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第50話 希望の地へ

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漆黒の闇が支配をしている世界で、愛理に会うために歩き進める女の子。 暗い中でも怪物が自身を殺すために迫っていることは理解が出来ていた。 位世界を当てもなく走り続けていると、どこからか威圧感を感じる低音の声色で伏せろと言う声が聞こえた。

女の子はその声に従って地面に伏せると、横一線の斬撃が迫ってきていた骸骨の怪物を切り裂いた。 その斬撃を受けた骸骨の怪物は、胴体が裂かれて地に伏した。 地に伏した骸骨の怪物を凝視していた女の子に、再度威圧感を感じる声色がその空間に響き渡る。

「早くこの世界から消えることだ。 この世界にお前の居場所はない」

そう言われ、あなたに何が分かるのよと返すも、早く消えろとしか言われない。 そして、女の子はどうすればこの世界から出れるのよと叫ぶと、また威圧感を感じさせながら前を見ろと言う。女の子が前を見ると、目の前の空間が裂けて淡い光が亀裂から漏れていた。 その空間は直径三十センチ程の円形であり、その亀裂から出ている淡い光を女の子が見ると、目が光に慣れていないので眩しいと両手で目を覆った。

「これが光……これが光!」

眩しさを我慢しながら、亀裂から漏れる淡い光を見続けていると、女の子の耳に早くその亀裂に入れとの声が聞こえた。

「分かったわよ! 入る!」

そう決心をすると、亀裂に両手を突っ込んで亀裂を広げていく。 精一杯の力を込めて亀裂を広げて自身が入れるだけのスペースを作ると、女の子は身体を捻じりながら中に入っていく。身体を捻じって入ろうとするも、亀裂が予想以上に硬くて身体が半分入ったところで止まってしまう。 女の子は歯を喰いしばって身体に力を入れて奥に入ろうとしていく。

「もう少し……もう少しで全部入る……!」

女の子が入れと声を上げると、するりと亀裂の中に身体が全て入った。 亀裂の中は眩い光で満ちており、丸い空間を真っ直ぐ進んでいた。 女の子は先ほどまでいた漆黒の世界との違いに驚き、生まれて間もないがここまで違う世界があることや、光を身に受けて暖かいを感じていた。

「こんなに世界が違うなんて、もっと広い世界を知りたい!」

そう考えていると、先ほどの漆黒の世界で聞いていた声がこの空間でも聞こえていた。 その声は女の子に君の名前はエレナだと言い、光ある世界で様々な経験をして使命を果たせと言ってくる。

「使命って何? 私は黒羽愛理に会わないといけないの! それ以外に何かあるの?」

そう問いかけると、威圧感のある声がそれ以外にあると返答してくる。 エレナは教えてよと頬を膨らませて怒るも、答えは返ってこない。

「お前の生まれた意味を考えれば自ずと理解が出来る。 暗い世界で生まれたお前は光を求めた……エレナ……お前は光を身に纏い、漆黒の世界を照らせ」

先程までは威圧感を感じさせた低音の声が、最後の方では優しい声色をしていた。 エレナは何があったのかと疑問に感じるが、私は私の道を行くわと答えると、その道の先に答えはあるだろうと声が聞こえたのを最後に一切声は聞こえなくなった。光のトンネルを流されるまま進んでいくと、目の前に出口と思われる穴が見えた。 エレナは救われるために黒羽愛理に早く会わないとと目を輝かせていた。

「黒羽愛理ってどんな人なんだろう……早く会いたいなぁ……」

エレナは愛理がどんな人なのか想像をしていた。 同じ年齢の女の子なのか、少し年上なのか、はたまただいぶ年が離れているのかなど沢山想像をしていた。 そんな考えを巡らせていると、出口と思われる穴が目の前に迫ってきた。

「光ある世界に出れる! 救われる!」

そう声を発しながら身の丈ほどある穴に吸い込まれていった。 穴にエレナが入ると、今まで通ってきた光のトンネルは塵の様に消え去った。

「眩しい……これが光の世界……」

エレナが目を右手で覆っていると、目の前から女の子と思われる声が聞こえた。 その声を聞いた瞬間、エレナは目を見開いて目の前に立っている女の子を見つめた。

「あなたが……黒羽愛理?」

エレナは目の前にいる女の子に話しかけた。 エレナの目の前にいたのは、退院を迎えた愛理本人であり、愛理は突然目の前に現れた光を放つ穴の存在やそこから出てきた裸の女の子に驚いていた。

「ちょ、ちょっと突然なに!? なんで私の名前知ってるの!? それに穴から裸の女の子!?」

愛理が慌てふためいていると、楓と奏が愛理の着なかった余りの服をすぐに着させようとした。 初めは何するのと嫌がっていたが、愛理は服を着たほうがいいよと言うと、エレナはその言葉に素直に従った。
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