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第1章 運命のプロローグ

第11話 試験終了

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「試験終了です。お疲れさまでした」

 出雲が地面に倒れると共に、スピーカーから試験終了のアナウンスが流れた。
 そのアナウンスを聞いている出雲は、ギリギリ倒せたと息を荒らしながら呟いていた。

「空が青い……短いような長いような試験だったな……」

 空を眺めていると、どこからか多数の足音が出雲の耳に聞こえてくる。
 出雲は痛む体に鞭を打って辛くも体を起こすことが出来た。

「魔法騎士団の人たちかな? 治療キットとか持って歩いて来てる」

 出雲は魔法騎士団の人たちを見ていると、ひとりの男性騎士団員が出雲の側に来た。

「試験お疲れさまでした。今怪我を治療しますね」
「あ、ありがとうございます……」

 出雲は男性騎士団員が出雲の打撲や裂傷を治療し続けてくれていた。
 出雲は意外と怪我をしていたと考えていると、怪我を認識してしまったのか激痛が体中に走り始めた。

「痛っ……急に痛みが……」
「試験が終わってホッとしたんだろうね。今治療をしているから、我慢してね」

 そう言われた出雲は、分かりましたと返事をして治療を受け続けていた。出雲が治療を受けているのと同時に、愛理や竜司も治療を受けている姿が見えた。

「あ、あの二人も治療を受けているんだ。無事なようで良かった……」

 無事でよかったと出雲が呟くと、治療をしてくれている男性騎士団員が話しかけてきた。

「治療が終わった人から帰宅をしていいそうですので、他言無用の禁止事項だけお守りください」
「分かりました」

 出雲は気を付けようと思うと、続々と返っていく受験生の姿が見え始めた。出雲より軽症の受験生が多いようで、続々と落胆をしながら帰宅をし始めているようである。

「俺は合格出来たんだろうか……」

 落胆しながら帰っていく受験生を見て、出雲は自身の動きは大丈夫だったのかと不安になってきていた。その出雲の言葉を聞いた男性騎士団員が、自分を信じることだと言ってくれた。

「その時その時で、君は自身が思う最適な動きをしたはずだ。その動きをした君自身を褒めれるのは自分しかいない。自分を信じられるのは自分だけだぞ」
「ありがとうございます! 自分を信じます!」

 出雲は男性騎士団員に感謝をすると、次第に体の痛みが引いてきていた。こんなにすぐに治るなんて凄いと驚いていると、愛理と竜司が出雲のもとに歩てきた。

「やったわね! 倒してくれたんでしょ?」
「お前が倒したのか?」

 二人に話しかけられた出雲は、無事でよかったと返事をした。その出雲の言葉を聞いた竜司は、質問に答えろと出雲に詰め寄る。

「ちゃんと俺が倒したよ。攻撃魔法を使えるようになって、騎士の胴を貫いたんだ。それで倒したよ」

 出雲の言葉を聞いた竜司は、鼻で笑った。
 出雲はどういう意味か分からなかったが、竜司が出雲の肩に右手を置いたことで竜司の中の自身の印象が変わったのかと思った。

「少しは認めてやるよ。だがな、次に会った時は俺が活躍をしてやるからな!」

 そう言うと、竜司は舌打ちをしながらその場を後にした。
 愛理は竜司の後姿を見ると、素直じゃない人ねと小さく笑っていた。

「倒してくれてありがとう。あの男を含めて3人だから乗り越えられたんだと思うわ」
「そうだね。3人だから乗り越えられたんだと思う。もし次にまた会った時はよろしくね」

 出雲はよろしくと言いながら、愛理に手を振った。愛理はそうねと言うと、手を振り返しながらその場を後にした。
 二人を見送った出雲は傷が完全に癒えたと男性騎士団員に言われ、ゆっくりと立ち上がった。

「ありがとうございます! 助かりました!」
「俺は仕事をしたまでさ。さ、帰りなさい」

 出雲はその言葉を聞くと、ありがとうございますと再度言って歩き出した。試験は終わったが、まだ終わったと実感が出雲には湧いていなかった。

「試験が終わったんだな……本当に終わったという実感がないな……今まで受けたことがない実戦と思えるような試験だったな……」

 駅に向かって歩きながら、出雲は実戦形式だったのかと考えた。

「あんな戦闘を魔法騎士団の人たちは毎日しているということなのかな? 今回の試験が特別なだけだったとか? うーん……分からない……」

 考えても分からないと頭を掻きむしっている出雲。数分間考えていると、考えても仕方ないかと思うことにした。

「あ、そう言えば試験結果っていつ届くの!?」

 出雲も肩を落としながら駅への道を歩く始末になっていた。
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