魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~

天羽睦月

文字の大きさ
上 下
82 / 120

第82話 明臣の思い

しおりを挟む
「マリアさんが来てくれたことで、私と明臣が考えていることが進みます。 私と明臣が御当主をここに連れてくるので、明臣とマリアさんが婚約をして結婚をすることを認めてもらいます」

美桜がそう言うと、マリアの両親が驚いていた。マリアの父親である修二と母親であるミレイユがマリアの方を向いた。

「明臣君のことが好きだと昔から言っていたが、そこまでだったの?」

修二がそうマリアに聞くと、マリアはそうですと修二の眼を見て答える。そして、ミレイユがそこまで好きなのねと聞くと、マリアは大好きですと笑顔で返答をした。

「私は明臣さんのことを大好きで、一生側にいたいと考えています!」

マリアは耳触りが心地いい鈴が鳴るような綺麗な声で、明臣と一生添い遂げたいと言う。美桜は決まったわと心の中で思うと、マリアの両親に考えがありますと話しかける。

「篁家の再建を明臣が行いながら、暫くの間をご両親とマリアさんが桜温泉のオーナーとして働くのはどうですか?」

美桜のその提案にその場にいる全員が驚いていた。いきなり篁家の再建を明臣がすることや、桜温泉を篁一家がオーナーとして働くと言われたからである。

「い、いきなりそんなことを言われても! お父様が許すかどうか……」

明臣が悩んでいると、美桜は明臣と名前を呼んだ。

「な、なに!?」

考えている最中に自身の名前を呼ばれて驚いていると、美桜は明臣の眼を真っ直ぐ見る。

「好きな女と一緒にいたいんでしょ!? なら、今根性を見せないでいつ見せるの! 今頑張れば一生マリアさんと一緒にいられるのよ!?」

美桜のその言葉を聞いた明臣は、眼を見開いて美桜を見ていた。眼を見開いて美桜を見ている明臣は、静かに立ち上がってそうですねと言う。すると、明臣は待っていてくださいと言って食堂を出ていく。その姿を見たマリアは、明臣の後姿を心配そうな顔で見ていた。

「明臣さん大丈夫かな? 心配……」

マリアが明臣のことを心配していると、ミレイユがマリアを座りながら抱きしめていた。修二はその二人を見て、マリアは明臣と一緒になることが幸せなのだろうと察していた。

「マリアさんは心配しなくても、明臣はちゃんと男を見せてくれるよ」

美桜の言葉を聞いてマリアは、そうですねと笑顔で返答していた。そして、明臣が食堂を出てから三十分程度が経過すると、食堂の扉をノックする音が聞こえた。

「どうぞ」

そこにいる誰よりも早く美桜が言葉を発していた。雫や修二達は、度胸があると思いながら美桜を見ており、マリアは凄いと考えていた。各々がそう考えていると、食堂の中に御当主と明臣が入ってきた。

「皆さんお揃いのようで。 息子から呼ばれたのだが、何かあったのですか?」

御当主の永臣が美桜や篁家を見ながら言うと、永臣の後ろにいた明臣がとりあえず座ってくださいと、永臣に話しかけた。明臣は永臣を美桜達と反対側に座らせると、明臣は美桜達側に座る。そのことに疑問を感じた永臣は、明臣にこちら側じゃないのかと聞く。

「いえ、私はこちら側です」

その明臣の言葉を聞いた永臣は、今まで意見をしてこなかった息子が初めて意見をしてきたことに驚いていた。


「そうか。 それで今回はどうしたのかね」

永臣がそう喋ると、明臣が冷や汗を流しながらも生唾を飲んで言葉を発することにした。

「私はこの隣にいる篁マリアさんと結婚をしたいと考えています」

明臣がそう言葉を発すると、永臣は目を見開いた。その目は何を言っているのかという眼でもあり、何故なのかという眼でもあるように美桜は見ていた。

「お前は何を言っているんだ? そこにいる天神家の娘と結婚をするのではないのか?」


そう言われた明臣は、緊張している顔で美桜の方を見た。美桜は溜息を吐くと、口開く。

「私と明臣さんとの結婚は、ここにいる篁家を謀略し、皇家に私を嫁がせることで天神家の家の位を上げようと考えた私の父親である弦十郎がしたことです」

そう言われた永臣は、それは本当なのかと明臣に聞いた。

「本当のことです。 私と美桜さんは会ったこともなく、この前初めてお会いしました」

永臣は明臣の言葉を聞いて、何か考えているようであった。明臣はその言葉に続けて、マリアさんと結婚をしたいと考えていますと言う。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

最弱王子なのに辺境領地の再建任されました!?無気力領主と貧困村を救ったら、いつの間にか国政の中心になってた件について~

そらら
ファンタジー
リエルは、王国の第五王子でありながら、実績も勢力も乏しい存在だった。 王位争いの一環として、彼は辺境の「エルウァイ領地」に配属されることになる。 しかし、そこは獣害や盗賊の被害が相次ぎ、経済も破綻寸前の“外れ領地”だった。 無気力な領主・ルドルフと共に、この荒廃した地を立て直すことになったリエルは、相棒の神聖獣フェンリルと共に領地を視察するが、住民たちの反応は冷たいものだった。 さらに、領地を脅かす巨大な魔物の存在が判明。 「まずは住民の不安を取り除こう」と決意したリエルは、フェンリルと共に作戦を立て、魔物の討伐に乗り出すことを決める。 果たして、リエルはこの絶望的な状況を覆し、王位争いに食い込むことができるのか!? 辺境の村から始まる、領地改革と成り上がりの物語が今、幕を開ける——!

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。  そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。  しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。  そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。  この死亡は神様の手違いによるものだった!?  神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。  せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!! ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

『聖女』の覚醒

いぬい たすく
ファンタジー
その国は聖女の結界に守られ、魔物の脅威とも戦火とも無縁だった。 安寧と繁栄の中で人々はそれを当然のことと思うようになる。 王太子ベルナルドは婚約者である聖女クロエを疎んじ、衆人環視の中で婚約破棄を宣言しようともくろんでいた。 ※序盤は主人公がほぼ不在。複数の人物の視点で物語が進行します。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する

雨香
恋愛
美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。 ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。  逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。 1日2回 7:00 19:00 に更新します。

勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

ぽとりひょん
ファンタジー
熱中症で死んだ俺は、勇者が召喚される16年前へ転生させられる。16年で宮廷魔法士になって、アレな勇者を導かなくてはならない。俺はチートスキルを隠して魔法士に成り上がって行く。勇者が召喚されたら、魔法士としてパーティーに入り彼を導き魔王を倒すのだ。

処理中です...