魔法高校の聖騎士～楽園の鳥籠で天使は嘲笑う～

第1章 運命のプロローグ

第3話 試験前

　自室に移動をした出雲は机の上に置いていた国立中央魔法学校の試験概要を見ることにした。

「やっぱり試験概要を見ても、魔法の実技のことは書かれていいないか」

　試験概要の書かれている紙を見ていた出雲は、深いため息をついた。一度はその紙から目を話すも、何かが気になると思い再度試験概要に目を落とす。

「試験を受けるための受験資格や試験日時、会場などが書いてあるけど……なんか試験会場の下の方に隙間があるんだよなー」

　この隙間は何だと唇を尖らせながら、試験概要が紙を自身の顔に近づけていく。隙間を凝視していくと、不意に出雲は試験概要の用紙に魔力を流してしまった。

「げぇ！？　紙に魔力を流しちまった！？」

　どうしようと焦っている出雲だが、試験概要の用紙が淡い光を放ったことで何が起きたんだと試験概要の用紙を凝視し始める。

「紙に流した魔力で試験概要の言葉が変わっていく！？」

　出雲が流してしまった試験概要の用紙に書かれている文字が、魔力に反応をして変化をしていた。
　試験日時は変わらないが、試験会場や試験内容が変わっていた。その変化した試験概要を見た出雲は、目を見開いてどういうことなのと驚いていた。

「試験会場が国立中央魔法学校ではなくて魔法騎士団の演習場になってるし、試験内容に魔法実技が加えられてる……やっぱり魔法実技の試験はあるんだ。それにしても、魔力をたまたま流しちゃから変化することに気が付いたけど、流さない人は試験内容が違うしどういうことだろう？」

　顎に手を置いて悩んでいる出雲だが、考えても答えが出ないので考えることを止めた。そして、一番気になる魔法実技の項目を見ることにした。

「魔法実技試験は制限時間が2時間しか書かれていないな。どんな魔法の実技試験をするんだ？」

　筆記試験は同様に行われるので、試験時間と行う科目が書かれている。しかし実技試験のことは試験時間のみ記載であるために、どういった内容なのかは定かではない。

「考えても仕方ないか、試験日時は同じで行く場所が変わるだけ。魔法の勉強を少しでもしておくか」

　出雲はベットに座りながら、中学校で配布される魔法理論という本を手に取った。魔法は幼少期に才能があるか検査をされ、才能があればどのような魔法に適正があるか再度検査をされる。
　出雲はその幼少期の検査にて、光系統の魔法に適正があると判断された。光系統の魔法は攻撃性が高い属性であり、体から発生する光の魔力を凝縮させて攻撃をする魔法から、出雲が使った目くらましの魔法まで幅広く存在する。

「理論だけ見てもなー。魔力の使い方や魔法とはということしかないし、結局は技とかは自分の力で想像したり、技を真似るしかないか……」

　唸りながら魔法理論の本を読み進めていると、魔法の技に付いて書かれている項目に辿り着いた。

「魔法には多くの技がある。その技は自分自身で想像し、蓄えて行くものである。攻撃系統、防御系統、支援系統。多岐に渡る魔法があるものの、どの系統の魔法が使えるかは才能によるところが多いってあるな」

　俺の系統は何だろうと考えていると、目くらましなどあるから支援なのかと考えていた。しかし、英雄になるためには攻撃系統じゃないとダメだなとも考えていた。

「魔法の技は自分で作るしかないからな。学校で教えてくれてもいいのに……まあ、魔法が扱えない人がいたり、魔法の才能にも種類があるから仕方ないし、同じ技が使えるとは限らないから分かるけどさー」

　ベットに顔を埋めて、魔法の練習をサボってたツケが来たと出雲は嘆いていた。
　数十分嘆いていると、出雲の部屋に琴音が入って来る。琴音はベットに埋まっている出雲を見ると、晩御飯だよーと埋まっている出雲の背中を何度も右手の人差し指で突いていた。

「え！？　もうそんな時間！？」

　机の上に置いている時計を見ると、時刻は18時を回ろうとしていた。
　出雲は魔法理論を読んで魔法のことを考えつつ、ベットに顔を埋めていたらそれ程の時間が経過していたことに驚いていた。

「早くこないと、晩御飯抜きだよー」

　出雲に小悪魔な笑顔を向けながら、琴音が小躍りをしながら部屋を出て行った。
　出雲は晩御飯抜きという言葉を聞いて、ヤバイと言いながらベットから飛び起きて部屋から出た。

「晩御飯抜きは嫌だ！」

　そう言いながらバタンと音がするようにリビングのドアを開けると、そこにいた楓が驚いた顔をして出雲を見ていた。

「どうしたの？　そんなに慌てて、晩御飯抜きなんてしないわよ」

抜きにはしないよと微笑しながら言われた出雲は顔を紅く染めながら、ソファーに座ってバラエティー番組を見ている琴音の頭頂部を軽く掌で叩いた。

「いったーい！　叩かないでよー！」
「晩御飯抜きって嘘を言った罰だよ！」

　琴音が痛いと涙目になっている姿を見て、出雲はもう嘘はダメだよと注意をした。
　琴音がはーいと言っていると、楓がカレーが出来たわよとと二人に言った。

「いただきまーす！」
「カレー美味しい！」

　出雲と琴音が喜んでいると、楓がもうすぐ受験の日ねと出雲に言った。その言葉を聞いた出雲は、やれるだけのことはするよと笑顔で返答をした。

「そうね。悔いが残らないように頑張るのよ」
「うん、ありがとう！」
「お兄ちゃんなら多分大丈夫だよ！　変なことに首を突っ込まなきゃ大丈夫！」

　琴音に変なことにと言われた出雲は、気を付けますといいながら苦笑いを浮かべていた。
　そして、ついに国立中央魔法学校の受験の日がやってきたのである。