天羽桜は世界を救う

天羽睦月

文字の大きさ
5 / 34

第5話 迫る死と変わる日常

しおりを挟む
「生きたい……生きて皆を助けたい! 花音も、家族の皆も……救うんだ!」

桜が声を上げて守りたいと声を上げると空から一振りの剣が現れ、桜の前に突き刺さる。 その剣は青色と白色を基調とした桜の身長より少し短い程の長さがあった。 桜は突然の出来事に思考が追い付かなかったが、この剣を手にすれば目の前の敵性生物を倒すことが出来ると直感で感じることができた。

「この剣で皆を守るんだ!」

地面に刺さっている剣を引き抜いた桜は、持っている右腕に白とピンクを基調とした小手が出現した。

「これは……小手? もう何が何やら分からないわ……でも、目の前の敵を倒せばいいことは分かってる!」

桜は目の前の適性生物に向かって剣を構える。 その構えはテレビで見たことがある剣道の持ち方を思い出しながら構えた。

「負けない、絶対に倒す!」

そう言葉を発した瞬間、横から刀を振るうのが見えたので剣で防御をしたのだが、力が違いすぎるので吹き飛ばされてしまう。 そして、公園内にある草むらに突撃して呻き声を上げた。 

「今の攻撃を防げたのは奇跡だわ……」

桜は手にもつ剣を改めて怪人に構える。 見よう見真似の剣の振り方では怪人にダメージを与えることは出いないと感じて、怪人を見据えていかに倒すかを考えることにした。 しかし大立ち回りをすると、近くの地面に伏している花音に危険が及ぶ可能性があるので、花音を傷つけないように動かないとと考えてもいた。

「このまま死ねない……死なないし、守るんだ!」

剣を怪人に突き刺そうと突進するも、軽々と武器を吹き飛ばされてしまう。

「ごめんね……花音……ごめんねパパ、ママ、奏……」

桜が目をつむって諦めていると、武器と武器がぶつかる音が聞こえた。 その武器の持ち主は内宿町の駅前で戦っていた少女であった。 その少女は、桜の目の前で二つの短剣で怪人の攻撃を防いでいた。

「あなた達はなんでこんな場所にいるんですか! 早く逃げてください!」

怯える桜と息絶えそうな花音に少女が逃げろと言うと、増援で来た特殊救援隊に花音が抱えられて治療のために病院に運ばれた。

「もう持たない! あなたも早く逃げて!」

短剣で防ぎ切れなくなり、怪人の蹴りにて少女は桜の後ろまで後退してしまう。

「私も戦う……大切な人達が苦しむなら、私がそれを背負うんだ!」

桜が叫び手を前に出すと、吹き飛ばされた剣が手の前に飛んでくる。 その剣を再度手に取ると、少女は目を見開いてその剣は何なのと驚いていた。 

「この剣で皆を守るんだ!」

剣を構えて握る力を籠めると、剣全体が淡く光り始めた。 桜はその剣で攻撃をすると、怪人が今までと違い、簡単に切り裂くことができた。

怪人を倒すことができた桜は、立ったまま目が虚ろになって倒れてしまう。 倒れた桜を見た少女は、この子があの見たことがない剣に選ばれたのかと呟き、特殊救援隊の隊員に本部に連れて行ってと命じた。

救援隊に桜が連れていかれた場所はリーベであり、花音はリーベ直轄の病院に連れていかれ、二人は離れ離れになってしまう。 目を閉じて倒れた桜が次に目を覚ますと、そこには白を基調とした大部屋の病室を個室に変えたほどの広さに、見たことがない大人が数名いた。

「うっ……ここはどこ……」

頭を押さえながら起き上がる桜に、ベットの横にいた大きな体躯に短髪を立たせている男性が君のおかげで怪人を倒せたと言ってきた。

「怪人を私が倒した……あっ……あの不思議な剣で倒せたんだ……」

桜が不思議な剣と言うと、短髪の男性が長方形のロングケースを開けて先ほど桜が使っていた剣を見せた。

「これは私が使っていた不思議な剣……ていうか、皆さんは誰ですか?」

不思議な剣よりこの大人達の方が気になる桜だったが、その言葉と共に、短髪の男性が名刺を渡してきた。

「これは申し遅れた、私は政府直轄の国防組織リーベの所長を務めている石動龍と言う者だ」

石動と言う国家機関リーベの所長が目の前にいることに驚きを隠せない桜だったが、ついリーベって存在したんだと口走ってしまい、慌てて口に手を当てて謝った。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ“使えないスキル”を大量に入手できる世界

小林一咲
ファンタジー
戦う気なし。出世欲なし。 あるのは「まぁいっか」とゴミスキルだけ。 過労死した社畜ゲーマー・晴日 條(はるひ しょう)は、異世界でとんでもないユニークスキルを授かる。 ――使えないスキルしか出ないガチャ。 誰も欲しがらない。 単体では意味不明。 説明文を読んだだけで溜め息が出る。 だが、條は集める。 強くなりたいからじゃない。 ゴミを眺めるのが、ちょっと楽しいから。 逃げ回るうちに勘違いされ、過剰に評価され、なぜか世界は救われていく。 これは―― 「役に立たなかった人生」を否定しない物語。 ゴミスキル万歳。 俺は今日も、何もしない。

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安
ファンタジー
ごく普通のフリーター・岩倉運命は謎の少年に刺され、命を落としてしまう。そんな岩倉運命だったが、サダメ・レールステンとして転生を果たす…

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...