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第2章 新たな日常

第12話 突然の出会い

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 国立中央魔法学校の入試が終わり、出雲は帰りの電車の中で爆睡をしていた。出雲は寝ている途中で体がビクッとなったことで目が覚めた。

「うん? ここは……最寄駅じゃん!?」

 出雲は慌てて電車から出ることに成功をした。ホームに出ると危なかったと溜息をついた。

「なんか試験が終わった気がしないなー。まだ誰か見てたりしないよな?」

 出雲は周囲を見渡すも、試験官らしき人物の姿は見えなかった。いるわけがないかと出雲は呟きながら、ホームを歩いて改札から出た。
 出雲はそのまま駅を歩いていると、どこからか悲鳴のような声が聞こえた。

「な、なんだ!? 女の人の悲鳴!?」

 出雲は閑静な住宅街に響く悲鳴が聞こえたが、周囲を歩く人々にはその声が聞こえていないようであった。出雲は俺にしか聞こえていないのかと呟くと、声のした路地裏に入っていく。

「こんなところで何が……」

 路地裏の薄暗い道を進んでいくと、足元からピチャっという音が聞こえた。出雲は何か液体が零れているのかと足元を見ると、そこには赤く夥しい量の血があった。

「これは……血!?」

 出雲は大量の血を踏みながら先を進んでいくと、突き当りを左に曲がった場所に地面に倒れる一人の女性を見つけた。その女性は背中から2対4枚の羽を生やし、白いワンピースを着ていた。

「は、羽!? なんで人から羽が生えているの!?」

 意味が分からないと出雲が言い続けていると、羽が生えている女性が呻き声を上げながら出雲を見た。

「こんなところに人間がいるなんてね……人間には私の声が聞こえないはずだけど?」

 出雲が見た羽が生えている女性は白銀の髪色をしており、腰にかかるまでの長さをしていた。また、ワンピースを着ていても分かるそのスタイルの良さが際立っていた。
 その羽の生えている女性の発する声は、鈴を転がすようなとても綺麗で甘い声をしていた。その声を聞いている出雲は、一声一声に心が癒されると感じていた。

「い、いや、俺は……声が聞こえたから、ここに……」

 出雲が羽の生えている女性の全身を見ると、羽の生えている女性が胸ばかりみないでよと出雲をおちょくった。

「み、見てないよ! 血がそんなに出てるのに、無理して喋らない方がいいよ!」

 身長は出雲の肩辺りに届く程度であるにも関わらず、ワンピースの上からでもその胸の大きさが際立っていた。出雲は見てないと言いつつも、何度か見ていたのでドキッと心臓が高鳴ってしまっていた。
 白銀の髪を持つ女性は二重の綺麗な碧眼をしており、目鼻立ちがハッキリしている宝石のような美しい顔立ちをしていた。

「ていうか、こんなことをしていないで手当てしないと!」
「いや、手当てしたって遅いよ。もうすぐ私は死ぬからね……」

 羽の生えている女性は苦しそうに咳をしながら血を吐いてしまったので、出雲は持っているハンカチで口元を拭いた。

「優しいわね……ハンカチが血で濡れちゃったけど大丈夫?」
「大丈夫です! こういう時のためのハンカチですから!」

 自身のハンカチの心配をされた出雲は、洗えば大丈夫ですからと返答をした。すると羽の生えている女性は、名前を言ってなかったわねと出雲に話しかけた。

「私の名前はミサよ。あなたたちの言語であるカタカナでミサって言うわ。よろしくね」
「あ、俺は黒羽出雲って言います!」

 出雲は自身の名前を伝えると、ミサがありがとうと言いながら笑顔を出雲に向けた。出雲がその笑顔を見て美人だと思った瞬間、どこからか翼がはためく音が聞こえた。

「え!? ミサさんと同じ羽が生えている男性!?」

 出雲の直上に、ミサと同じく2対4枚の羽が背中から生えている金髪の端正な顔立ちの男性が銀色の鎧を着て宙に浮いていた。

「見つけた。こんな場所にまで逃げるとは、流石にしぶといな」

 金髪の男性がミサに話しかけると、出雲があなたがこんなことをしたのかと怒鳴った。しかし、その声を金髪の男性は気にも留めずにミサに向けて話し続ける。

「上からの命令で、お前を殺すことに決まった。さっさと死んでおけば楽に逝けたというのに」
「私はまだ死ねないのよ……私を逃がしてくれた人たちのために、生きてあなたたちのしていることを打ち砕くのよ!」
「それは叶わない。なぜなら、今ここでお前は死ぬからだ!」

 金髪の男性が腰に差している金色の剣を引き抜きながら、ミサに向けて降下をし始める。出雲は危ないと叫びながらミサの前に立つと、金髪の男性が邪魔だ虫けらと言いながら出雲の腹部に金色の剣を差した。

「がふ!? ぐぅ……やらせないぞ! 俺には何があったのかは知らないけど……お前が悪側なのは分かる!」
「さっきからうるさいぞ! 下等生物めが!」

 目を見開いて、自身の邪魔をする出雲から剣を引き抜く。その剣は出雲の腹部を貫通しており、事切れる寸前であることが腹部から噴き出した血の量で理解ができる。

「出雲君!? どうして私のことを守ったの!?」
「困って……いる人が……いれば……守るのが……当然でしょ……」

 口から血を吐きながら、出雲は地面に倒れてしまう。
 周囲に出雲の血が広がるのを見たミサは、目の前に立つ金髪の男性を睨みつけた。
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