魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~

天羽睦月

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第117話 五秒の本気

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白い空間から美桜が掻き消えると、ハッとした表情でルミナスシールドを解除した。美桜はそのまま白い翼を使って宙に浮くと五秒しかないと呟き、あの不思議な空間であった女の子に力を貸してと念じる。

「今だけ力を貸して!」

美桜はそう叫ぶと、美桜の背中から四枚の翼が生えた。美桜の背中からは全部で六枚の白い翼が生えたことになり、美桜は現在扱える力の全力を出すことが出来た。

「お父様……いや、天神弦十郎! この国の人達のために消えて!」

美桜はそう言うと、両手を宙に上げて眩い光を放つ球体を作り上げた。

「これで終わりよ! 滅光!」

滅光は光属性の魔力を圧縮し球体に集め、その球体から相手に目掛けて光線を放つ魔法である。美桜はその魔法に全てをかけて弦十郎を倒すことにしていた。

「もう諦めて! あなたの野望はここでお終い!」

美桜が攻撃を放つと、弦十郎は先ほど放った闇撃砲を放つ。二人の魔法が衝突すると、美桜の魔法の方が強いのか衝突した瞬間から、弦十郎の魔法が押し負けていた。

「もう時間がない! 私の魔力の全てを!」

美桜は叫び、魔力を一気に込める。すると弦十郎の闇撃砲を飲み込んでそのまま弦十郎に衝突した。

「そのまま弾け死ね!」

美桜が叫ぶと滅光が一度収縮して、弾け飛んだ。弦十郎はその中心部にいたので、痛みに絶叫を上げていた。美桜はこれでも死なないのと言いながら、時間切れなようで背中の羽が消え、美桜は凄まじい虚脱感を感じて地面に膝をついていた。

美桜は息が荒く、過呼吸気味になっていた。美桜は首を前に向けると、弦十郎が血を大量に吐きながら息を荒くしていた。また、弦十郎の右腕が肩から吹き飛んだのか無くなっていた。

「私を殺すのではなかったか? まだ生きているぞ?」

弦十郎がそう言うと、黒いマントを羽織った謎の人物が弦十郎の前に現れた。その黒いマントは弦十郎に何かを言うと、ここまでかと弦十郎が呟く。

「革命の時間は終わりだ。 私の動きは評価されたようだ」

弦十郎が美桜に言うと、何のことよと叫ぶ。弦十郎は言ったとおりだと言うと、黒いマントが懐から何かを複数個取り出して地面に叩きつける。

「え、煙幕!?」

美桜がそう言うと、既に弦十郎は逃げたのか返答は何もなかった。そして、その様子をテレビ中継で見ていた人達は美桜の雄姿や出雲達の戦いを見て喜びの声を上げていた。

父親と娘が戦っていたが、美桜は血を吐きながら戦ったり来栖と共に戦っていた出雲の必死さを見て自分達を守るために戦ってくれていたことにも喜んでいた。

「逃げたのね……また戦う時が来るのかしら……」

美桜はそう呟くと地面に倒れて気絶をしてしまった。出雲はなおも倒れたままであり、来栖も傷が深く動くことが出来ないでいた。

「今救急隊を呼んで、国立魔法部隊を呼んだからもう少し待っててくれ」

倒れた出雲や美桜に言うと、来栖もその場に倒れてしまった。また、蓮や雫も戦闘を勝利で終えていたので、腕や足から流れる血を抑えながら出雲達のもとに急いでいた。雫は美桜に怪我をさせてしまったことを悔いながら小走りで美桜のもとに向かっていた。

「美桜様! 美桜様!」

何度も美桜の名前を呼んで、倒れている美桜の側に座る。出雲には蓮が付き添い、琴音には国立魔法部隊の女性隊員が対応をしていた。雫は美桜に何度も話しかけるも、一向に返事はなかった。それを見ていた国立魔法部隊の隊員の一人が揺らさないでと雫に言う。

「ご、ごめんなさい……」

雫は謝ると、美桜様を救ってくださいと懇願していた。その言葉を聞いた国立魔法部隊の隊員は任せてくださいと雫に言う。そして、救急隊も駆けつけると一気に救助が進んでいく。

美桜や出雲に、皇家達現貴族の負傷者達を救助する。重傷者は救急車に乗せたり、軽症者やその場で一度回復魔法をかけなければいけないほどの負傷者はその場で救急隊や国立魔法部隊の隊員が回復魔法をかけている。

マスコミ関係者が複数人出雲達を陰から撮影をしており、その怪我の具合や国立魔法部隊の隊員に皇達のことをリポートしていた。そのことに気がついた雫は、勝手に撮影をするなと言うが、来栖がおぼつかない足取りで雫とカメラマンの側に立つと、全国放送かとカメラマンとリポーターに聞いた。

「そうです。 お聞きしたいことがあるのですがよろしいですか?」

リポーターの女性が聞くと、来栖は待ってくれと言った。

「今回の内戦は、国が貴族や旧貴族の意見も聞かずに一方的に抑え続けた結果だと思う。 それにあちら側にも正義はあった!」

来栖はそう言いながら頭を下げた。来栖のその姿を見た日本中の人々は考え始めた。しかし町を破壊することは必要ではなかったし、戦闘を行う必要もなかったと疑問が出ていた。
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