魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~

天羽睦月

文字の大きさ
上 下
91 / 120

第91話 皇家での皆での夕食

しおりを挟む
美桜が出雲の側に近づくと、雫が出雲に休んだ分の日にちは休みの土曜日に補修という形で遅れを取り戻すらしいと、雫は出雲に伝えていた。出雲は雫の言葉を聞いて、俺の休みがと呆然とした顔をしていた。

美桜はその出雲と雫の言葉や呆然とした出雲の顔を見ると、私も一緒に参加するからと出雲に言う。

「え!? 美桜もなの!?」

側に来た美桜に出雲が言うと、美桜が私も休んでいるから同じよと出雲に言う。

「そうだったんだ! 美桜が一緒なら安心かな!」

出雲が笑顔で美桜に言うと、美桜が私も安心よと笑顔で言った。そんな一時の後に、明臣が晩御飯を食べていってくださいと全員に言う。

「晩御飯がもうすぐ出来上がるので、是非食べてください」

明臣のその言葉を聞いた全員は、食べていこうと笑顔になっていた。出雲は晩御飯も凄い美味しいんだろうなと笑顔でいると、美桜も雫も楽しみと言って話していた。食堂で待つこと二十分経過するとメイドの女性が複数人現れて、台所で完成した料理を運んでいく。

「どんな料理が来るのかなー楽しみだなー!」

出雲が席に座って料理を運んでくるメイドの女性を見ていると、その出雲の右隣に座っている美桜が、料理よりメイドの女性を見つめないのと言っていた。

「み、見てないよ!? 俺が見ているのが料理だよ!」

出雲がどもりながら言うと、美桜はからかっただけよとクスクスと小さく笑っていた。出雲は美桜にからかわないでよと言うと、美桜がごめんねと舌を出しながら謝った。出雲は大丈夫だよと言うと、目の前に置かれた晩ご飯を見て歓喜した。

出雲が歓喜した理由は、寿司が置かれたからであった。出雲の前に白い大きめの皿が置かれ、その上にマグロやサーモンに甘海老など多くの握り寿司が置かれていた。

「これは! 寿司!? 食べたことないけど、テレビで見たことある!」

出雲が大喜びで目の前に置かれている寿司を見ると、食べていいのと明臣に聞いた。明臣はどうぞと笑顔で言うと、いただきますと言って出雲は箸を使って食べ始めた。

出雲は初めにマグロの寿司を一口で食べると、その脂の乗りと噛まなくとも口の中で溶けて消えるそのマグロの寿司に、出雲は歓喜の渦に包まれていた。

「マグロ消えた! 美桜! マグロが食べたのに、噛まずに溶けた!」

出雲が隣に座る美桜の左肩を揺らして言うと、美桜はあんたは子供かと言って出雲の頭頂部にチョップをした。

「痛い!? だって、寿司だよ! マグロだよ! 溶けて消えたんだよ!」

出雲が尚も歓喜していると、美桜がならこれをあげるわと出雲に言う。

「マグロくれるの!? ありがとう!」

出雲がそう言うと、美桜がサーモンを貰うわねと言って出雲のサーモンを一つ箸で取った。出雲は俺のサーモンがと叫ぶと、美桜がマグロと交換よと言ってすぐにサーモンを食べた。雫や沙羅達はその二人を見て笑っていた。沙羅達はこのお寿司のネタは高級っぽい気がするわと呟いていた。メイドの女性の一人がその沙羅の呟きを聞いて、説明を始めた。

「こちらの寿司は、早朝に料理担当が豊洲市場にて新鮮な魚を多数購入して作りました」

それを聞いた沙羅達は、そこまでしているんだと思っていた。沙羅は私達の料理もそこまでした方がいいかなと考える。

「雫さんって料理凄い上手なんですよね?」

沙羅が左隣にいる雫に話しかけると、雫はそれほどではないですけどと言う。

「一応美桜様にたまに料理を食べていただく程度です」

そう言われた沙羅は、それだけでも充分ですと言う。

「それでも教えてください! 私の店の料理はだいたいが冷凍食品ばかりなので、店舗移転を切っ掛けに料理を手作りに変えていきたいんです!」

沙羅のその言葉を聞いて、横にいた愛羅も雫にお願いしますと立ちながら言う。美桜は突然愛羅の大声を聞いて、何事よと言った。

「いや、雫さんに料理を教えてもらおうと思って……」

沙羅が美桜に目を合わせずに言うと、美桜がいいじゃないと言った。

「え!? いいの!?」

いいよと言ってもらえるとは思っていなかった沙羅は、美桜がいいじゃないと普通に言ってくれたことに驚いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

処理中です...