はしつつも、まだ気持ちがそこへ追いつかない、という様子で彼女は立ち尽くしていた。けれど彼女の《火庫》を見つめる眼差しはこれまでと何か変わったようにはなく、その戸惑いもいずれ時間が解決する問題ではないかと思われた。
もしかしたら今後も《火庫》ちゃんの《記憶》は戻り続けるかもしれない。西檀越雪乃としてのすべてを思い出すかもしれない。そうしたら、彼女と夜不寝リコの関係も今までとはやっぱり少しずつ変わって、そしてもっと親しいものになるのかもしれない。《火庫》ちゃんが夜不寝リコをお姉さんっぽく嗜める光景も、今後《和菓子屋たぬきつね》では見られるようになるのかもしれない。自分と夜不寝リコの間柄が変わる事は無いかもしれないが、彼女が店で笑う回数は増えることだろう。
それはきっと、良い事だ。
────ざあざあ、ざあざあ────。
ひづりはふと窓を振り返った。もうじき十九時になるが、神保町を打ち続ける雨の勢いは強まる一方で、天井花さんが迎えに来てくれて本当に良かった、とひづりは覚えた寒気に肩を竦めた。
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