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第114話 出雲の知っていること
しおりを挟む「賀茂さんからの報告だと、隼人の友人の宮田君は、悪魔崇拝の教団に関わっていると考えるのが妥当だな」、手にしていた皇宮警察本部からの報告書を正人は机の上に置いた。
「そうじゃな、知識なしにいきなり上位悪魔は、呼び出せんからな」と、長老は棚の上で丸まって寝ながら薄ら目を開ける。
「DDのデータベースとの照合で、最近世界中で活発に活動している教団がある。日本でも活動を始めているのかも知れないわ」と、茜はパソコンの画面を見ながら話した。
「茜、どこの教団か分かるか?」
「黒薔薇十字軍、アメリカを本拠地に活動している教団」
「大事にならなければ良いが、俺達はいつでも動けるよう引き続き情報収集に専念するから」と、正人は煙草を加え給湯室に入って行った。
賀茂は、宮田宅で押収した宮田千尋のパソコンの情報解析が出来たので、DDへは報告書で知らせて来た。彼は、黒薔薇十字軍のホームページにアクセスし、集会に参加していた形跡があった。
誰もが持つ不安を材料にしたり、強い力が手に入るなどの文句で若者を中心に勧誘しているサタニズム教団、実際に怪事件を起こしたり悪魔を召喚させたなどの報告がDD本部にも入っていた。
隼人には、何故、彼がこのような教団に関心を持ったのか分からなかった。
宮田君に友人が少なかったのは事実だ。
彼とは大学で知り合ったが、それまでの彼を知らない。
もしかしたら、俺の知らない悩みや苦悩があったのかも知れないな。
友人気取りで、本当は彼の事を理解出来ていなかったのかも。
自分の机に着席し塞ぎがちに考え込む隼人に、給湯室から出て来た正人が声を掛けた。
「悩むなよ、隼人、君に責任がある訳では無いんだから」
「そうですが、友人と思っていたのに。悩んでいるなら話をして欲しかった」
ドカッと勢いよく正人は自分の席に座ると、「誰しも話せない事はあるからな」
「そうですよね、悩むより宮田君が見つかるよう、今は僕が出来る事をするしかないですよね」
「そうだよ、それで良い」
「今日は、会議なのですよね? 桜は、参加しなくて良かったのですか?」
「ああ、今日も賀茂さんのサポートに行っているから参加出来なかったんだ」
「その方が、都合は良いのじゃ」
「そうよね、会議の本題はこれからだからね💛」
長老と茜は、何かを企んでいる。特に茜の獲物を狙うような目に隼人は、何か嫌な予感がして額から汗が滲み出た。
「何か、不穏な空気が流れていますけど。本題とは何ですか?」
「本題は、お前と桜の事じゃ」と、寝ていた長老が正人の机の上に座った。
「桜と僕の事ですか・・・」
「凄く、重要な事なのよ。隼人君!」
隼人は正人の方を見たが、彼はわざと目を逸らした。長老と茜が中心になってこれから始まる本題に突入する。
な、何を話し合うの?
正人さんは目を背けるし、茜さんと長老の目が真剣で怖い。
嫌な感じしかしない雰囲気に隼人は、そそくさと事務所から逃げ出したくなった。
「薄々、気が付いていると思うけど、桜はあなたに気がある」
「僕にですか。それは、茜さんの女の勘か何かですか?」
「簡単な事じゃよ、小僧。命がけで自分を助けてくれた男性に一目置くのは当然じゃろ。惚れられたのじゃよ」
「桜が、俺に・・・、いや、僕に惚れたのですか?」
「そうよ、本人に直接聞いたら否定するでしょうが、私の見立てでは本気ね♪」
「冗談はやめてくださいよ、長老も茜さんも」
「だからこそ、君には理性をしっかりと保ってほしいんだよ」と、さっきまで自分には関係ない素振りをしていた正人が口を開いた。
「僕には、良く分かりませんので、ちゃんと説明してくださいよ」
「桜にはね、トラウマがあるの。幼い時に負った心の傷、多分、それが原因で今まで異性を遠ざけ恋愛を避けていたようなの」
「そうじゃな、知識なしにいきなり上位悪魔は、呼び出せんからな」と、長老は棚の上で丸まって寝ながら薄ら目を開ける。
「DDのデータベースとの照合で、最近世界中で活発に活動している教団がある。日本でも活動を始めているのかも知れないわ」と、茜はパソコンの画面を見ながら話した。
「茜、どこの教団か分かるか?」
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「大事にならなければ良いが、俺達はいつでも動けるよう引き続き情報収集に専念するから」と、正人は煙草を加え給湯室に入って行った。
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彼とは大学で知り合ったが、それまでの彼を知らない。
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「そうだよ、それで良い」
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